「俺の妻を刑務所に送り込んだような嫁だ。生かしておく必要があると思うか?」洋二は厳しい面持ちで言う。俊介は眉を寄せ、その依頼が実行可能か値踏みしているようだった。「あの女を消すのは構わねえが、雪枝を助け出すのはそう簡単じゃねえぞ」「手を貸してくれるなら、いくらでも払おう」洋二は断られるのを恐れ、慌てて条件を吊り上げる。俊介は指を一本立てる。「この額だ。それ以外なら交渉の余地はねえ」洋二は眉をひそめる。多少ふっかけられた感は否めない。だが、彼が望む結果に比べれば、この程度の額は安いものだった。「わかった。まずは半額を振り込もう。残りは事が済んだ後だ。だが、絵里の件はどうするつもりだ?」俊介はそれを聞くと顔を曇らせ、鼻で重く笑った。「話が早いなら、ついでに片付けてやってもいいぜ!あの女には借りがあるからな。とっくに消してやりたいと思ってたところだ。だが、裕也の野郎が嗅ぎ回ってきた時は、お前が上手く庇ってくれよ」「ああ、問題ない」洋二は二つ返事で了承した。相手がこれほどあっさりと引き受けるとは思っていなかった。「いつ決行するつもりだ?」「そうだな、まずは絵里を片付ける。そして裁判の判決が出た当日、刑務所への移送中に雪枝を奪還するってのはどうだ?」洋二はそれを聞くや否や、慌てて何度も頷いた。絵里が化粧室から出て、廊下の端に差し掛かった時のことだった。ふと、俊介と洋二が揃って個室から出てきて、レストランの出口へと向かっていくのが見えた。途切れ途切れに、洋二が俊介に語りかける声が聞こえてくる。「では、吉報を待っているぞ」「安心しな。期待は裏切らねえよ。あの女の命も、そう長くはねえ」俊介は凄みを効かせて言う。二人は背を向けており、少し後ろを大股で歩く絵里の存在には気づいていない。絵里の心臓が、嫌な音を立てる。あの二人がつるんで、ろくなことを企んでいるはずがない。強烈な胸騒ぎがした。絵里は篠との食事を終え、別れ際になっていた。別れる前、篠は絵里の肩を軽く叩き、慰めるように言った。「裕也は少し大人びすぎているところがあるから、時には大目に見てあげてね。あれだけのことを乗り越えて結ばれたんだから、些細なことで意地を張っちゃもったいないわよ」絵里は車を取りに行く篠を
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