All Chapters of 溺愛結婚〜懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されて困っています〜: Chapter 51 - Chapter 60

68 Chapters

50話

「ありがとうございました」「ありがとうございます」お店を出たわたしは、その袋を握りながら藍、喜んでくれるかな?なんて考えていた。藍のことを思い、藍のことを考えながら、わたしは微笑みを浮かべていた。「藍……楽しみにしててね」最高の誕生日になるように、わたし一生懸命頑張るからね。 藍がとびっきり喜んでくれるように、この子と一緒に頑張るからね。そういえば……ご飯食べてなかったな。「……お腹、空いたな」その後ショッピングモールのフードコートでお昼ご飯を食べ、一階にあるスーパーで夕飯の買い物を済ませた。他にも欲しいなと思うものもあったけど、藍の誕生日プレゼントを買いに来ただけだったから、それ以外はあまり見ずに家に帰った。初めて祝う、藍の誕生日。……より良いものに、したいな。来年藍の誕生日を言われると時には、この子も産まれている時だし、今回は二人だけど……。でもきっとこの子も、お祝いしてくれると思うな。「わたしたち、家族だもんね」夫婦であり、家族であり、そして何よりも……お互い大切な人だから。「さ、早く帰って夕飯の支度しよっと」今日の夕飯はさつまいもが安かったからさつまいもを購入したので、さつまいもご飯とさつまいもの天ぷらとかにしようかな。そういえば……天ぷら作るの、久しぶりだな。 一人だと天ぷらってあまり作ろうとは思えないしね。せっかく作るなら、さつまいもだけじゃなくてじゃがいもとかかぼちゃの天ぷらとかも作ろうかな。家に帰って天ぷらを揚げていると、藍が「ただいまー」と玄関を開ける音がした。「あ、藍! おかえりなさい」藍は「なんのニオイだ? 美味そうなニオイするな」とキッチンを覗く。 「今日はさつまいもが安かったから、さつまいもご飯と天ぷらにしたの」「天ぷらとかいいな。 俺結構天ぷら好きなんだ」「あ、そうなの? なら良かった」藍が天ぷらが好きなことを知って、たまには天ぷらにするのもありかなと思った。「着替えてくるよ」「うん」炊飯器を開けてご飯の確認をすると、さつまいもご飯もいい感じに炊けていた。「わ、さつまいものいいニオイ……」さつまいもご飯、美味しそう。 さつまいもはこの時期、美味しいんだよね。「よし、天ぷらもいい感じ」夕飯が出来たところで、藍がリビングへとやって来る。「藍、夕飯出来るからお箸出してくれる?
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51話

「透子、さつまいもご飯おかわりしていい?」「うん、いいよ」藍の食べっぷりがいいので、わたしもたくさん食べてしまった。「ちょっと食べすぎちゃったかも」「透子も珍しく食べてたな」「うん、美味しかったしね」 今日は大満足な一日になったわたしは、藍に抱き締められながら幸せな眠りについた。 ✱ ✱ ✱ そしてあっという間に、藍の誕生日の日を迎えた。「藍、おはよう」「おう。おはよう透子」「藍、今日……早く帰ってこれるよね?」わたしは起きてきた藍に、真っ先にそう聞いた。「ああ。早く帰って来るよ、必ず」「……うん。待ってるね」 わたしは藍にそう伝えると、思いっきり微笑んだ。「藍……誕生日、おめでとう」「ありがとう、透子」「今日、美味しいご飯作って待ってるからね」わたしは藍にそう伝えると、藍は「それは楽しみだな」と微笑んでいた。「藍のために、一生懸命頑張るからね」「透子のその気持ちだけで、俺は充分だよ」藍はいつも優しいから、そう言ってくれる。「愛してるよ、透子」「……うん」そして藍は、こうやって甘くて優しいキスをいつもくれる。その度に心が疼いて、キュンとするんだ。 わたし、いつの間にかこんなに藍のこと好きになってたんだな……と実感してしまう。「今日はもう出かけるよ」「え、もう? 早くない?」「今日は早く帰りたいから、ちょっとだけ早く出たいんだ」藍はそう言うと「顔洗ってくる」と言って洗面所へと行った。「愛してるよ、か……」その一言が、どれだけ嬉しいことか……藍ならきっとわかっているだろう。わたし、朝から幸せだな。 藍の誕生日だから、尚更かもしれない。「藍、行ってらっしゃい」「行ってきます」仕事に出かける藍を見送ったわたしは、気合を入れるために一旦伸びをする。「じゃあ、やりますか。 ね?」赤ちゃんにもそう語りかけ、わたしはまずは部屋の掃除と洗濯をこなす。部屋の掃除機をかけ、洗濯を回している間に部屋の飾り付けを始める。藍に少しでも喜んでもらいたいから、飾り付けもシンプルだけど可愛くしたいなと思う。 わたしっぽい感じなんて、分からないけど……。100円ショップで買ってきた材料たちを組み合わせていきながら、飾り付けをするのってちょっと楽しいなって思った。「まさかわたしが、夫のためにこんなことをする日が来るな
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52話

