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《月灯りの花嫁。》全部章節:第 81 章 - 第 82 章

82 章節

10話-5 幸せになる為に。

* * *朝、目を覚ますと、ルファルの腕に肩を包み込まれていた。腕の心地よい重みだけでなく、彼の手首に無意識のうちにリリシアの手が触れている。「……っ」あまりにも至近距離にあるその寝顔に、リリシアは息を呑み、硬直した。透き通るような白い肌。そして、涼やかな目元を縁取る長く密な睫毛が、頬に淡い影を落としている。冷酷無慈悲と噂されるルファルからは想像もつかない程、無防備で、ひどく美しい。(こんなに近くで……。わたしのような者が、このような贅沢を許されて良いのでしょうか)胸の奥が、切なく焦がれるような熱い痛みと共に、きゅっと締め付けられる。ルファル様を恋う気持ちが溢れ出しそうで、リリシアは震える唇をそっと動かした。「……ルファル、様」囁くような声に呼応するように、その睫毛が微かに揺れ、静かに瞼が開かれた。深い静謐を湛えた瞳が、真っ直ぐにリリシアを見つめる。「ようやく起きたか。リリシア、おはよう」「ルファル様、おはようございます……あの、ずっと前から起きて……いらしたのですか?」ずっと自分の見苦しい寝顔を間近で見られていたのかもしれない。そう思うと、恥ずかしさで顔が火照り、リリシアはあわあわと視線を泳がせた。その様子を見て、口元を僅かに綻ばせたルファルが体を起こす。「……着替える前に、私の髪を結ってくれないか。今日は少し、気分を変えたい」「か、かしこまりました」戸惑いつつも起き上がり、リリシアはルファルに従い、髪結いの準備を始めた。そして、ソファーに移ったルファルの後ろに立つ。秋めく今日、どのような髪型が彼に相応しいだろうか。最初は高い位置で一つまとめる「ポニーテール」を考えたが、それでは少し幼く、ルファルの高潔な雰囲気を損ねてしまうかもしれない。リリシアは丁寧にルファルの髪に櫛を入れ、その滑らかな髪を解いていく。
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10話-6 幸せになる為に。

* * * リリシアは宿屋の玄関先で朝の柔らかな光を背負って佇むルファルの姿を見つけ、リリシアは心持ち急ぎ足で歩み寄った。 彼の端正な横顔。その美しさに、リリシアは一瞬、見惚れてしまいそうになる。 「……ルファル様、お待たせ致しました」 控えめに声をかけると、ルファルは一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐにいつもの氷のような無表情へと戻る。 本来なら、部屋で身支度を整え、軽い朝食を済ませてすぐに出発するはずであった。 しかし、ソフィラに「そのお姿で街へ行かれるおつもりですか?」と半ば強引に部屋へ連れ戻され、念入りな化粧と髪結い、そして慣れない華やかなドレスを纏わされた結果、ルファルを長く待たせることになってしまったのだ。 「……私も今しがた部屋を出たところだ。カイスとリゼルは先に外で待たせている。行くぞ」 ぶっきらぼうな、けれど拒絶ではない言葉に安堵し、リリシアはソフィラを連れてルファルの後に続いた。 そして外へ出ると、冷徹な空気を纏うカイスと、どこか虚ろな瞳をしたリゼルが待っていた。 ふとリゼルと目が合う。 (どうしましょう。廊下であんな生意気なことを……その上、お待たせしてしまったわ……) リゼルの気分を害したのではないかと、リリシアは俯きがちに声を絞り出す。 「あ、あの、リゼル様……」 「……リリシア」 不意にリゼルが近づき、リリシアの耳元で密やかに囁いた。 「……許婚の、フロリスの最期の言葉を思い出せたよ。君と同じことを言ってた。……ありがとう」 顔を上げると、そこにはいつもの無機質な表情ではなく、春の陽だまりのような穏やかな微笑みがあった。 リゼルはそのまま、ふわりとした足取りで歩き出す。 「ルファル隊長、リリシア、早く馬車まで行こうよ」 その豹変ぶりに、ルファルさえもが呆然と立ち尽くした。 「……一体どうしというのだ。これまでとは別人のようだが」 恐らく、フロリス(亡き許嫁)の最期の言葉を思い出せたことで、リゼルは前を向くことが出来たのだろう。 けれど、それを説明すれば、自分がリゼルに対して生意気な態度を取ったことまで明かさねばならなくなり、嫌われてしまいそうで。 リリシアはそれを恐れ、言葉を呑み込んだ。 「……まあいい。リリシア」 差し出された大きな掌。リリシアはその手に自分の手を重ねた。 そ
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