All Chapters of 入籍しないなら…兄嫁になります!~冷徹社長に溺愛される日々~: Chapter 751 - Chapter 752

752 Chapters

第751話

絵里の車は指定された住所を頼りに、ある廃校の敷地へと辿り着く。南は緊張した面持ちで車窓の外を見つめている。車が停まると、彼女の全身は激しく震え出した。「水原さん……」「怖がらないで。私がついているから」絵里は彼女の手を軽く叩いて励ます。南は服の裾をぎゅっと握りしめている。その内側には、例のボイスレコーダーが隠されている。絵里の後ろに続いて車を降りる。廃校の広々としたグラウンドは、土埃とゴミにまみれている。そこには一群の男たちが待ち構えており、皆一様に刃物を手にしている。白いワンピースを着た小さな女の子が、顔を泥だらけにして泣きじゃくっている。涙と土埃が混じり合い、恐怖のあまりその小さな身体は激しく震えている。「ママ……」「裕子……!」恐怖で声も出せなくなっていた裕子は、南の姿を見た瞬間、怯えながらも希望に満ちた声を張り上げる。ママの胸に飛び込もうと駆け出そうとするが、襟首を掴まれており、小さな身体でいくらもがいても前へ進めない。「ママ、ママぁ……」裕子はさらに激しく泣き叫び、大きな目から次々と涙の粒をこぼす。その姿はあまりにも痛々しい。南は悲鳴を上げる。娘がここまで怯えきっている姿に耐えきれず、半狂乱になって叫ぶ。「この畜生!早く娘を離して!」絵里も胸を締め付けられる。その「ママ」という切実な叫び声が、彼女自身の記憶を呼び覚ましたかのようだ。南を力強く引き寄せ、目の前の男たちを憎悪の込もった目で睨みつける。「要求の品は持ってきたわ。早く娘を離して。あの子はまだ子供なのよ!」南はボイスレコーダーを取り出し、彼らの前に掲げる。裕子を吊り下げている男はサングラスをかけ、坊主頭で、筋骨隆々とした巨漢だ。極めて凶悪な面構えをしている。「こっちへ寄越せ」南が渡そうと前に出かけたが、絵里が片手で彼女を引き戻し、交渉に出る。「先に裕子を解放しなさい」大男は不満げに吐き捨てる。「てめえに条件を出す資格はねえ!」彼は裕子を宙に持ち上げ、大きな手をその首元に添え、今にも絞め殺しそうな素振りを見せる。南は恐怖のあまりボロボロと涙をこぼし、もはや何も考えられなくなった。慌てて絵里を突き飛ばし、急いでボイスレコーダーを差し出す。大男はボイスレコーダーを受け取ったが、裕子を解放する
Read more

第752話

どのみち、今日ここで絵里は死ぬ運命にある!「何度も何度も私を狙って……今日こそ私を殺せるかどうか、見せてもらうわ。もし無理なら、これまでの恨み、全部まとめて清算してやる!」絵里の胸の奥で、どす黒い憎悪が狂おしいほどに膨れ上がっていく。洋二の背後には、ざっと見積もっても十数人から二十人ほどの男たちが控えている。彼らが手にした刃物が陽光を反射し、ギラギラと目を刺す。「やれ!」洋二が号令を下すと同時に、再びボイスレコーダーをドラム缶の炎の中へ放り込もうとする。一番近くにいたボディガードが飛びかかり、洋二の腕をがっしりと掴んでボイスレコーダーを死守する。瞬く間に、周囲は入り乱れる大乱闘となる。大男が裕子を乱暴に放り投げ、洋二の加勢に向かう。南は目を真っ赤に腫らし、恐怖のあまり泣くことすら忘れて呆然とする娘のもとへ駆け寄ると、その小さな身体をきつく抱きしめる。洋二は必死に抗うが、相手の力は想像を絶している。指を一本また一本と剥がされ、今にもボイスレコーダーを奪われそうになる。その時、大男が刃物を振りかざし、ボディガードである神崎に斬りかかる。「危ない……っ!」絵里は悲鳴を上げ、恐怖に見開かれた目でその光景を直視する。神崎は間一髪で身をかわしたものの、大男に足止めを食らう。その隙に洋二の手からこぼれ落ちたボイスレコーダーは地面に転がったが、彼はすぐにそれを拾い上げ、三度炎へと投げ入れようとする。絵里は地面に落ちていた棒切れを掴み取ると、鋭い殺意を瞳に宿し、洋二の頭部めがけて思い切り振り下ろす。「死ねっ!」洋二は悲鳴を上げて悶絶し、手にしたボイスレコーダーが再び地面に転がり落ちる。絵里はすかさず身をかがめ、それに手を伸ばす。頭が割れるような激痛に、洋二は死に物狂いになる。顔を真っ赤に紅潮させ、その表情は悪鬼のごとく歪んでいる。しかし、絵里がボイスレコーダーを拾おうとするのを見た瞬間、痛みすら忘れて足元のレンガを掴み上げ、彼女の後頭部めがけて振り下ろす。背後に迫る危機を察知し、絵里は慌てて身をかわす。そして後先考えず、手にした棒切れを力任せに薙ぎ払う。全身全霊の力を込めた一撃。洋二の頭部に再び鈍い衝撃が走り、鮮血が宙を舞う。だが今度は痛みを感じるどころか、その両目には血走った殺意
Read more
PREV
1
...
717273747576
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status