「さ、買い物して帰ろうか」赤ちゃんに話しかけるようにそう言って、病院を出る。「少しずつ、お腹が出てきたな……。だいぶ重くなってきた」   藍の子を妊娠したと分かった時は、本当にビックリした。 まさか……とは思っていたけど、それが本当だったなんて思わなかった。そして藍に利用されたんだと知った時、本当にどうにかなりそうだった。 あんなに怒りが沸いて、仕方なかったのに。「……でもやっぱり、わたしは母親なんだよね」藍が検診に着いてきた時、待合室でわたしに「産んでほしい」と目を見ながら言われた時、わたしの中ではすでに覚悟は決まっていたと思う。だからこそ……藍と家族になるために、わたしは藍と結婚した。それで今がある。「今日はローストチキンにしよっかな」スーパーで食材を選びながら、わたしは藍のことばかりを考えていた。 藍に喜んでもらいたいっていう一心で、自分も嬉しくなっていた。ここまでわたしが藍のために何かをするなんてこと、考えこともなかったけど……。そういうのも、悪くない。「後、ケーキ買わなくちゃね」 藍の大好きなフルーツタルトと、ショートケーキを買ってお祝いしなくちゃ。あ、どうせなら……。「シャンパンも……買おうかな」せっかくの藍の誕生日だ。わたしは今お酒は飲むことは出来ないけど、藍にはとびっきりいい誕生日にしてほしいから、せめてシャンパンくらいは用意してあげたいな。私はジュースにすればいいしね。「……参った。買いすぎた」藍を喜ばせたい気持ちがあったから、なぜかすごい買い物をしてしまった。 おかげでに荷物がとても重くて、腕が痛い。ここまで歩いてきたけど、流石に体力が持たなそうだから急遽電車で帰ることにした。「重いっ……」やばい。腕が痛い……。階段降りるの、ちょっとキツイかも……。「大丈夫ですか? よかったら、持ちますよ」駅の改札を抜けて階段を降りようとした時、近くにいた優しい女子高生の女の子がわたしを助けてくれた。「……え?」「妊婦さんには、優しくしなさいと母から言われてるので」その女子高生は、にこやかに微笑んでそう言っていた。「すみません……。ありがとうございます」わたしはその子にお礼を言った。「わたしの母、産婦人科の先生なんです」「え、そうなんですか?」「はい」すごい……。この子のお母さん、産婦人科の先
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53話

