* * *朝、目を覚ますと、ルファルの腕に肩を包み込まれていた。腕の心地よい重みだけでなく、彼の手首に無意識のうちにリリシアの手が触れている。「……っ」あまりにも至近距離にあるその寝顔に、リリシアは息を呑み、硬直した。透き通るような白い肌。そして、涼やかな目元を縁取る長く密な睫毛が、頬に淡い影を落としている。冷酷無慈悲と噂されるルファルからは想像もつかない程、無防備で、ひどく美しい。(こんなに近くで……。わたしのような者が、このような贅沢を許されて良いのでしょうか)胸の奥が、切なく焦がれるような熱い痛みと共に、きゅっと締め付けられる。ルファル様を恋う気持ちが溢れ出しそうで、リリシアは震える唇をそっと動かした。「……ルファル、様」囁くような声に呼応するように、その睫毛が微かに揺れ、静かに瞼が開かれた。深い静謐を湛えた瞳が、真っ直ぐにリリシアを見つめる。「ようやく起きたか。リリシア、おはよう」「ルファル様、おはようございます……あの、ずっと前から起きて……いらしたのですか?」ずっと自分の見苦しい寝顔を間近で見られていたのかもしれない。そう思うと、恥ずかしさで顔が火照り、リリシアはあわあわと視線を泳がせた。その様子を見て、口元を僅かに綻ばせたルファルが体を起こす。「……着替える前に、私の髪を結ってくれないか。今日は少し、気分を変えたい」「か、かしこまりました」戸惑いつつも起き上がり、リリシアはルファルに従い、髪結いの準備を始めた。そして、ソファーに移ったルファルの後ろに立つ。秋めく今日、どのような髪型が彼に相応しいだろうか。最初は高い位置で一つまとめる「ポニーテール」を考えたが、それでは少し幼く、ルファルの高潔な雰囲気を損ねてしまうかもしれない。リリシアは丁寧にルファルの髪に櫛を入れ、その滑らかな髪を解いていく。
閱讀更多