Todos los capítulos de ★毎日更新《堕胎告知》「オマエみたいなゴミ、産むんじゃなかった。」「テメェが勝手に産んだんだろ、ころすぞ。」: Capítulo 91 - Capítulo 100

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57.  教会のなかのシスター Eine Schwester in der Kirche.

「にしても貴女、お強いのねぇ。 ……流石……ミルヒシュトラーセの“|鉄の女《ジリエーザ・ドミナ》”の名は、伊達やない……ゆうことですねぇ?」 ◇◆◇ 「……キサマは誰だ。ソイツらの上司か?……じゃあソイツらにかけられた迷惑料を……オマエに払ってもらうとしようか……!」 「あらあら……こわいわい、ウチ……そないに|睨《にら》まれたら怖あて喋られへんわぁ。」 気色の悪い笑みを浮かべながら、謎の女が答える。……それにしても、闘いにきたにしては随分と着飾っていて不気味だ……。なんだかチグハグな印象を受ける。 「――それで?覚悟はいいか?」 「ああ、違います違います。ウチは闘いに来たわけじゃあありません……そこに転がってるカスが余計なことをペラペラと喋りそうになったんで……口止めに来たぁ……ゆうわけですわ。では、ウチはこれで、ほなサイナラ……“|鉄の女《ジリエーザ・ドミナ》”さん――」 「――逃がすと思うか!!」 滑って迫りながら、謎の女に殴りかかる――! が、防がれてしまった。|突如《とつじょ》私と謎の女の間に現れたローブ姿の男が邪魔をした。……コイツ……さっき|迄《まで》の|有象無象《うぞうむぞう》とは違う……。油断せず、後ろに滑って距離をとりながら問う。 「……誰だオマエは、次から次へと……雑魚共が……面倒だから、雑魚はまとめてかかってこい。」 「……ふふっ、雑魚やぁて、アンタ、馬鹿にされとんで……?じゃあ、“足止め”よろしゅう。……今度こそ、ほな、サイナラ。」 それだけ言うと、気味の悪い女は消えていた。 ――|足《・》|止《・》|め《・》? ◇◆◇ 「高名なる……ミルヒシュトラーセの“|鉄の女《ジリエーザ・ドミナ》”とお見受けする。|是非《ぜひ》、この俺と手合わせを――」
last updateÚltima actualización : 2026-03-15
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58. 2人のドミナ Zwei Damen

「――だったらなんだ?テメェの|塵《ごみ》みてぇな憤怒ごとブチ抜いて殺してやるよ!!」 全身に怒りの雷を纏ったまま、全速で突進するアイ。あまりにも速すぎて、男は避けられずにガードするのが精一杯だった。 「……ぐぁっ……アァ……俺の左腕が……!」 「あーあー、真っ黒に焦げちまってるなぁ!そりゃあもう一生使い物にならねぇなぁ!?クククっかわいそうになぁ……これから鏡を見るたびに、メシを食おうとするたびに、ことあるごとに思い出すんだぜぇ…… 『あぁ、俺にはもう一生左手がないんだぁ……!』 ってなぁ……それを見るたびに思い出せ……この世には絶対に手を出しちゃあならねぇ相手ってのがいるってなぁ……。」 「……もう勝った気でいるんですか?|俺《・》|は《・》|ま《・》|だ《・》|死《・》|ん《・》|で《・》|い《・》|ま《・》|せ《・》|ん《・》|よ《・》?」 「……おっと|悪《わり》ぃ|悪《わり》ぃ……オマエに|こ《・》|れ《・》|か《・》|ら《・》なんて無かったなぁ。今ここで死ぬんだからなぁ!!」 また突進攻撃をしようとするアイ。 「――だめだ!!アイ!!やめろ!!」 突然現れた複数の光に、アイは反応できずにそのまま突き進んでしまう。その光の塊たちはアイに触れた瞬間、その輝きを増して教会のなかの全てを照らし出す。光がおさまると、アイが|斃《たお》れていた。 「……ハァ。いやぁ、流石の俺も死んだかと思いましたよ。貴方はこの国の|兵《・》|器《・》、アイ・ミルヒシュトラーセ様ですね?アニムス・アニムスで稀代の|こころをもつもの《プシュケー》でもある……。 それがなぜ|俺《・》|な《・》|ん《・》|ぞ《・》に負けたか……分かりますか?まず|心《ヘルツ》の使い方をまだ学んでおられる途中のようですね?見たところ。 最初に俺が貴方の|姉君《あねぎみ》に向けた感情は、|こころをもつもの《プシュケー》の力
last updateÚltima actualización : 2026-03-16
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59. 鉄の女《ジリエーザ・ドミナ》 Железо・D o m i n a