「気にせんといて。 ほな、足元に気をつけてね?お姉さん」「ありがとうございました」   わたしは再び荷物を持って電車を降りると、エレベーターで改札のある階まで降りて電子マネーをタッチし、改札を出た。「……よし、もうひと踏ん張りだよ」赤ちゃんももう少し、頑張ってね。もうちょっとでお家に着くからね。「ふぅ……疲れた」その後重い荷物を両手に持ち、わたしはゆっくりと歩きながら自宅に戻った。「ちょっと休憩、してからにしようかな……」買い物で疲れたため一旦荷物をキッチンに起き、わたしは水を飲んだ。なんとなくお腹が張っているような気もしていたため、先生からもらった張り止めの薬も、念の為に飲んだ。「……うん、いい感じ」部屋の飾り付けはすごくいい感じ。後は料理を作って待つだけか……。藍はこの部屋を見たら、どんな反応してくれるだろうか……?  そう考えただけでワクワクして、ちょっとドキドキもする。まずは洗濯物をバルコニーから部屋の中に入れ、そのまま夕飯の支度を始めた。ケーキも冷蔵庫に入れ、ローストチキンを焼き始める。ローストチキンなんて何年ぶりに作るだろうか。手間暇かかるけど、それだけ美味しいものになるはず。「そろそろドリアも作らなきゃかな」ローストチキンだけでなく、藍の好きなドリアも作ってあげようっと。藍はドリアを作ってあげると、とても喜ぶんだ。これもまた【美味しい】って嬉しそうに食べてくれるから、わたしは作り甲斐がある。 「美味しいドリア、作らないとね」ドリアを作っていると、18時半すぎに藍から【今から帰る】と連絡があった。わたしは【分かった。気をつけてね】と一言メールを返して、再び夕飯作りをした。「急がないと……!」藍が帰ってくるまでに、夕飯を作り終えないと間に合わないかもっ……!なんて思いながら、ローストチキンを焼いた。「で、出来た……」 なんとか夕飯を作り終えると、一段落つきソファに座った。「藍、喜んでくれるかな……? ねっ」なんて思いながら、わたしは藍のことばかりを考えていた。「藍の誕生日……良いものにしたいね」わたしはお腹を撫でながら、赤ちゃんの鼓動を感じながら、少し幸せに感じた。「藍、遅いな……」いつもなら帰ってくる時間なのに、珍しく藍の帰りが遅い。 「ただいま、透子。遅くなって済まない。道が
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54話

「藍、ご飯にしよう。今日はローストチキンと、藍の大好きなドリアにしたんだ」「ドリア? マジで?……嬉しいわ」「すぐ用意するね」藍はその間に「着替えてくる」と言って部屋にも戻っていった。ローストチキンとドリアをテーブルに並べて、冷蔵庫からシャンパンとワイングラスを取り出し、テーブルに並べた。「お、美味そう」「食べよっか」「マジか。シャンパンまで用意してくれたのか?」目の前のテーブルに並べられた料理やシャンパンを見て、藍は嬉しそうに笑っていた。「うん。……だって藍の一年に一度の、誕生日だから。喜んでほしくてさ」「嬉しいよ、その気持ちだけで」藍の嬉しそうな顔を見て、わたしも嬉しくなった。「はい。シャンパン、どうぞ」「ありがとう、透子」わたしは藍のワイングラスに、静かにシャンパンを注いだ。「わたしは、お酒飲めないから……代わりにオレンジジュースにするね」「ああ」「……藍、お誕生日、おめでとう」「ありがとう、透子」グラスを「乾杯」と交して、藍はシャンパンを口にした。「シャンパン、美味い」「よかった」藍の喜ぶ顔を見れるだけで、それだけで充分幸せだ。「チキン、食べていいか?」「いいよ」藍は美味しそうにローストチキンを食べ始めた。「美味っ! 美味いよ、透子。マジで美味い」「本当に?よかった」藍の喜ぶ顔を見て、わたしも嬉しかった。「シャンパンとも、合うな」「よかった」そうだ。藍にプレゼント、渡さないと……!「あのさ、藍。 藍にプレゼントがあるんだけど」「え、プレゼント? 用意してくれたのか?」「うん。持ってくるから、ちょっと待っててね」わたしは藍のプレゼントを取りに寝室に行き、そのベッド下の引き出しから藍のプレゼントを取り出して、またリビングに戻った。「お待たせ、藍。……はい。藍への、誕生日プレゼント。どうぞ」わたしは藍に、そのプレゼントの入った袋を手渡した。「マジで?良いのか?」「うん」藍は「嬉しいな。料理だけじゃなくて、プレゼントまで……」と嬉しそうに笑っていた。「開けてみて」「いいのか?」「うん。一生懸命、選んだんだ。……気に入ってもらえたら、嬉しいんだけど」どうかな……。大丈夫かな。ちょっと不安。そんなわたしに藍は、「透子の選んだものなら、嬉しいに決まってるだろ?」と言って、その包みを
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55話

