Semua Bab 愛の行方〜天才外科医の華麗なる転身〜: Bab 41 - Bab 50

59 Bab

41話

「レンタカー、どうしよう! すっかり忘れてた!」「あぁ、安心しぃ。それなら俺が代わりに返してきたわ」「そっか、よかった。ありがとね」「ええんやで。それより、はよ休み」「うん、そうするね」 明里は小雪の部屋に行った。小雪は寝息を立てていた。もう日付が変わろうとしている時間なのだ、寝ていてもおかしくはない。「小雪、変なことに巻き込んでごめんね。ママ、もっとしっかりするから……」 小雪の寝息を聞く度に、睡魔が徐々に強くなっていく。(シャワー、浴びなきゃ……) 頭の片隅にやることを積み上げながら、そのまま眠ってしまった。「ママ、起きてよ。ねぇ、ママ!」 けたたましい声と揺さぶりで目を覚ます。体の節々が痛い。「うぅ……、小雪?」「ママ! もう、こんなところで寝ちゃダメでしょ? おふとんで寝ないと」 腰に手を当て、お姉さんぶる小雪が可愛くて、思わず抱きしめる。「わぁ、ママ!」「ふふ、小雪可愛い。本当に、無事でよかったぁ」 涙がボロボロ零れてくる。なんの涙なのか、自分でもよく分からない。「ママ、小雪はここにいるから泣かないで。よしよし」「小雪、小雪ぃ……。うわあぁ……!」 小さな手は背中を優しく叩き、頭を撫でてくれる。明里はしばらく、小雪の小さな胸で泣いていた。「ごめん、ありがとう」「どういたしまして」 えっへんと胸を張る小雪が可愛くて、また抱きしめる。「はぁ、ママ、お風呂入ってくるね」「うん、そうしたほうがいいよ」 小雪に見送られ、部屋を出ると花蓮と遭遇する。「あ、お嬢様。お風呂湧いてますよ。着替えも置いてあるので、ゆっくりしてください」「ありがとう、花蓮ちゃん」 泣き顔を見られた恥ずかしさで、そそくさと浴室に向かう。「はぁ、やっちゃった……」 湯船に浸かりながら、明里はひとり反省会をした。あんなことがあったから仕方ないのかもしれないが、6歳の娘の胸で子供のように泣くのは、思い出しただけでも恥ずかしさで死にそうだ。「けど、無事で本当によかった……」 湯船から出て身支度をすると、再び病院に向かう。成也の手術をしないといけない。その前に準備だ。他にもやることは山のようにある。「さて、頑張りますか」 頬を叩き、気合を入れた。
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42話

半年後、明里は平和に過ごしていた。検査の結果、小雪は怪我もない。今もカウンセラーの元に通っているが、もうそろそろそれも終わるだろう。 成也の手術も成功し、今も順調に回復している。 ただ、彼の会社は潰れてしまった。原因はミア。彼女は成也が関西の仕事に集中していることをいいことに、関東の仕事を好き勝手していた。粗悪な素材を使い、欠陥建築を増産したり、材料費を不当に値上げしたりとやりたい放題だ。横領までしていたのだから、救いようがない。 世間は厳しく、成也を徹底的に叩いた。妻の管理がなっていない。妻に任せたのが悪いと、ひどい言われようだ。 通院しながら謝罪行脚をしている。その謝罪行脚に涼が協力し、株を上げるあたり、涼もぬかりない。成也の容態が落ち着いたら、彼を雇うつもりでいるらしい。 成也は基本的に通院し、体調が崩れると入院をしていた。本人も色々調べて行動しているらしく、温泉や岩盤浴に行っているらしい。 ミアはというと、余罪がゴロゴロ出てきてなかなか裁判が始まらない。取引相手の盗聴、盗撮。金のない学生などに闇バイトの斡旋。チンピラをまとめ、様々な違法行為を繰り返していたという。明里への嫌がらせも、このチンピラ達を率いてしていたらしい。 組織的犯行もいくつかあるらしく、警察達は東奔西走していると聞いた。「はぁ、平和……」 桜並木を歩きながら、明里は深呼吸をする。温かく爽やかな空気が、体内に入る。「ずっとこうだったらいいのに」 買い物袋を抱えながら、ぽつりと呟く。成也達の謝罪行脚も落ち着いてきたらしく、小雪のリクエストもあって、たこ焼きパーティーをする予定だ。材料を購入した足で、小雪の迎えに行くことになっている。「お花見もしたいなぁ」 桜を見上げ、頬が緩む。神宮寺家全員でお花見をしたら、さぞかし楽しいだろう。その時は、成也もいたら嬉しい。「見つけたぞ。あの女の言った通りだ」 憎しみのこもったしゃがれ声に背筋が凍る。みすぼらしい初老の男が、肩で息をしながら明里を睨んでいる。「叔父さん!?」 かつての養父である茂樹が、ジリジリと詰め寄ってくる。以前は見るからに成金といった格好だったが、今は薄汚れたジャンパーに、ボロボロのジーンズだ。かつては毎月ホワイトニングしていて綺麗だった歯も、黄ばんでいる。整髪料で胡麻塩頭も伸び放題だ。「どうして、ここに
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43話

