「集中治療室で経過観察中です。今はまだ中へ入って面会できません」悠斗はそう告げると、上着を手に取って羽織った。振り返った瞬間、直哉がこちらへ歩いてくるのが見えた。爆発のあと、直哉は時哉に庇われたおかげで、頭を打って軽い脳しんとうを起こした程度で済んでいた。目を覚ますなりすぐに駆けつけ、すでに一度、集中治療室にも足を運んでいる。先ほど莉奈の容態に少し異変があったが、幸い、今はもう落ち着いている。ただ、直哉は集中治療室の外から見守ることしかできず、莉奈には面会できなかった。そのため、今は承也の様子を見に来たのだ。承也がここまで重傷を負ったのは、莉奈を救うためだ。直哉には、それが痛いほど分かっていた。「医者は何か言っていたか」直哉が尋ねた。承也が中へ運び込まれてから、すでに長い時間が経っている。これほど救命処置が続いているとなると、状況はかなり厳しいのかもしれない。悠斗も浩平も、医師からすでに一度、危篤状態だと告げられたことには触れなかった。浩平が口を開いた。「大丈夫だ。あいつはすぐに出てくる」承也は必ず、この峠を越える。浩平はそう信じていた。小槌と莉奈が待っているのだから、承也は必ず目を覚ますはずだ。白崎執事は頷くと、ほかの者たちに告げた。「お嬢様の様子を見てまいります」直哉が声をかけた。「今は会えないよ」白崎執事は静かに首を横に振って答えた。「それでも、行ってまいります」白崎執事は集中治療室のほうへ足を向け、小さくつぶやいた。「扉の外から見るだけでも、構いません」直哉は、白崎執事が莉奈の成長を見守ってきたことを知っていた。心配し、胸を痛めるのは当然のことだった。だから、それ以上は何も言わなかった。もし承也が身を挺して莉奈を救っていなければ、直哉がここで彼の無事を待つ義理などなかった。本来なら、彼もまた集中治療室の外で莉奈を見守っていたはずだ。……午後、莉奈は集中治療室から特別室へ移された。東安市は雨季に入っていた。降ったりやんだりしていた雨は、夕方になってようやく止んだ。「俺がやる」病室では、頭にガーゼを貼った直哉が、真央の手からお粥の椀を受け取った。ベッド脇に腰を下ろすと、スプーンで表面の柔らかいところをすくい、莉奈の口元へ運ぶ。莉奈は血の気のない唇をわず
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