「透子、いつも感謝してる。 ありがとうな」「うん」藍がわたしの唇にキスをする。「愛している、透子」「わたしも……愛してるに決まってるじゃない」わたしは藍のことがこんなにも大好きで、愛おしくて仕方ないんだな。あんなに好きにならないって、そう決めてたのに……。今はもう、藍が隣にいないとダメだって思ってる。藍がいなきゃ、わたしはわたしじゃない。 今はそう思ってる。「透子のこと、一生離さないから覚悟しろよ」「はいはい。 わかってます」わたしだって、藍のこと離すつもりはないもの。「透子、今日は一緒に風呂に入ろう」「え、一緒に?」藍と一緒にお風呂とか、恥ずかしい気もするけど……。「じゃあ特別ね。今日は藍の誕生日だし、一緒に入ろうか」「ああ、一緒に入ろう。この子もな」「うん」その日の夜は、藍と一緒に湯船に浸かりながらいろんな話をした。「透子のお腹に俺の子がいるって思うだけで、俺本当に幸せなんだ」「そっか。めっちゃ幸せなんだ」「ああ、めっちゃ幸せだ。……透子とだから、こんなに幸せなんだよ」藍に後ろから抱き締められるだけで、心臓がバクバクする。「藍……三人で、幸せになろう」「ああ、とびきり、幸せになろう」「うん、ずっと……一緒にいてよね」「もちろんだ。離すわけないだろ」そう、藍は前からこんな人だった。 わがままで、自分勝手で、わたしのことばかり考えているし。そんなわたしは、藍のために頑張らないといけない。藍とわたしの幸せのために。その日は、藍の隣で幸せな気持ちのまま眠りについた。✱ ✱ ✱それからは本当にあっという間に過ぎていった。相変わらず藍の溺愛は増えていくばかりで、わたしの心はザワザワしている。わたしのお腹はどんどん大きくなっていって、気が付けば歩くのがやっとな感じになってきた。「透子、俺がやるって」「大丈夫だって」「ダメだ。ケガしたら大変だろ?」 洗濯物を干しているわたしの横で、藍は心配そうな表情でわたしのことを見ていた。「本当に大丈夫だって。藍は心配し過ぎなんだよ」そうは言ってみても、藍は聞く耳を持たないのだ。「だって透子はもう妊婦なんだぞ? お腹だってこんなに大きくなってるんだしさ」藍はその大きくなっているお腹に手を触れながら、そんなことを言ってきた。「……まあ、そうだね」「だろ? 透子
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56話

それはいいことだし、赤ちゃんにとってもきっと嬉しいことだと思う。「良かったね。パパは頑張ってるよ」お腹の赤ちゃんに話しかけてみる。「藍、今この子動いたよ」「マジ?そっか。よく動くようになってきたな、赤ちゃん」「うん。きっと活発な子になりそうだね」もちろん、この子が動くたびに嬉しくなるのは確かである。「そうかもな」「なんだか、藍みたいね」なんて思いながらも、我が子が産まれてくるのを誰よりも楽しみにしているのは、きっと藍だ。藍にとっては待望の第一子で、初めて父親になるのだから。わたしにとっても、初めての出産になるから、不安があるけど。父親になるという不安よりも、産まれてくる楽しみの方が大きいのだと、藍は言っていた。「そうだな。……すげぇ、楽しみだな」「そうだね。もうすぐ、産まれるね」お腹に手を当てながら、そう呟くわたしに、藍は「産まれたら、たくさん子供の写真を撮らないとな」なんて笑いながら言っていた。「そうだね。撮らないと、だね」きっと高城社長も、この子が産まれてくるのを楽しみにしているはずだ。孫のためにまだまだ健康でいないとダメだなと、藍にこの前言っていたらしいし。 きっと産まれてくるのが、相当楽しみ、なんだと思う。「公園にも行きたいだろ?それから、遊園地にも行きたいし、水族館だって連れてってやりたいだろ?それから……」と考え込む藍に、わたしは「大丈夫だよ。心配しなくてもその願い、全部叶えられるから」と言って微笑んだ。「……そうだよな。叶えられる、よな?」「当たり前じゃないの。だってこれから何十年も子育てしていくんだよ? 全部叶えられるに決まってるよ」藍がそう思ってくれているように、わたしもそう思ってるから。わたしたちの目指す場所は同じ。家族みんなで幸せになること。そしてかけがえのない思い出を作っていくことだから。 それを叶えられるのは、藍とだからなんだよ。我が子を思う気持ちは、わたしたちはいつだって同じだから。こうして過ごしていく日々の中で、こんなにも誰かを思い、時には泣いたり笑ったり、幸せに感じたりすることがお互いにとっては毎日の日々の確かな幸せだから。夫婦になって、絆を深めあって、支え合って。時にはケンカしたり、迷ったり、立ち止まったりもするけれど……。 それでもわたしたちは、こうして過ごしてきた日々をち
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57話