小雪の迎えを済ませて帰宅すると、涼と花蓮がたこ焼き器と生地を用意して待っていた。「おかえり。あとは具材カットして焼くだけや」「私、切ってきますね。お嬢様は座っててください」「小雪も手伝うー!」 花蓮は明里から具材を受け取ると、小雪を連れてキッチンに行く。「涼さん。これが終わったら、話したいことが」「なんや、また厄介事かいな」「今回は私が……」 明里が遠慮がちに言うと、涼はため息をつく。「もう明里達は充分やったやん。神サマも意地悪やなぁ。まぁええわ。タコパ終わったら俺の書斎で話そか」 花蓮と小雪が、カットした具材を持ってくる。たこ焼きパーティーは盛り上がり、デザートにベビーカステラを作ったりした。 花蓮に頼んで小雪を自室で遊ばせるように言うと、3人は涼の書斎に集まった。「で、今度は何があったんや?」「兄さん、養父のこと、覚えてる?」「あぁ、明里から金をせびっとった奴やろ?」 うんざりしたように言う涼の言葉に反応したのは成也だった。「もしかして、ミアが言ってた金食い虫のジジイって、あのおっさんか?」「ミアがなんて言ってたのか知らないけど、たぶんそう。あの人……。茂樹さんは私の叔父であり、養父なの。成也さんの会社で役員になったって言ってたけど……」「そうだ、結婚した後に役員にした奴いたな……」 成也は思い出し、苦虫を噛み潰したような顔をする。彼は彼で、茂樹に苦労したのかもしれない。「成也さんにも説明しないとね。叔父は私が外科医になってから、金をせびるようになったの。医大に通えたのも、外科医になれたのも俺のおかげって。成也さんと結婚したら、金持ちと結婚できるようになったのは俺のおかげなんて言って、更にお金を要求するようになったの……」「ごめん、そんなのがいたって知らなくて……」「あの頃は聞いてもくれなかったからね」 当時のことを思い出し、ついきつい言い方をしてしまう。成也の気まずそうな顔を見て気分が悪くなるが、解決法は見つからない。「まぁまぁ。そこまでにして。で、その金食い虫が、何しにきたんや?」「お金を要求された。けど、私がNOと言う前にナイフで襲いかかってきて……」「ナイフ!? 警察には?」「俺が通報しました。ただ、明里が大事にしてほしくないって言うから、刃物を持った不審者を見たと通報しました」「なんで普通に通報
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44話