「みたとこ他の人達もしらぬいさんたちに、恨みをもった人たちってぇとこかな〜?」 「……しらぬいっ!!」 「っおっけ〜!」 シュベスターがローブの男に向かって地面を蹴り出すと同時に、しらぬいが地面を殴りつける。すると、アイとシュベスター、そしてローブの男がいる直線上以外の全ての場所に炎が巻き起こる。 「「「ぎゃあああ!!」」」 「ガァァァア゙――!!これ゙が……|炎の女《ゼー・カリマ・ドミナ》……!!」 「アハハっ!ほらほら〜!速く外に出ないと丸焦げになって死んじゃうよ〜!?」 皆が我先にと外に逃げ出していく。 「……じゃあ、外の100人?130人?はしらぬいさんにお任せで〜。アイちゃんとその男は頼んだよ〜。」 「ああっ!」 しらぬいが教会の外に出ていき、シュベスターは男と拳を撃ち合ったまま答える。シュベスターと男の腹の間にまた光が発生し、飛び退くシュベスター。 「……やはり手練れだな。それに――」 「――感情を隠すのがうまい?でしょう?俺はまぁ……産まれたときから両親の顔色を伺ってビクビクと暮らすような生活をしていたんですよ。いつ拳が飛んでくるか分かんないんでねぇ? それで、|心者《ヘルツァー》になったら“心を隠すのが上手い”ってんで、今の組織でも|重宝《ちょうほう》していただいて……人生何が役に立つか、わかんないもんですねぇ? ……あんなクソみてぇな両親に感謝する日が来るとはねぇ……?」 「|御託《ごたく》はいい、もうたくさんだ。気をつけろよ……私は|先刻《さっき》の100倍強いぞ……!」 「いいますねぇ?俺なんぞには勝てると?先刻の貴女と今の貴女……何がちがうというんです?怪我が治りきっていない分、弱っていると思いますが?こんなことなら|寧《むし》ろ、万全な状
last updateÚltima actualización : 2026-03-17
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60. 友情だけで愛情のコップは満たされるのか Can friendship alone fill the Cup of Love?

「しらぬいさ――」 教会のドアを押し開けて最初に目にしたのは、|死屍累々《ししるいるい》のなかに、ただ一人無傷で|佇《たたず》むしらぬいだった。そこら中にひどい火傷を負った者たちがうめき声をあげながら倒れている。焼け焦げた人間の髪を掴んで無理やり顔を上げさせ、その顔を羽虫をみるような目で見ていた。いつものようなやさしい笑顔ではなく、焼きついた影のような無表情だった。 「……しらぬい……さん……?」 振り向いた時のしらぬいの顔が、あまりにも温度をもたない冷たさであったので、アイは全身がブルリと震えてしまう。視界にアイを認めると、しらぬいは慌てて顔の前に手を横切らせた。手が去った時にはもう、いつものニコニコとしたやさしそうな笑顔だった。 ◇◆◇ 「アイちゃ〜んっ!だいじょうぶ!?ケガはない!?こわかったね〜!もうだいじょうぶだよ?わるい人たちは皆しらぬいさんがやっつけたかね?ふるえてるの?だいじょうぶだいじょうぶ、ほらよしよ〜し。ほらおいで!だっこしたげるっ!」 膝をついてちいさなアイの身長に合わせて、目を合わせて慰めたあとに、すぐ抱きしめて頭を撫でる。アイは安心した……いつものしらぬいさんだ……と。 「しらぬいさん……がこの人たちを皆倒したのですか?ゆうに200人は超えていそうですが……。」 「そうだよ〜。しらぬいさんは超絶激かわ美少女なだけじゃなくて、超絶“最強”美少女だからね〜!」 「……とにかく、しらぬいさんが、無事で、よかったです。ほんとうに、ほんとうに。」 アイが愛情でしらぬいを包み込む。 「およよ〜?アイちゃ〜ん、しらぬいさんはケガしてないよ〜?」 サファイアの|眼《まなこ》がしらぬいの瞳を通して心まで見通しているようだった。 「でも……こころは疲れてしまいましたよね? ……だから!です!」 「……アイ
last updateÚltima actualización : 2026-03-18
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61. 部下を背負う者 A man who loves his men.

