Semua Bab 愛の行方〜天才外科医の華麗なる転身〜: Bab 31 - Bab 40

59 Bab

31話

「本当に、申し訳ない……」 うなだれ、涙を流す成也を見て、明里はぎょっとする。学生時代から彼を知っているが、涙を見たことなど、1度もなかった。「成也さんが悪いわけじゃないでしょ。悪いのはミアなんだから、謝らないで」 成也は重苦しく首を横に振った。「いいや、全部折れが悪い。あの時も、今回も……」「成也さん……?」「前にも言ったが、ミアは幼馴染だ。俺達より3つ上でさ。今は3歳差なんて気にしないけど、子供の頃は、大きく感じた。ミアは、昔から口が上手いんだ。俺が父さんの骨董品を間違えて割った時、ミアが上手い具合に言いくるめて、怒られないようにしてくれたんだ。そんなことが何回かあって、頼れるお姉さんって思ってたけど、実際は狡猾なだけだったな」 力なく自虐的に笑う成也を見て、胸が痛む。(どうして私がこんな気持ちになるの?) 今は小雪を助けるために、色々動くべきだ。何をしたらいいのか分からないが、小雪のことで、頭がいっぱいになっているはずなのだ。それなのに、成也のことも気になって仕方ない。「明里と結婚した後、ミアは俺や両親に色々言ってたんだ。明里が他の男といたとか、繁華街に入っていくのを見かけたとか。最初は何言ってるんだって思ってたよ。明里が真面目で、そういう面では潔癖だって知ってたから。 そしたら今度は、外科医なんて、家族を優先できない仕事を続けるなんておかしいって言い始めてさ。正直、ちょっと不満だった」「女が外科医だと生意気だって思ってたから?」「違う! 断じて! 生意気だなんて思ったことない。むしろ、尊敬してた」 明里の問いに、成也は顔を上げ、両手を振って必死に否定した。明里は不思議な気持ちでそれを見る。ここまで感情をむき出しにした成也を向き合うのは、新婚時代以来だ。「ほら、患者がいつ急変するか分からないから、新婚旅行も日帰りな上に、都内だったろ? それに、いつも職場の携帯持ってて、着信音と似た音が聞こえたら、素早く携帯確認してたし……。こんなこと思うのは子供っぽいって分かってたけど、寂しかったんだよ」 古い棘が、再び明里の胸を刺した。 小雪がまだ幼稚園生の頃、お遊戯会の途中で患者の容態が急変し、緊急手術をするために幼稚園から抜け出したことがある。8時間にも及ぶ大手術と患者のケアで、帰宅出来たのは3日後。 謝罪も兼ねてお菓子とぬいぐるみを
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-06
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32話

「おかえりなさい、お嬢様。お疲れでしょうけど、こちらへ」 花蓮に言われ、彼女と共に涼の書斎に行くと、涼は難しい顔をしていた。テーブルには書斎に似つかわしくないマスコットがふたつ。以前、成也が小雪に渡したものだ。どちらも切り裂かれ、小さな機械がはみ出ていた。「月ノ宮ミアが作ったマスコット、やっぱり黒や。こっちは小型カメラで、こっちが盗聴器。目の部分がカメラになっとったわ」 涼はマスコットの足をつまむと、忌々しげに睨みつける。「点と線が繋がったな。ミアはきっと、明里や小雪がおること知ってて、こないなもんを月ノ宮成也を使って、渡したんや」「どうかな……」 明里がぽつりと呟くと、涼は眉間にシワを寄せる。「そうに決まっとる。明里が月ノ宮成也と再会したのは、ホテルのロビーやろ? 業務提携する前や」「そうだけど、その頃の成也さんは、私が神宮寺家にいるって知らなかったの。それに、取引先にお邪魔する時、その家に子供がいたらいつも持っていくって……」「恐るべし、月ノ宮ミア……。きっとそうやって、色んな人の情報集めてたんですよ」「そうやろな……。花蓮ちゃん、吉崎に声かけてきて」「分かりました」 花蓮は早歩きで書斎を出る。明里は困惑しながら涼を見上げた。 吉崎というのは涼の秘書で、明里も何度か会ったことがある。 眼鏡にスーツ。七三分け。ザ・秘書といった感じの見た目で、冗談も通じない。とっつきにくくて苦手だ。 涼が吉崎に絶対的な信頼を寄せているのは知っているが、吉崎に声を掛ける意味が分からない。どんなに有能でも、彼は一介の秘書に過ぎないのだから。「兄さん、どうして吉崎さんに?」「あぁ、明里はまだ知らんかったか」 涼は思い出したように言うと、いたずらっぽく笑った。「あいつ、有能三兄弟でな。1番上が有能な弁護士。2番目が有能な俺の秘書。で、末っ子が有能な探偵なんよ。それに、クソ真面目な顔して、ええ性格しとってなぁ」 楽しそうに笑う涼を、明里は訝しげに見る。明里の視線に気づいたのか、咳払いをして真顔を作った。「とにかくな、頼りになんで。あの3人は」「そう……」「安心しぃ。俺が責任持って、月ノ宮ミアを豚箱にぶち込んだる」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-08
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33話

