窓のすぐ外を走り抜けるトラックの重い走行音が、薄い壁を震わせて鼓膜を直接叩いた。 カビの匂いが微かに混じるエアコンの送風音と、規則正しい踏切の警報音。タワーマンションのペントハウスでは決して耳にすることのなかった、むき出しの「生活の音」が、六畳の寝室に容赦なく流れ込んでくる。 フローリングの上に直接敷かれた二組の布団は、昨夜の激しい熱の応酬で完全に一枚の布の塊のように絡み合っていた。 私は、自分の腰に回された太い腕の重みで、ゆっくりとまぶたを押し上げる。 ペラペラの遮光カーテンの隙間から差し込む朝日が、ホコリの粒子を白く照らし出していた。 「……ん、重い」 掠れた声を漏らしながら身じろぎすると、背中にぴったりと張り付いていた硬い胸板が、さらに隙間を埋めるように擦り寄ってきた。 スウェットの生地越しに伝わってくる、尋常ではない高い体温。 私のうなじに顔を埋めたままの湊が、深く、長い寝息を吐き出す。シトラスの香水の名残と、彼自身の汗の匂いが混じり合った、むせ返るような雄の匂いが鼻腔を占拠した。 「……あと十五分」 「さっきもそれ言って、もう三十分経ってるわよ。湊、起きて。床が固くて身体が痛くなるって昨日から文句言ってたじゃない」 私が彼の手首を掴んで引き剥がそうとすると、湊は不満げに喉の奥を鳴らし、私のパジャマの裾から躊躇なく大きな掌を滑り込ませてきた。 ヒヤリとした指先が素肌に触れ、ビクッと肩が跳ねる。 「痛いのは事実だ。この安物の敷布団は、体圧分散の概念を完全に無視している。だが……」 彼は私の脇腹を撫で上げながら、耳たぶにチュッと湿った音を立てて唇を落とした。 背筋にチリリとした微弱な電流が走る。 「……君の肌に直接触れていれば、背中の痛みなど脳の処理領域から完全に除外されることが証明された。だから、このままでいい」 「いいわけないでしょ! ほら、起きる!」 私は無理やり身体を捻り、彼の方へと向き直った。 至近距離にある彼の顔は、前髪が乱れ、無精髭がうっすらと顎を覆っている。隙のないCEOの仮面を完全に脱ぎ捨てた、ひどく無防備でだらしない男の顔
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