「アンタは|此処《ここ》で……!死ねぇ……!!」 女が勢いよく鞭の|心《ヘルツ》を振り被る。そしてそれを目の前の部下に振り下ろそうとするが、鞭にかかった何者かの力により、後ろに転げそうになる。 「……あ……あ……。」 女の顔が血色を失い真っ白になる。 「……ザミール……様。」 ◇◆◇ ザミールと呼ばれた男はとても大柄で、筋骨隆々としていた。そして、女が部下を見るときのような目で――つまり|塵屑《ゴミクズ》をみるような目で――女を見ていた。 その目で自分が部下にしたことが、今から自分にも起こると悟り慌てて弁明しようとする。 「ザ、ザミール様!これは違うんです!全部|此奴《こいつ》が!|此奴《こいつ》が悪いんです!ウチは何も――」 ザミールの太い腕が振りかぶられる。 「――まって!待ってください!ウチは!悪うないんです!|此奴《こいつ》らが!使えない部下――」 |喚《わめ》き立て懇願する女の顔面に、拳が突き刺さりあまりの腕力に身体ごと地面を転がる。 「ごぎぁあ!!」 「――|五月蝿《うるさ》いぞ……ハナシュ……喚き立てるな。耳障りだ。」 そして今度は壁にもたれ掛かり座り込んでいる、息も絶え絶えなローブの男の方の前に屈み込んだ。 ◇◆◇ 「ようジョンウ……。」 「ザミール様……。」 「聞いたぜぇ?“軽く足止めだけしろ”って命令を無視して、|鉄の女《ジリエーザ・ドミナ》と|本気《マジ》で|戦《や》り合ったんだってなぁ?」 「……はい。」 ジョンウと呼ばれたローブの男は恐怖で下を向いているので、ザミールの表情は分からない。きっと|ハナシュ《さっきの女》の様に|
last updateÚltima actualización : 2026-03-19
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62. ご冗談でしょう、アイちゃん様ぁ!? "Surely You're Joking, Dear Ai chang !? " : Adventures of Curious Characters

「気持ちいいねー!自然サイコー!」 両手を広げてアルタークが叫ぶ。 「ふふっ……アルちゃんったら。 『山と川だけって……』 みたいなこと言ってましたよね?」 「いや〜来てみたらいいもんだよ!住めば都てきな!?……ちょっと違うか。……そ・れ・に……山と川と“アイちゃん様”!これは無敵ですわ!」 「もうっ……調子がいいんですから〜。」 2人でキャッキャと笑い合う。そこに1つ声がした。 ◇◆◇ 「アイ……自然の美のなかにいても……いや|自《・》|然《・》|の《・》|美《・》|と《・》|調《・》|和《・》|し《・》|て《・》さらに磨かれた貴女の美しさに……私は今、感動しているわ!」 何やら心動かされた様子の王女だった。 「ゲッ……ファンタジア王女殿下……。」 「ふふっ……ラアルさまのほうが、何倍も|自《・》|然《・》|の《・》|美《・》|し《・》|さ《・》|す《・》|ら《・》|平《・》|服《・》|さ《・》|せ《・》|る《・》ような美で……お美しいですよ?」 その言葉に胸を押さえたあと、アイのたおやかなちいさい手をとり、熱のこもった目で告げる。 「“……あぁ!アイ……!貴女はどうしてアイなの……?” こんなに愛し合う私たちが生まれたのが、敵対する陣営だなんて……!|辺《・》|境《・》|伯《・》|派《・》|の《・》|名《・》|前《・》|を《・》|捨《・》|て《・》|て《・》”、私と結婚――」 「あ!の!私もいるですけど!!無視しないでくれますぅ!?」 「あら、いたのね、デイリーライフ。」 「最初からいましたけどぉ!?」 「ハァ……林間学校だからってそんなにはしゃぐもんじゃないわよ……声を落としなさいな。」
last updateÚltima actualización : 2026-03-20
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63. 愛のお料理教室へようこそ! Welcome to the Love Cooking Class!