 翌朝、明里は充電されているスマホの前で、ミアの連絡を待っている。昨晩から一睡もしておらず、目の下に酷いくまが出来ている。顔つきもどこかやつれた印象で、昨日明里と会った人が見たら、驚くだろう。それほどまでに顔つきが変わってしまった。 花蓮が声をかけなかったら、シャワーすら浴びなかっただろう。それだけ明里の頭の中は、小雪のことでいっぱいになっていた。(兄さんは吉崎さんに頼るように言ってたけど、こればかりは私がやらないと。私が、小雪を取り返すんだ) 無意識に手に力が入り、爪が手のひらに食い込む。 スマホから通知音がすると、明里はスマホを手に取る。ミアからメッセージが来たと知ると、急いでチャットを開く。〝今日の12時、ひとりで来なさい。場所は誰にも知らせないこと。GPS、盗聴や盗撮できるものは持ってこないで。もし見つかったら、小雪ちゃん、殺しちゃうから。車で来てもいいけど、車にもそういったものは置かないこと〟 場所の指定と共に、そういったメッセージが送られてきた。指定された場所は、デパートの駐車場だ。「昨日言ってたのと違うじゃない」 声に出して気付いた。きっと、昨晩のミアは気が立って場所と日時を言ってしまったのだろう。それに、昨日伝えられた場所は、涼が調べさせに行った。人がいた痕跡こそあったが、もぬけの殻だったと報告を受けている。「焦ってるのね、らしくない」 昨晩、明里が成也に近づいたのが、よっぽど不愉快だったのか。それとも、誘拐なんてだいそれた犯罪を自分でしたことに、ビビっているのか。 どちらにせよ、ミアがミスをしたのは紛れもない事実だ。 出かける準備を始めると、涼がノックをした。部屋に招くと、涼と花蓮が入ってくる。ふたりも寝ていないらしく、目の下にくまがある。「おはようさん。明里、食欲ないやろけど、これだけでも食べてくれへん?」「お願いです、お嬢様」 花蓮はテーブルにサンドイッチとオレンジジュースを並べた。「せめて、オレンジジュースだけでも……」「ありがとう、ふたりとも」「あの後、進展は?」「ミアから連絡が来た」 明里はチャットを開き、涼にスマホを手渡した。「昨日興奮して場所言うてもうたもんなぁ。けど、デパートねぇ」「なんか、無理あるというか、そういう場所に向いてないと思うんですけど」 花蓮が小首をかしげる。花蓮の言う通
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34話

