妊娠後期のある日、強風で落下した看板に直撃され、私はお腹の子を失った。夫、西園寺恭也(さいおんじ きょうや)に電話をかけたが、彼は一度も出なかった。その直後、私はインターン生の相沢美奈(あいざわ みな)のSNSを見てしまったのだ。【ついにママデビュー!これからは幸せな三人家族!】写真の中で、恭也は慈しむような表情で美奈のお腹を撫で、手には彼女のエコー写真を誇らしげに持っていた。そうか。恭也が心も体も捧げていたのは、最初から美奈だったのだ。その瞬間、私は私たちの結婚生活が完全に終わったことを悟った。——美奈の投稿を目にした瞬間、全身の血が凍りついた。心臓を毒塗りの刃で貫かれたかのような激痛に、息が止まりそうになる。今日は私、一之瀬遥(いちのせ はるか)と恭也の結婚五周年記念日だった。お祝いのために、私は大きくなったお腹を抱えて花とケーキを買いに出かけていたのだ。まさか、ケーキ屋を出た直後に落下してきた看板の下敷きになるとは思いもしなかった。看板の鋭利な角がお腹に突き刺さり、パニックになった私は必死で恭也に助けを求める電話をかけた。十数回かけても、彼は一度も応答しなかった。普段なら即座に出る彼がなぜ……不審に思っていた矢先、美奈のSNSが目に飛び込んできたのだ。電話に出ないわけだ。彼は美奈の妊婦健診に付き添っていたのだから。美奈は恭也が異例の抜擢で採用した社員だった。理由は、恭也が自分は奇病にかかっており、美奈に対して狂気じみた生理的依存があるからだと言った。彼は美奈を「特効薬」と呼び、毎月十日間、彼女の元へ「治療」に通っていた。美奈の元から帰ってくるたび、彼の鎖骨には生々しいキスマークが残り、体には美奈特有の甘ったるい香水の匂いが染みついていた。私が悲しみに暮れて涙を流すたび、恭也は土下座して自らを殴りつけ、泣きながら謝罪した。さらに、自傷行為をしてまで私への「愛」を証明しようとした。「遥、医者も言っているだろう、これは生理的な依存なんだ。体が勝手に美奈に反応してしまうだけで、心は君を愛してる!」「安心してくれ。西園寺夫人の座は君だけのものだ。誰にも奪わせない」私は結局、情に流され、彼が美奈の元へ通うことを黙認してしまった。彼が私を愛しているなら、それでいいと自分に言い聞かせて。だ
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