「俺もなりたいよ。透子と、子供とみんなで幸せになりたい」「……わたしもだよ。これから先もずっとずっと」わたしたちは家族になって、これからも色んなことを学んでいく。家族になるのも、親になるのも、わたしたちはまだこれから一年目だし。だけどどんな時でも協力しあって、みんなで明るく楽しく生きていきたい。たくさん笑って、楽しい未来図を藍と共に作っていくんだ。「透子、いつもありがとう。……これからも、よろしくな」「こちらこそ、よろしくね。……まだまだ妻として足りないところもあるかもしれないけど、温かい目で見守っててね」わたしはそう言うと、藍の両手を握り締めた。「俺も、夫してまだ足りないところもあるかもしれないけど、温かい目で見守ってくれると嬉しいな」そんなのは当たり前だ。夫婦ってそういうものではないかと思っている。足りないところをお互いに補うことこそ、夫婦だと思う。「もちろんだよ。……二人で一緒に、明るい家庭を作っていこうね」わたしのその言葉に、藍は「もちろんだ。俺にはもう、透子だけだからな。 透子以外、何もいらないよ」そう言って唇を重ねてくる。「透子、これからもたくさん愛してやるからな。死ぬまでずっと。 だから、覚悟しとけよ?」 藍にそう言われたわたしは「もちろん。これからも藍にずっと愛してもらう覚悟なら、あるに決まってるでしょ? だって藍の妻になれる女は、わたししかいないんでしょ?」と返事を返した。「ご名答。よく出来ました」そう言ってはにかむような笑顔を向けた藍に、今度はわたしから藍の唇にキスをした。「珍しいじゃん、透子からキスしてくれるなんて」そう言いつつ、藍は嬉しそうに笑っている。「藍。浮気したら、即離婚だからね? 忘れないでよね」「バカだな。俺が浮気なんてする訳、ないだろ? 俺は透子一筋の男なんだからさ」「本当かな〜」なんて言いながらも、わたしは藍のことを信じている。藍だけが、わたしの全てだ。藍と出会って気づいた。大切な人はいつも、すぐそばにいることを。「あ、今動いてる」「どれどれ?」こうして父親になる嬉しさが、藍からたくさん伝わってくる。 藍はきっといい父親になる。 わたしはそう確信している。「赤ちゃん、産まれたら……わたし、なんだか泣いちゃいそうかも」きっと感動して、泣いてしまうに違いない。 「大丈夫だ
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58話