「えー、まぁ、林間学校……というわけなんですけれども……えーまぁ、なんかこう、上手いことやってくれたらと思いますね、ハイ。 まずは班に分かれて|飯盒炊爨《はんごうすいさん》ですね。その後に行軍練習、そして山の調査をしてもらい、自由時間ののち、就寝……ということで、まぁそんな感じですわ。よろしく〜。 あっ……!問題だけは起こさんようにね。学校とか他の先生とか教官が監督してるときなら、全然、問題を起こしてもらっても構わんのですけども、えぇー、まぁ今回の林間学校はボクが監督しているのでね。しかもなぜか一人で……これ嫌がらせか?ついにサボり散らかしてんのがバレたか……?暗に『お前教師辞めろ』っていう圧か?……どう思う?みんな?普通の最低でも4人ぐらいはよこすよねぇ? ……えーと、なんだっけ……まぁ、そんな感じで、ボクの責任になるのでぇ……ボクが監督している間だけはぁ……決して問題を起こさないように。とくに、ほらイケイケのグループとか……あと普段大人しいグループがこういうとこで変にはしゃいで後で死にたくなるのは……お約束ですからね……まぁ、楽しむのは楽しんでもろて……ハメだけははずさんようにね……え〜じゃあスタート……ということで……じゃあね、ばいばい。」 ◇◆◇ フリフリと長い|袖《そで》を振るナウチチェルカ先生。わたくしもフリフリとちいさく手を振り返すと、いつも微笑と共にちょっと長く手を振ってくれる。普段は何をするのも|億劫《おっくう》がるのに、これには応じてくれる……ほんとうは生徒想いの先生なんだと思う。 2人だけのいつもの|習慣《ルーティン》みたいになっていた。……わたくしはこの時間がなんとなく好きだった。チェル先生もおんなじだといいなぁ……。 「アイちゃん様ー!行きますよ〜!」 「あっ!はーい!」 ◇◆◇ 「えっーと。それじゃあ、お料理できる人いま
last updateÚltima actualización : 2026-03-21
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65. 王女も百姓娘も腹は減る。Eat from the Same Heart

そのあとさんざんチェルせんせーに|弄《もてあそ》ばれた……。くすぐりながら恥ずかしいことを言われたり、言わされたり。でも、せんせいとの距離が近くなったみたいでうれしかった。 ――|わ《・》|た《・》|く《・》|し《・》|に《・》|お《・》|茶《・》|目《・》|な《・》|お《・》|か《・》|ー《・》|さ《・》|ん《・》|が《・》|居《・》|れ《・》|ば《・》、こんな感じなのかなぁ?……ちょっとイジワルだけど……。 ◇◆◇ 慌てて戻ると、最後の煮込む段階はアルちゃんが完璧にやってくれていた。 「さすがアルちゃん!わたくしの自慢のおともだちっ!」 「ふふーん、もっとほめたまえ!」 「アイ……私は?私も頑張ったわよね?私も自慢?」 「もちろんですっ!お料理が苦手なのによく頑張りましたっ!よしよし〜!ラアルさまもわたくしの自慢のおともだちですよ〜!えらいえらい。」 「ふふーん!そうよねそうよね!なんたって高貴なる私さまだもんね!」 「はい!……じゃあ、食べる前にできる分の洗い物と後片付けをしながら、かげろうとはるひ君を待ちましょうか。」 「料理って作ったら終わりじゃないのねぇ……頑張って作ってまだ洗い物があるなんて……大変だわ。|平《・》|民《・》|は《・》|毎《・》|日《・》|毎《・》|日《・》|こ《・》|ん《・》|な《・》|事《・》|を《・》|し《・》|て《・》|る《・》|な《・》|ん《・》|て《・》……なんだか|尊《・》|敬《・》|す《・》|る《・》|わ《・》……。」 「!……分かってくれますか!ファンタジア王女殿下!そうなんですよ!平民の苦労が分かるようになってくれてうれしいですよ私は!」 「わっ!急にどうしたのよ早口で……。でもそうね、尊敬するわ。……“ファンタジア王女殿下”なんて長くて言いづらいでしょう?“ラアル様”でいいわよ……。」 「……!……そこは『“ラアル”で
last updateÚltima actualización : 2026-03-23
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66. ひとりの友を得るという偉業をなしえた者は歓喜の声を合わせよ! Meine Freundin!Mische seinen Jubel ein!