「酷いモンやで。反社と繋がってるだけでもアウトやのに、金の行き場もない若者捕まえて、闇バイト強要したり、社交の場で自分より目立った女を後から襲わせたり……」「アイツ、そんなことしてたのか……。なんで気付けなかったんだ」 成也は頭をかかえ、ため息をつく。「それだけミアがうまく立ち回ってたってことでしょ。あの女の狡猾さは、私がよく分かってる。ミアは人を傷つけておきながら、自分が被害者のように振る舞うのが上手いから」「名家と呼ばれた月ノ宮家が、ひとりの女の手のひらで転がってたなんて、お笑い種だな」 自嘲的に笑う成也を見て、心が痛む。成也を許していいのか、未だに悩んでいる。「まぁまぁ。今は篠崎茂樹と月ノ宮……、失礼。榎本ミアの繋がりを調べなな。それと、明里と小雪にも、護衛をつけんとな」「そんな、大げさな」「大げさやない。何か起きてからじゃ遅いやろ」「分かった。護衛と行動する」「ん、ええ子」 涼は満足げに笑う。その隣で成也は、難しい顔をしていた。「君が悩んだところで、解決せえへん。気になるのは分かるけどな。病気悪化したらあかんし、もうちょい気ぃ抜きや」「それは難しいですね」 成也は苦笑すると、一礼して書斎を後にした。
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45話

「ねぇ、新入りさん。なんて名前だっけ? 502番さん」「うるさい! 貧乏人が気安く話しかけるな」 刑務所の一室。榎本ミアは相部屋にいた。罪状は数多あり、調査中の事件もあるが、今は小雪誘拐の件で刑務所に身を置いている。きっとこれから刑期が伸びていくだろう。(冗談じゃない。この私がこんな貧乏人共と、みすぼらしい共同生活なんて! 私はこんなところにいていい女じゃない。今に見てなさい。絶対にここから出て、地獄に落としてやる) 思い浮かべたくもないのに、明里の顔が勝手に脳裏に浮かぶ。殺意が膨れ上がり、頭がおかしくなりそうだ。(なんで、あんな女なんかに) 枕を殴りつけた。他の受刑者が何か言っているが、知ったことではない。 明里が憎くてたまらない。憎悪で身が焼かれそうだ。 成也を奪ったことももちろん許せないが、1番許せないのは彼の子を身籠ったことだ。成也には体型が崩れるのが嫌だからと断っていたが、ミアも本当は子供がほしかった。 だが、産めない体なのだ。原因は学生時代の過度なダイエット。当時は誰よりも細く美しくなりたくて、食事を抜き、運動をしていた。社交の場で誰よりも美しく咲き誇るために、努力を惜しまなかった。体重が減る度に口角が上がり、ボディラインが目立つドレスを身にまとい、男達を魅了し続けた。 誰もがミアに夢中になり、気分が良かった。時には同性からも熱烈な視線を向けられ、調子に乗った。 自分こそが美の神の生まれ変わりなのだと。更に脂肪を落とし、ちやほやされ、気持ちよくなった。 結果、不妊。 子供嫌いだったミアは都合がいいと思っていたが、歳を重ねて考えが変わり、成也との子供がほしくなった。その頃には遅く、子を宿せない体になっていた。 嘘だと信じたくて何軒もの産婦人科に行って検査をしたが、結果は同じ。(私が成也の子供を産みたかった。あんな女に負けるなんて、許せない) 枕を壁に叩きつけ、少しだけ気持ちが落ち着く。(まぁいいわ。操り人形なら、いくらでもいる。私が刑務所にいるからって油断してるんでしょ。そこを刺してあげる)「502番、面会だ」 看守がミアを呼ぶ。操り人形がミアの命令を受け取りに来たらしい。「今行きます」 模範生を意識しながら返事をし、看守の背中を見てにやりと笑う。(命の恩人って嘘は見抜かれた。成也はもう、きっと私のものにならな
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46話