 涼の運転でレンタカーの会社に行き、ドライブレコーダーがない軽自動車を借りると、指定されたデパートに行った。30分前に着き、ミアに連絡すると、今度は近くのコンビニを指定された。「なんなのよ、もう!」 不安と苛立ちが増し、ハンドルを殴りつける。 指定されたコンビニに行って連絡するも、また別の場所へ……。そういったことが更に2回繰り返され、不安で頭がおかしくなりそうだ。「いい加減にしてよ!」 思わずスマホに怒鳴りつけてしまう。ミアに指定された場所に到着したと連絡すると、今度はある廃墟に行くように連絡が来た。「今度こそいるんでしょうね?」 疑いながらも廃墟に向かう。この時既に午後4時を過ぎていた。 到着したのは5時半。黒服の男が数人いて、明里に気づくと近づいてくる。「神宮寺明里だな?」「そうよ」「降りろ」 降りると男は「よこせ」と言うように、手を差し出す。「鍵をよこせ」 男に鍵を渡すと、男は車をどこかに停めに行った。別の男が明里に近づく。「バッグを見せろ」 バッグを渡すと、男はバッグを漁る。更に別の男が、無遠慮に明里の体に触る。「やっ、ちょっと!」「ボディチェックだ。大人しくしろ」 ボケットや服の中を探られる。いつもなら不愉快と思っていただろうが、今はそれどころではない。もうすぐ小雪の顔を見られると思うと、居ても立っても居られない。「変なものは入ってないな。ボスの元へ案内してやる」 明里は黒服に囲まれながら移動する。歩きながら、明里は思考を回していた。(ボスって、ミアのこと……? ミアは何者なの?) ミアの実家が裕福であることは、明里も知っている。本人から何度も聞かされたのだから。両親が実業家で裕福な自分のほうが、成也にふさわしいと何度も言われた。 だが、実業家の娘が何故、こんな怪しい連中といるのだろう? それが理解できなかった。 あの後、睡眠薬を処方された成也は夢を見た。子供の頃の夢だ。 まだ幼稚園生だか、小学校低学年の頃。ミアと横断歩道を渡っていた。その時、白いところしか踏んではいけないというゲームをして遊んでいた。 ミアはすいすい進んだが、まだ体が小さかった成也は、ひとつひとつ渡るのに苦労していた。「危ない!」 少女の声。そして、地面に寝ている自分。「大丈夫?」 ミアが手を差し伸べ、成也を起き上がらせて
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35話

 廃墟に入ると、ふたりがいた。ミアは廃墟に似つかわしくない真新しいソファに座り、チーズをつまみながらワインを呑んでいる。小雪は元々この廃墟にあったと思われるボロボロの椅子に縛り付けられていた。「小雪!」「ママ!」 駆け寄ろうとしたが、黒服の男に腕を捕まれ、小雪のところに行けない。「勝手に動くな。次はないと思え」 黒服の冷たい声にゾッとする。「うるさい。私が許可してないのに、喋らないで」 ミアは煩わしそうに顔をしかめると、黒服たちに合図を出した。彼らは無言で廃墟から出ていく。「余計なことしないで」 明里が小切手を出そうとバッグに手を入れると、ミアは明里を睨みつけた。「変なものを出そうとしてるわけじゃないの」「じゃあ、何?」「ただ、小切手とペンを出そうとしただけ。お金がほしいなら、いくらでもあげる。好きな額を書いて」 明里が言い終わると、ミアはプッと吹き出し、お腹を抱えて笑い出した。「ぷ、あは、あははははっ! ばっかじゃないの。お金なんかいらない。私は社長夫人よ? あんたみたいに馬鹿みたいに働かなくても、お金ならたくさんあるの」「じゃあ、何が目的なの?」 明里が言うと、ミアは真顔に戻り、まっすぐ明里を見つめた。「簡単よ。成也に近寄らないで」 明里は内心呆れ返った。なんてくだらない理由なのだろう。発想が小学生女児のそれだ。同時に怒りが込み上げてくる。「近寄るなもなにも、私は彼に未練なんてない。それに、兄の仕事を支えるために、家族ぐるみの会食に参加しただけ」「兄? そういえば、神宮寺涼と、どういう関係なわけ? あんたがあの家にいるの、理解できないんだけど」「あなたには関係ない」「自分の立場、分かってるの?」 ミアはナイフをチラつかせながら、挑発するように言った。 明里は仕方なく、6年前に涼に助けられ、彼が生き別れの兄であることや、DNA鑑定もしたことなど、すべてをミアに説明した。「ふぅん、まるでシンデレラね。あんたみたいなのがそんな人生歩んでるとか、ムカつく」
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36話

