だが壇将は、廷治の忠告など聞こえなかったかのように、その手を無言で振り払った。莉奈はベッドの背にもたれていた。その座り方のせいで肩甲骨がひどく浮き出て見え、どれほど痩せ細ってしまったのかが分かる。「壇将さん、わざわざ来てくれてありがとう。もう帰って。ちゃんと怪我を治してね」壇将はスマホに一行打ち込んだ。【自分の体も大事にできない状態で、俺に何を言えるというんだ】莉奈の目が、少し止まった。――そうだ。今の自分に、誰かを説得するだけの力などない。自分の体すら大切にできていないのに、他人へ「体を大事にして」などと何を偉そうに言えるというのだろう。莉奈は目を伏せ、小さくつぶやいた。「ただ、どうしても分からないの。私の父が、彼の両親を死なせた。彼は、私の両親を死に追いやった。まるでそれで、二人のあいだには決着がついた、相殺されたみたいでしょう。承也は両親の仇を討った。じゃあ、私は?」廷治は呆然とし、すぐに背筋が凍りついた。莉奈がひどく落ち込んでいることは知っていた。だが、まさかそんな凄絶な事情が裏にあったとは。自分は本当にどうしようもない馬鹿だ。莉奈に、「ひとまず椎名社長へ折れてから、機会を見て逃げればいい」などと、軽々しく何度も勧めてしまった。廷治は自分を殴りたくなった。莉奈の父親が承也の両親を死なせたのだとしても、それは彼女本人とは何の関係もない。だが承也が彼女の両親を死に追いやったのなら、それは本当に、彼女にとって親の仇ではないか。彼女が承也に折れられるはずがないのだ。莉奈の肩が微かに震えていた。押し殺した声が、途切れ途切れにこぼれる。「七歳で両親を失い、二十歳で記憶を消された。承也が私の親の仇だということを忘れさせられて、ただ彼を愛しているという感情だけを残されていた。だから、意地でも彼と結婚しようとしたの。私はまるで操り人形みたいに、人生をずっと誰かに操られていたわ。私は……いったい何なの?」莉奈は胸元の病衣を強く握りしめ、息を吸い込もうとした。けれど肺の中に無数の針が刺さっているようで、呼吸をするだけで身を切られるように苦しかった。「今はまた、彼に病院へ閉じ込められている。こんな私に……まだ生きている意味なんて、あるの?」莉奈は見ていなかった。その「生きている意味」という言
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