 夜、そろそろ寝ようと寝支度をしていると、成也のスマホがけたたましく鳴った。「こんな時間に電話なんて、誰だよ」 舌打ちをしながらディスプレイを見ると、母だった。「なんで今更……」 会社が潰れた時、一方的に罵る電話をされて以来、両親から連絡はなかった。成也も連絡を取るつもりはなかった。だから無視を決め込んだのだが、何度もしつこく着信が入り、根負けして出ることにした。「もしもし?」「もう、何回もかけてるのになんですぐに出ないの!」 母、悦子のヒステリックな声に、頭痛がする、「寝てたんだよ。で、なんだ?」「こんな時に寝てるなんてノンキね。だから会社が潰れるのよ。この親不孝者!」「要件は?」 イライラをしながら質問をする。大きめの声で言わないと、悦子は永遠に文句を言い続ける。「強盗が入って大変だったの。もうこの家にいられないから、そっちに行くわ」「はあ!? いや、無理! 困る!」「はぁ、もう。大阪なんて下品なところに住むなんて、何考えてるのよ。私達と東京で住んでれば、こんなことになってないのに。ミアさんだって、あなたのせいで逮捕されたんじゃない? はやく保釈金でもなんでも払って出してあげなさいよ。だいたいねぇ、成也は昔から」 耐えきれず電話を切り、スマホの電源をオフにする。「もううんざりだ。黙れ」 ミアと結婚してる時はよかったが、明里と結婚してた頃や、ミアとの離婚後は、一方的に成也を非難してくる。そんな両親にノイローゼ気味になり、明里を一緒に責めていた。もちろん、そんな言い訳で過去に明里にしたことが許されるわけではないが。 この晩、成也は怒りと懺悔で眠れなかった。 翌朝、成也の頭痛は1通のメールによって悪化させられた。送り主はもちろん、母の悦子。関西で1番いいホテルのレストランで会いたいという。それだけならいいが、交通費と宿泊費はこっちが出すんだから、食事代くらいお前が出せと言う。 涼の元で働いているとはいえ、倒産して無一文になった成也には厳しい。知り合いの弁護士に頼んで自己破産したため、ある程度マシではあるが、迷惑をかけた取引先に慰謝料を払っているため、ホテルで食事をする余裕などない。 出社すると神宮寺涼が成也の顔を覗き込んできた。「おはようさん。顔色悪いけど、なんかあったん?」「おはようございます。社長。ちょっと、実家がご
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47話

 当日、成也は駅で両親と待ち合わせをしていた。約束時間を30分ほど過ぎて、ようやくふたりが姿を見せた。「本当に嫌ね、ここ。はやく東京に戻ってきなさいよ」「まったくだ。下品で空気も淀んでいて、居心地が悪い」 会って早々、ふたりは大阪の文句を言う。(空気が淀んでるのは東京も変わらないだろうが) 内心悪態をつき、タクシーを捕まえて神宮寺家へ向かう。「あんたって本当に情けないね。せっかく来てやったのに、レストランでご馳走もしてくれないの?」「しかも、よりによって神宮寺家になんか、正気か?」「お父さんが大きくした会社を潰して、本当に何考えてるの?」「本当に俺の子か疑いたいくらい、商才がないな。この親不孝者が」 神宮寺家につくまで、ふたりは成也を罵り続けた。成也はぐっと堪える。ここで口答えをしてもろくなことにならないのは、幼少期から学んでいる。 神宮寺家に着くと、花蓮がお出迎えをした。彼女はいつもどおり愛想よく振る舞ったが、月ノ宮老夫妻は鼻で笑い、案内された応接室に着くと、ふんぞり返って座った。 明里はドキドキしながら、隣室でじっとしている。できればあの老夫妻に会いたくはないが、成也が心配だった。「人の家だ。その態度はないだろ」「うるさい。神宮寺家の世話になるとは、恥ずかしい息子だ」「お父さんの言う通りよ。なんでもっとうまく出来なかったの? あなた、それでも月ノ宮家の息子? 強盗に入られたのも、あなたが悪評を立てたせいよ!」「ミアに罪を被せて、榎本家になんて言えばいいんだ」(はあ!? なんでこの人達は自分の息子を信じないわけ!?) 怒りのボルテージが一気に上昇し、応接室に乗り込んだ。ノックもなしに勢いよく開けられたドアに、月ノ宮家の3人は目を丸くする。が、老夫妻は明里の顔を見るなり、目つきが変わった。「よく私達の前に出られたわね」「成也が会社を潰したのは、お前の差し金か?」「違います! いい加減にしてください! 成也さんは何も悪くない。ニュースで報道されていた通り、ミアが勝手に悪事を働いて、会社を潰したんです。誘拐も殺人未遂も、全部ミアが……」 明里の言葉は悦子の行動によって遮られた。熱いお茶で服が濡れ、足元でカップが割れる。「ミアちゃんがそんなことするわけないでしょ! ドブネズミの分際で、適当言わないで!」「ふざけるな!」 
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48話