「あんたが神宮寺家にいる理由は分かった。改めて言う。成也に近づかないで。あの人は私のものなの。家族ぐるみの食事は大事ではあるけど、必須ではない。だから、あんたはいらないの」「そうね、あなたの言う通り、会食だけなら素直に応じてた。けど、そうも言ってられないの」 明里が真剣に話しているというのに、ミアは鼻で笑い、軽蔑の眼差しを向けた。「今度はどんな理由で成也に言い寄ろうっていうの? 今は私が成也の妻なの。あの頃と立場が逆なの。分かってる?」「そんなこと、分かってる。私はもう、成也に恋愛感情は抱いてない。冷静に聞いて。成也さんは末期の胃がんなの。早急に治療する必要がある。そしてあの病院で治療をできるのは、私だけ。関西で他の医師を探してる間に、手遅れになる」「何を言うかと思えば。バッカじゃないの。そんな理由で私が納得するとでも? 成也の家は関東にあるの。それはあんたも知ってるでしょ? 今は仕方なく大阪なんて下品なところに来てるけどね。 成也は関東で1番の病院に転院させるわ。あんたみたいな色目使うようなヤブ医者じゃなくて、ちゃんとした医者にね」「嘘なんてついてない!」 明里は絶望した。きっとミアは、何を言っても信じてくれない。明里の言葉をすべて嘘と捉えてしまう。 ちらりと小雪を見る。小さな少女は、必死に涙をこらえ、明里を見ている。ミアの言う通りにすれば、小雪は助かる。だが、成也が助からない。かつて明里をボロ雑巾のように捨てた男でも、医者として見捨てるわけにはいかない。(どうすればいいの……)「よく聞いて。きっと、東京の大きな病院に行けば、成也さんを助けられる医師はいる。けど、それは今の成也さんの状態での話。なんなら、紹介してもいい。けど、それじゃダメなの。 大阪から東京への移動は、負担がかかりすぎる。移動中に急変したら、助かる命も助からないの! お願い、私に治療させて。治療が終わったら、日本から出ていくから」「ふふ、あははははっ!」 廃墟にミアの狂った笑い声が響き渡る。彼女はトップモデルのような足取りで明里に近づくと、明里の頭を掴んで押し飛ばした。突然のことに受け身すら取れず、ホコリまみれの床に倒れてしまう。 ホコリが口と鼻から侵入し、むせ返る。「ママ! ママをいじめないで!」「うっさい! ガキは黙ってろ! 静かにしないとあんたのママ殺すよ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-16
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37話

『私は地味でブスで、なんの取り柄もないクソ女です。ちょっと賢いからって、調子に乗ってごめんなさい。今の地位はお偉いさんに体を売って手に入れました。 私はセックスが大好きで、月ノ宮家にいる時も、色んな男とセックスしました。あの子供の親は誰かは分からないけど、少なくとも月ノ宮成也様の子供ではありません。 もう月ノ宮家には関わりません。これからは外科医を辞め、底辺のドブネズミらしく、体を売って残飯を漁りながら生きていきます。子持ちのおばさんですけど、買ってくれる男性募集中です。 月ノ宮ミア様、ドブネズミのくせに調子に乗ってすいませんでした。どうか男を紹介してください』 ミアが手渡してきた紙には、そう書かれていた。怒りを通り越して呆れ返り、言葉も出ない。どういう生活をしていたら、こんな幼稚なことを思いつくのだろう? ピロン♪と間抜けな音に顔を上げると、ミアがスマホで明里を撮影していた。「ほらほら、撮ってあげるから、それ読んで土下座しなさいよ」「こんなの、事実無根よ! 私は体を売ったことなんてない!」 言い終わる前にミアは明里を蹴り飛ばし、顔を踏みつけた。グリグリと踏みにじり、痛みを与えようと躍起になっている。 実際に痛いし怖い。けど、どこか冷静な自分がいて、ミアが滑稽で哀れな存在に見えた。「あんたに選択肢はないって言ってんだろ! はやく言えよ! 娘殺されて良いのか! あぁっ!?」 ヤクザのように声を荒げると、呼吸を整えていつもの猫かぶりをする。「ほーら、小雪ちゃん死なせたくないでしょ? 心を込めて土下座してね」 ミアは紙を明里の顔に押し付ける。明里が土下座の体勢になると、ミアは再びカメラを回した。(悔しい……。どうしてこんな女に……) 冷静さ故に怒りや悔しさが込み上げ、涙が溢れる。「泣いてないではやく読めよ」「わ、私は……」 明里が震える声で読み上げようとした途端、外が騒がしくなる。何かが倒れるような音、男達の怒鳴り声、悲鳴……。乱闘しているのだと、喧嘩の現場を見たことすらない明里にも分かった。「は? ちょっとなんなの? 見張りはなにしてんの!」 ミアが苛立たしげに声を荒げ、外の様子を見に行こうとドアに近づくと、ボロボロのドアが破壊され、警察がなだれ込んでくる。警察はミアを取り押さえた。「月ノ宮ミア、誘拐の現行犯で逮捕する」「他
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-16
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38話

