「若葉!」樹は半狂乱になりながら叫んだ。若葉のもとへ駆け寄ろうとしたが、他の倉庫が再び爆発し、その熱風によって吹き飛ばされてしまった。地面に強く叩きつけられ、全身を走る痛みに意識が遠のきそうだ。しかし、痛みなんかそっちのけで、ふらつきながらもなんとか立ち上がる。そして必死に倉庫のほうへ向かおうとしたが、数歩も進めずにまた倒れてしまった。「若葉、待ってろ!必ず助けるからな!」樹は目を真っ赤にしながら、指で地面をかき、必死に倉庫のほうへと這っていく。指の皮がすりむけて血が滲んできても、彼は止まろうとはしなかった。しかし、樹が数メートルも進まないうちに、泉が自分のほうへ必死に走ってくるのが見えた。「樹、どうしたの!なんでこんな酷い怪我を?ここは爆発がひどすぎるわ!早く一緒に逃げよう!」樹は若葉がいた方向をじっと見つめる。乾いた唇がかすかに動いたけど、言葉にはならなかった。泉は樹の心配そうな様子を見て、その顔に一瞬嫉妬の色を浮かべた。そして、彼の視線を遮るように、そっとその前に立つ。「樹、もう若葉さんのことは心配しないで大丈夫だと思うよ。だって、彼女にはボディーガードがたくさんついてるでしょ?きっと無事よ」泉の言葉に、樹はほんの少しだけ安心することができたが、やはり彼の心はまだ焦りと不安でいっぱいだった。まだ若葉を探しに行きたそうな樹の前で、泉は突然激しく咳き込んだ。その血しぶきが樹の手にかかり、彼はハッと我に返る。「泉、どうしたんだ!しっかりしろ!今すぐ病院に連れて行くから!」樹の早口な声には、隠しきれない不安が滲んでいた。彼は泉を勢いよく抱き上げ、そのまま足早に港の外に停めた車へと向かった。エンジンをかける直前、樹は最後にもう一度だけ、若葉がいた倉庫のほうを見た。しかし、視線を戻すとアクセルを強く踏み込んだのだった。……病院の前に車を停めると、樹は泉を抱えて駆け込んだ。そして、焦って彼女を診てくれる医者を探す。必死になっていた樹は自分の怪我のことさえ忘れていた。看護師の驚く声が聞こえて、やっと自分の足元に意識が向く。そこには血だまりができていた。そして、傷口に消毒液が染みるはずなのに、なぜだか樹はまったく痛みを感じなかった。ただ、頭の中には若葉の姿が繰り返し浮かんでくる。そして今
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