私がそう聞くと森崎健太郎が笑う。「もう聞いたのか。情報が入るのが早いな」そう言ってお母様の元に向かって行った加山良江の方を見ながら森崎健太郎が言う。「口が軽いのは良くないな」そう言われてドキッとする。(マズい。危険信号だわ)森崎健太郎は難しい顔をして私に向き直り、言う。「誰がこの家の主なのか、加山さんは承知していないのかもしれないな」そう言われて私は苦笑いする。森崎健太郎は険しい表情のまま、言う。「くるみ、君が久遠家から加山良江を連れて来たんだ。加山良江が使用人の部を超えるような態度なら、彼女には久遠家に戻って貰おうじゃないか」そう言われて心臓が跳ねる。「でも、お父様」私がそう言い掛けると、森崎健太郎は私を一睨みして言う。「これは決定だ。相談じゃない」そう言いながら森崎健太郎は加山良江が向かった先へ、歩いて行く。部屋に戻り、私はバッグをベッドに投げ付け、考える。このままでは加山良江が久遠家へ戻される。しかも相談では無く決定だと森崎健太郎は言ったのだ。綺麗に仕上げさせたネイルを噛む。加山良江は私の手から離れても大丈夫だろうか。高嶺遼大と佐伯燈がこの家に来て……その後の今、森崎健太郎は加山良江を久遠家へ戻すとそう言った。そこには何か因果関係があるんだろうか。(一体、何を話したのよ!)ウロウロと部屋の中を歩き回る。高嶺遼大と佐伯燈が組んでいる事は明白だ。そしてその二人がどうして森崎の家に来たのかを考えなくてはいけない。聖カトリーナで見た、佐伯燈を庇う高嶺遼大……あの庇い方は普通じゃない。そこでふと思い付く。(そうか……高嶺遼大は佐伯燈が好きで……二人は付き合っているのかもしれないわ)もしそうなら高嶺遼大が実の父親である森崎健太郎と佐伯燈を会わせるのは極々普通の事……。しかも燈は幼い頃から颯太とも友人で、家同士の付き合いもある間柄。一度、顔合わせさえしておけば、その先はスムーズに事が進む……。私の“洗脳”がきちんと出来ていれば、お母様も加山良江も私を疑ったり、裏切ったりはしない筈……。そうと分かればお母様に会って、確かめないといけないわね。◇◇◇聖カトリーナに戻り、ラボに向かっている最中、湊のスマホが鳴る。スマホを見た湊は険しい顔で言う。「呼び出しだ」湊の今の状況で呼び出しに堪えられるだろうか。「大丈夫なの?」そう聞
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