「お前にはがっかりだよ」「成也、これは違うの。この女の自作自演で、本当に攫われたのは私!」 ミアの言い分に、明里は呆れ返った。この状況で何故そんな分かりきった嘘をつけるのか、理解に苦しむ。「私は嵌められたの! あの女に子供を預かるように言われたから、預かってただけ。ここで子供を返すように言われて……」「それは後で分かることだ。お前とは離婚する」 ミアの言葉を遮り、はっきり答える成也に、ミアの顔は見る見る青ざめていく。「どうして!? 私はあなたの命の恩人で、運命の人でしょ!?」「お前はずっと嘘をついてた。ほんと、がっかりだよ。お前にも、騙され続けてた自分にも」 嘘をついていたのは本当だったらしく、ミアはショックで何も言えなくなった。呆然とするミアを、警察は連行する。 婦警も数人入ってきて、小雪の縄を解いている。成也はふらふらしながら明里の元へ行き、彼女の前で座り込んだ。「どうして、ここに……」「居ても立っても居られなくて、無理やり来た。看護師達の目を盗んで病院を出るのは、大変だったよ」 いたずらっぽく笑う彼は、間違いなく明里が愛していた男の顔をしていた。「ママ!」「小雪!」 駆け寄る小雪を抱きしめる。小さなぬくもりが愛おしい。安堵や懺悔が入り混じり、涙になって溢れてくる。「ごめんね、小雪……。ママが目を離したから……」「ママ、ママぁ!」「よかった、な」 成也は弱々しく微笑み、倒れてしまう。「成也さん!」「おじさん!」 ふたりの声を聞いて駆けつけた警官達は、救急隊員を呼びに行った。すぐに救急隊員が担架を持って来て、成也を救急車に運び入れた。「小雪、ママ、この人助けないといけないの。警察の人達と待てる?」「やだぁ」 しがみついて泣きじゃくる小雪に、胸が痛む。本当は小雪を抱きしめたい。一緒にいたい。だが、成也を救えるのは自分だけ。「お願い、あの人を助けられるのはママだけなの」「小雪、ママを困らせたらあかんよ」 安心感を与える頼もしい声が降ってくる。顔を上げると涼と花蓮が立っていた。「ふたりとも! どうしてここに?」「話は後や。小雪、おじさんが甘やかしたるから、ママのこと離したって。ママは人を助けなあかんねん」「やーだー!」「ええ加減にせぇ!」 涼の大声に、現場は一瞬静まり返り、小雪は火がついたように大声で泣
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-16
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39話