藍が決めたその赤ちゃんの名前を、今からとても楽しみにしている。わたしも藍に名前を決めてほしいから、藍の決めた名前に賛成したい。「俺は、いい父親になれるかな」「……なれるよ、藍なら。絶対になるよ」藍はこの子にとっては、世界でたった一人だけのパパなんだから。この子が藍のことを世界一のパパと呼んでくれる日が、いつか来るかもしれないしね。わたしはその日まで、待つことにしようかな? この子の母として、見守っていく必要があるから。「この子にとって、自慢の父親にならないとな」藍がそう話すから、わたしも「それ言ったら、わたしも自慢の母にならないとだね」とお腹に手を乗せる。「透子はもう、自慢の母になってるだろ」「そうかな?」「俺にとっても、透子は自慢の妻になってるよ」藍がわたしの頬にちゅっとキスをする。「ありがとう、藍」わたしのことを自慢の妻と言ってくれる藍こそ、自慢の夫だと思う。「俺さ、透子のことが毎日愛おしくて仕方ないんだよ」「相当、わたしのこと好きなのね」「ああ、毎日愛している」こうして毎日愛を囁いてくれるのは、藍しかいない。「頼もしいわね、藍は」「父親になるんだし、頼もしくないとな?」藍はいつか、高城ホールディングスを継ぐ人間だけど、藍は夫ととしても父親としても、人間としてもとても立派な人だ。 藍ほどの人間は、見たことがない。 藍みたいなストイックな人が子供の父親だなんて、子供はきっと幸せに違いない。「頼りにしてるわね、藍」「任せておけ」藍の両親から、この間安産祈願のお守りを頂いたので、無事に産まれてくることを祈る。「藍、お昼蕎麦にしない?」「蕎麦?」そろそろお昼ご飯の時間だ。「なんか、蕎麦が食べたい気分なの」「いいね、蕎麦。 よし、じゃあ俺が蕎麦茹でるか」藍は気合が入っているのか、ソファから立ち上がる。「やってくれるの?」「ああ、透子は座ってていいからな」藍は腕まくりをすると、キッチンに立ちお蕎麦を茹でる用意をしている。「いいパパで良かったですね」赤ちゃんも元気に動いているので、毎日幸せを感じる。 「この子が幸せなら、嬉しいな」 わたしはこの子が出来て、嬉しいし……幸せだ。✱ ✱ ✱それからは出産まで、平和な毎日を過ごしていた。そしてニ週間後ーーー。「おめでとうございます、お母さん! 元気
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59話

藍のその表情は、まるで人形みたいにフリーズしていた。だけどその目は、嬉しそうに笑っているように、わたしには見えた。「……そうだよ。起きたんだよ、奇跡が」小さな命がわたしたちの宝物になり、産まれてきてくれた。 これはどう考えても奇跡としか、言いようがない。 奇跡以外に呼べるものは、きっとない。初めての出産は、とても大変で、とても痛くて、とても辛いものに感じた。頭が真っ白になりそうなくらいだった。  よく鼻からスイカ……というけれど、本当に切実にそう思った。 陣痛が来た時は早いなと思ったくらいだったし、正直本当に戸惑ったし、焦ったりもした。だけどその分だけ、幸せがやってきたことに変わりはないから……。こんな天使がやってきたら、その辛さなんて吹っ飛んでしまった。その後病室に戻ったわたしたちは、赤ちゃんの名前を決めることにした。藍が決めてくれた二つの候補の中から、選抜された名前を今日ここで聞けるんだな……。「藍、名前決まったんだよね? 教えてよ」早く知りたいな、この子の名前。「俺が付けたい名前は、結人《ゆいと》だ」「結人……?」「ああ、結ぶに人と書いて結人だ。 結人には、たくさんの出会いに感謝して、これから出会う人との繋がりを大事にしてほしいという願いを込めて、結人にした」結人……。素敵な名前。この子にとてもピッタリな名前だ。「いい……。すごくいい名前だよ、藍」わたしは藍がこんなにも素敵な名前を考えてくれるなんて思ってなかったから、ビックリした。 だけどすごく藍らしい、いい名前だ。……結人か。「本当か?いいか?」「いいよ、すごくいい。……最高の名前だよ、藍」高城結人。 今日から我が子の名前は、結人に決まった。これから出会うたくさんの人への感謝と、そして人との繋がりを大事にしてほしいという願いを込めて付けられた大切な名前。この子にとても相応しい名前だと思う。「透子もそう思うか?」「もちろんだよ。……いい名前考えてくれて、ありがとう、藍」結人……。わたしもすっかり気に入ってしまった。「結人……。いい響きだな」「うん。本当にいい響きだね」これからわたしたちの、家族になるための子育て生活が始まっていく。結人と三人での生活は、どんなことが待っているだろうか……?だけど楽しみな反面、不安もあるし、ワクワクした気持ちもある
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