「本当にごめん! やけどとかしてないか? 怪我は?」 慌てた様子で明里の体を確認しようとする成也に、笑うべきではないと分かっていても、笑みがこぼれる。「ふふっ」「何笑ってるんだよ、心配してるのに」「うん、ごめんね。心配してくれるの、嬉しくて。それにさっき、大切な人って……」「あ……」 成也の顔が見る見る赤くなっていく。耳まで赤くなる成也が、可愛くて、愛しくて、抱きしめたくなる。「あ、いや、さっきのは……。忘れてくれ」「嘘だったの?」「嘘じゃない! けど、なんていうか……」 視線を彷徨わせ、言葉を探す成也にじれったくなる。同時に、彼への愛情が再び息を吹き返したことに気づき、胸が高鳴る。(また成也さんと……。今度はうまく行く気がするけど、いいのかな?)「あ、えっと、花蓮さんに言って、着替え持ってこさせるから」 慌てて浴室から出ていく成也に、がっかり半分、安堵半分。「意気地なし」 口をついて出た言葉は、成也に向けたものか、自分に向けたものか、よく分からない。 ほどなくして花蓮がノックをして、着替えを持ってきてくれた。「ありがとう。さっき、大丈夫だった?」「大丈夫ですよ。月ノ宮様がふたりを無理やりつまみだしたので、見てて楽しかったです」「そう」「カップを投げつけられたって聞きましたけど、お怪我はありませんか?」「えぇ、大丈夫よ」「よかった……、こちら、お召し物です」 花蓮は着替えを手渡すと、浴室を出た。 シャワーを浴びながら、先程の出来事を思い出す。もし、結婚時代に成也がああやって言い返してくれたら、離婚せずにすんだのだろうか? もし、さっきのように自分であの義両親に言い返すことが出来たら、成也との亀裂は生まれなかったのだろうか?「やめた、くだらない」 声に出して妄想を断つと、小雪の迎えに行く準備をした。 愛娘を迎えに行ける日は少ない。月に2回あればいいほうだ。せっかくだから、ついでにちょっとした思い出つくりをしよう。 小雪とどこに行こうか考えながら、身支度をした。
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49話