「小雪ちゃんの保護者の方ですか?」 婦警が3人に近寄り、関西訛りの敬語で優しく声を掛ける。「あぁ、せやで。今回はおおきに」「いえ、仕事ですから。小雪ちゃんも検査が必要なので、一緒に来てもらえますか?」「分かりました。花蓮ちゃん、小雪と一緒に行ってくれへん? 俺は自分の車で追いかけるわ」「わっかりましたぁ。小雪ちゃん、行こう」「うん……」 花蓮は小雪を受け取ると、婦警と一緒にパトカーに乗った。涼は自分だけパトカーを追う。 一方成也は、明里の治療のおかげで一命を取り留め、個室にいた。「あんな無茶をするなんて……」「俺の子だと思うと、気が気じゃなかった。それに、お前が悲しんでるところ、見たくなかった」「成也さん……」 今までなら、「小雪はあなたの子供じゃない」と突っぱねていた。だが、今は何故かそれが出来ない。「もう、否定しないんだな」「その話はまたあとで。今は治療に専念して」「分かったよ、先生」 成也が優しい笑みを浮かべ、甘い雰囲気が流れる。このまま雰囲気に流されてはまずいと思い、咳払いをして話題を探す。「そうだ、あの時……。ミアに、運命の人じゃないのって言われた時、否定してたけど、どうして?」「あぁ、あれか……」 成也は目を閉じてため息をつく。「今思えば、ありえないんだよ」「え?」「事故の話、明里にはどこまでしたっけ?」 かつての記憶を巡らせる。ミアに助けられたという話は何度が聞いたが、具体的なことは聞かされてない。「交通事故で助けてもらった、としか……」「そっか……。じゃ、ほとんど話してないな。子供の頃さ、横断歩道で遊んだことないか? 白いところしか歩いちゃダメって」 子供の頃を思い出す。確かにそんな遊びを何度かして、大人に怒られたことがあった。「あったかも」「ミアと横断歩道を渡る時、その遊びをしてたんだ。あの時はミアの方が大きくて足も長いから、アイツが先に渡り終え立てたんだ。でも俺は、まだ小さくて、ひとつひとつ渡るのにジャンプしないと渡れなくてさ。ミアは『はやくはやく』って急かすんだ」 成也は懐かしむように目を伏せた。明里は複雑な気持ちでそんな成也を見つめる。「渡るのに必死で、車が来てるのに気づかなかった。後ろから誰かが俺のことを押して、それで助かったんだよ。だから、先に渡ってたミアが助けたなんて、ありえ
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40話

「明里が運命の人だったんだ……! ホント、バカだな、俺」「待ってよ、運命の人だなんて……」「あぁ、ごめん。都合いいよな」 寂しそうに笑う成也に、なんともいえない気持ちになる。運命かどうかは知らないが、あの時のことははっきりさせたい。「私の話も、聞いてほしい」「あぁ、聞くよ」「あの時、6歳だったかな。眼の前に、お姉さんと同い年くらいの男の子がいたの。男の子は、ジャンプしながら渡ってて、車が来ても気づかなくて……。必死に体当たりしたの、覚えてる。お姉さんは、私をちらっと見たけど、男の子を連れて、どっかに行っちゃった」「それ、どこで?」 成也は興奮冷めやらぬ様子で聞く。街の名前を言うと、彼の目は宝石のように輝いた。「間違いない、助けてくれたのは明里だったんだよ」「そうかも。もしそうだとしても、私は運命とは思わない。ただ、あの時の男の子が無事で、本当に良かった」「君は、本当に優しいんだな……。なのに、俺は」 潤みだした成也の瞳にどきっとして、再び咳払いをする。「解決してよかったね。もう寝なさい。手術だってしないといけないんだから、少しでも体力温存しないと」「そうだな……」 名残惜しそうな成也に気づかないふりをして部屋を出ると、明里はへなへなと座り込んだ。「よかった……」 成也が一命を取り留めたことにより、緊張の糸が切れた。小雪のことを想い、涙がボロボロと溢れ出す。今すぐに愛娘を抱きしめたい。 小雪を抱きしめることを想像する。何故か成也と3人で団欒している光景が浮かび、頭を振ってイメージを追い出す。「とにかく、1回帰らないと」 明里は更衣室に行き、帰り支度をした。成也の手術が控えている今、帰れる日は限られている。今のうちに帰って小雪を抱きしめたかった。 コンビニでスイーツを購入する。本当はいつものケーキ屋に行きたいが、深夜で甘味を帰るのは、コンビニくらいだ。 帰宅するとパトカーが停まっていた。リビングに行くと警察官ふたりが、涼と花蓮から話を聞いている。「深夜にすいません。けど、話を聞かせてもらえませんか?」 明里は困惑した。警察に協力したいのは山々だが、今はそんな気力はない。「明里はさっき、急患の治療をして帰ってきたんや。堪忍したって。もうこないな時間やし。な?」「しかし……!」 若い警官が食い下がろうとするが、中年警官
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