昔の|は《・》|る《・》|ひ《・》|ち《・》|ゃ《・》|ん《・》はおいしいおいしいと言って、わたくしの手料理を食べてくれた、でも今の|は《・》|る《・》|ひ《・》|く《・》|ん《・》は……? ◇◆◇ 「ま、フツーにおいしいんじゃない?」 頬杖をつきながら、つまらなそうに言った。でも、わたくしにはわかる気がする。もう心が離れてしまって久しいけれども。 ――だって、だって……|は《・》|る《・》|ひ《・》|ち《・》|ゃ《・》|ん《・》|は《・》|あ《・》|の《・》|時《・》|も《・》|照《・》|れ《・》|隠《・》|し《・》|を《・》|し《・》|て《・》|い《・》|た《・》から。 「……ねぇ、はるひちゃん。」 「ん?てかその呼び方は――」 「それはわたくしに『毎日オミソシルを作ってください』って言っちゃうぐらいですか?」 「なっ……アンタ……!んな前のコトどーして覚えてんだか……。まぁ、でもそうだね。おいしいよ……おいしい。」 ずっとはるひくんは変わってしまったって思っていたけど、もしかしたらあの頃から|変《・》|わ《・》|っ《・》|て《・》|し《・》|ま《・》|っ《・》|た《・》|の《・》|は《・》|わ《・》|た《・》|く《・》|し《・》|の《・》|方《・》|で《・》、この子はずっとあの頃の――2人で笑いあっていたときのままなのかもしれないと、そう、思った。 「『私のかわいい旦那ちゃんになって下さい』って言っちゃうくらいね……。」 スプーンに映った追憶を眺めるように下を向いて何か言っていたが、声がちいさくて聞き取れなかった。 「はるひく――」 「――アイ!何2人で話しているのかしら!私も混ぜなさい!」 「!……あ、ああ、ラアルさま。ふふっ、昔のことを話していたんですよ。」 「そういえば、貴女達は幼馴染だったわね
last updateÚltima actualización : 2026-03-24
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67. その名の意味はーー“愛に感謝する”  Ἰούδας ὁ Ἰσκαριώτης

|其処《そこ》にいたのは、敵でも……かげろうでもはるひくんでも、ラアルさまでもなくて―― ――イダくんだった。 ◇◆◇ 夜の薄暗闇のなかを、わたくしが開いたドアから漏れる|微《かす》かな光を受けて立っている。暗くて最初は彼だと分からなかったほどだ。イダくんとかげろうは似ても似つかないのに、|何《・》|故《・》|だ《・》|か《・》、|か《・》|げ《・》|ろ《・》|う《・》|だ《・》|と《・》|勘《・》|違《・》|い《・》|し《・》|そ《・》|う《・》|に《・》|な《・》|っ《・》|た《・》。暗さがそうさせたんだろうか? ただ黙って淡い光のなかを立っているので、強い日差しの下の|陽炎《かげろう》の様にユラユラと消えてしまいそうだった。彼がいるのは太陽のもとではなく、闇のなかだったが。 ……闇に揺れる陽炎のように見えた。 「……どうしたの?こんな夜更けに……。……?イダくん……?」 うんともすんとも言わない。|告解室《こっかいしつ》で罪の告白を|躊躇《ためらう》う信者のように黙り込んでいる。手を握って、顔をのぞき込んだ。 ◇◆◇ |其処《そこ》には深淵があった。純黒の深淵が。彼の顔は真っ黒で、顔に穴が空いているのかと思った。しかし、むしろ彼の顔には宇宙が広がっているようにも見えた。 わたくしがその深淵を見つめていると、彼もわたくしを見ているような気がした。 彼は“神を見た犬”のようにも、 “情熱の兄と愛の弟を持つカラマーゾフの無神論者”のようにも思われた。 「……イダくん。わたくしとお話しを……“対話”をしませんか?」 しゅんじつさんのように対話をすれば、彼の顔にこびりつく深淵の正体が分かるかもしれない。 「……アイ様、そのような時間はありません。」 「時間が、ない?」
last updateÚltima actualización : 2026-03-25
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