 平日の昼下がり。小雪は5時間目の授業を受けている。科目は国語。本を読むのは好きだけど、国語は少し苦手。 たった6年の短い人生の大半は、アメリカで過ごしていた。母いわく、赤ちゃんの頃は日本にいたらしいが、当然ながら記憶がない。 アメリカでは外では英語、家では日本語で話していたが、時々混乱する。だから、国語はあまり好きではない。 何より5時間目は給食を食べてお昼休みに遊んだあとで、眠くて授業どころではない。(眠いよぉ……。はやく終わんないかなぁ) あくびを噛み殺して時計を見るが、時計の針は5分も進んでいなかった。退屈すぎて卒倒しそうだ。「きゃあああああっ!」 誰かの悲鳴で目が冴える。窓の外を見ると、上級生の女子が初老の男に捕まっていた。彼女の喉元には鋭いナイフがあてがわれている。他の生徒は蜘蛛の子を散らすように逃げていき、教師は交渉をしようとしている。「え、やばくない?」「怖いよぉ」「みんな、落ち着いて! 避難しますよ」 先生が落ち着かせようと声をあげるが、彼の声も震えている。無理もない。刃物男なんて非日常かつ凶暴な者が現れたのだから。若い男性教師は震えながら男を見る。 先生の不安や恐怖が伝染したのか、生徒達は落ち着くどころか更にパニック状態に陥る。「や、やだ! こっちに来てるんだけど!」 誰かの声に外を見ると、男は女子生徒の首にナイフをあてたまま、こちらに向かって歩いてくる。「動くな、1年のガキ! てめぇら逃げたら、このガキ殺すからな!」 1年生達はパニックのあまり嘔吐する者、うずくまって泣く者、廊下側で男に見えないだろうとこっそり逃げる者など、様々だ。 教師のテーブル横の窓だけが大きくて、外に出られるようになっている。男はその大きな窓の前に立つと、窓を開けようとする。だが、鍵がかかっていて開かない。「開けろ! 開けないとこのガキ殺すぞ!」「皆、落ち着いて。大丈夫だから」 先生は子鹿のようにぷるぷる震えながら窓を開ける。男は土足で教室に入ると、子供達を舐め回すように見た。「神宮寺小雪はどこだ? この教室か? 別の教室か? 正直に言え」(小雪!? なんでなんで!? あんな人、知らないよぉ) 突然指名され、頭が真っ白になる。 男の言葉に教室はざわつく。「え、小雪ちゃん?」「小雪ちゃんはここだよ!」「僕達には何もしな
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-17
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50話

 その頃明里は、外科医として患者と向き合っていた。「術後の経過も順調ですね。これなら、来週に退院できるかもしれません」「ありがとうございます、先生」「けど、無理はしないでくださいね」「はい」 患者に礼を言われる瞬間が、外科医としての最大の幸福だ。命を救えたと実感できる。その実感を噛み締めていると、忙しない足音がこちらに向かっているのに気づく。「先生! 急いで来てください!」 看護師が病室に入ってくるなり、明里の腕を掴んで引っ張って走る。「ちょっと! 院内で走らないで! 何考えてるの!」「生活指導の教師みたいなこと言ってる場合じゃないんです!」「急患?」「それよりもっと大変なんです!」 看護師に連れてこられたのは休憩室だ。小さな部屋に畳が置かれた仮眠スペースと、6人掛けのテーブルとテレビが置かれたお茶会スペースに区切られている。 テレビはニュース番組を映していた。「これ、小雪ちゃんが通ってる学校じゃないですか?」 テレビをよく見ると、それは確かに小雪が通う小学校だ。初老の男が生徒をひとり人質にして立てこもっているという。「どうして……」 明里は愕然として座り込む。(どうしてあの子ばかり、こんなことに) 小雪はただの小学生だ。なのに何故、水槽に突き落とされたり、誘拐されたりするのだろう? それだけでも大きな負担なのに、今度は立てこもり事件。幼い小雪にはトラウマが多すぎる。 画面が切り替わり、息が止まる。 映っているのは茂樹。そしてその腕の中には……。「小雪!?」 小雪が震えながら、茂樹の腕の中でじっとしている。茂樹の片手にはナイフが握られていた。「どうして、こんな……」 声が震え、涙が溢れてくる。小さな少女が何をしたというのだろう?「神宮寺さん」 心地の良いテノールに顔を上げると、上司の増岡がいた。増岡は明里の隣にしゃがむと、彼女の肩に手を置いた。「今日はもう、帰りなさい」「はい、そうします」 休憩室から出ると、急いで更衣室に行って荷物を持つ。着替える余裕などない。 駐車場に行くと、涼がいた。「兄さん!」「テレビ見たで。ほら、はよ乗り」「ありがとう!」 助手席に座ると、スマホの電源を入れる。知らない番号から何件も不在着信がある。「誰?」 電話番号をコピーしようとした途端、その知らない番号から電話
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