Todos os capítulos de 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する: Capítulo 141 - Capítulo 145

145 Capítulos

141話 接触

「藤堂先生」俺が部屋に入ると、そこには堤氏が既に居た。「あぁ、久遠先生」藤堂氏はそう言って少し微笑む。「見ての通り、報告を聞いていたところだ」そう言われて堤氏を見る。堤氏は俺に頭を下げ、そして微笑む。俺は藤堂氏の居るベッドに近付き、改めて頭を下げる。「本日はお力を貸して頂き、本当にありがとうございました」一礼すると、藤堂氏が言う。「いや、頭を上げてくれ、久遠先生」そう言われて俺は藤堂氏を見る。藤堂氏は堤氏を見て頷く。堤氏はそれに応えるように頷き、言う。「こちらとしても千堂彰には少々、困っていたところなんですよ、久遠先生」堤氏にそう言われて俺は聞く。「困っていた、というと?」俺がそう聞くと堤氏が苦笑する。「千堂彰は最近、厚生労働省の人間にコンタクトを取り始めていたんです」そう言って堤氏が俺に一枚の紙を差し出す。受け取り、それに目を通す。そこには厚生労働省の役人の名前が数名分、載っていた。「そちらに記載のある役人たちは、つい最近、千堂彰とコンタクトを取った者です」まだ数名、いや、もう数名か。「千堂彰に接触した者たちは、何を持ち掛けられたんですか?」そう聞くと堤氏が藤堂氏を見る。藤堂氏が堤氏に頷いて見せ、堤氏が言う。「認可ですよ」そう言われて俺は驚く。「……それは、あのベンゾジアゼピン系物質で作られたものを、という事ですか?」そう聞くと堤氏が頷く。「そうです」乾いた笑いが込み上げる。不意に扉がノックされる。「はい」藤堂氏が返事をすると扉が開いて、高嶺さんと燈が入って来る。俺は口元を覆い、込み上げて来る吐き気を抑える。◇◇◇藤堂氏の居る特別室に入ると、そこには湊が居た。湊は顔色が悪く、口元を覆っている。「ご挨拶に伺いました、藤堂先生」遼大がそう言う。私は湊が気になり、聞く。「大丈夫?」そう聞くと湊は苦笑する。「あぁ」一体、何を話していたんだろうと思っていると、湊が私に手に持っていた紙を渡す。遼大と共にその紙に目を通す。「これは?」遼大がそう聞くと、湊と一緒に居た男性が言う。「千堂彰が接触を図った厚生労働省の人間のリストです」その紙には数名の人間の名が記されている。私が顔を上げると、その男性が微笑み、言う。「私は厚生労働省の堤と申します」そう言って私に握手を求める。それに応え、握手する。「佐
last updateÚltima atualização : 2026-06-10
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142話 隔離

早い段階で、湊は愛欲の女王に晒され、その脳を支配されて来た。幸運だったのはその量が比較的、少なかった事だ。 私と結婚していた時は、その雛形であるアロマを炊かれていたけれど、そのアロマはそれ程、強くは無かったのだろう。 香水として愛沢くるみがその身にまとい、更にサロン・ド・オーキッドの中で愛欲の女王が蔓延した。サロン・ド・オーキッドの外でもその香水を愛用しているのは愛沢くるみくらいだったのが、不幸中の幸いだった。 「違法賭博場、そして売春が横行しているサロンがあるんですよ」 湊がそう言う。堤氏が少し微笑む。 「サロン・ド・オーキッド、ですよね」 そう言われて私たち全員が堤氏を見る。 「違法賭博、売春斡旋……噂は聞いていますし、今、内偵させていたところだったんです」 内偵……つまりは国が既に危険を察知し、秘密裏に動いていたという事だ。 「ベンゾジアゼピン系物質を主成分としたその香水も脅威だが、この、EMSO日本支局の地下階に漏出しているレプリトール・ディザスターとやらも、厄介だな」 遼大から渡されたタブレットを見て、藤堂氏が言う。「えぇ、私のこのタブレットに千堂彰が残した全記録が転送されていますが、このレプリトール・ディザスターの方が愛欲の女王やレプリトールよりも何十倍も危険です」遼大がそう言う。「そのレプリトール・ディザスターっていうのは、千堂彰が開発したっていう新薬の事か?」湊がそう聞くと遼大が頷く。「そうだ」そう言って遼大は藤堂氏からタブレットを受け取り、湊へ渡す。そこには千堂彰が残したという地下階での記録が記されている。「燈は見たのか?」そう聞かれて頷く。「えぇ、さっき遼大に見せて貰ったわ」湊はタブレットに記されている記録を見ながら、言葉を失っている。「不幸中の幸いたしては、この害薬が外には漏れていないという事です」遼大が藤堂氏にそう言う。藤堂氏もそれを聞いて頷く。「まだ実験段階にあったというのが、幸いだったな」既に何人かの犠牲が出てしまっている事は、厳然とした事実ではあるけれど。それは千堂彰がその新薬によって人が死ぬという事を理解して使ったのだから、全ての非は千堂彰にある。「それで、千堂は?」そう聞かれた遼大がクスッと笑う。「事情聴取をしなければいけないので、秘匿施設に入れてあります」そう言って遼大は堤
last updateÚltima atualização : 2026-06-11
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143話 聴取

「それで?」藤堂氏の居る特別室を出て、廊下を歩きながら聞く。私にそう聞かれた遼大が少し笑う。「千堂彰?」そう聞き返されて頷く。「えぇ」遼大は腕まくりをしながら言う。「これからその秘匿施設に行って、話を聞くよ」遼大がそう言うと、湊が言う。「俺は……千堂理の方の検査を優先したいんだが」そう言う湊の顔は何だか辛そうだ。「それはそれで良いけど、湊、大丈夫?」そう聞くと湊が頷く。「あぁ、さっきは動揺して情けない姿を見せてすまない」そう言われて私は微笑む。「仕方ないわ、あなたは最初の被害者と言っても良いんだもの」遼大も湊を見て微笑む。「あぁ、くれぐれも無理はしないでくれ。トラウマは誰にでもあるからな」◇◇◇湊と別れ、私は遼大と共に遼大のいう秘匿施設に向かった。秘匿施設は聖カトリーナから少し離れた場所にあり、外側からは一体、何の建物なのか、全く分からない造りになっている。「こんな所、あるのね」私がそう言うと遼大が笑う。「まぁ、高嶺の家は表向きはそれ程、大きくないと思われているけどね」大きな真っ黒の門が自動で開く。車がその門を潜り抜ける。大きくない訳は無い。あのEMSO(アイゼンバーグ医療戦略機構)なんていう組織の創設者の一族なのだから。世界各国に支局がたくさんあって、営利目的では無いというだけで、これが一般企業だったら、世界的に展開をしている一大企業だ。今更ながらブラックカードを持っている事にも頷ける。車を降り、建物の中に入る。中には何人かの男性が立っていて、皆、遼大に向かって頭を下げる。遼大が一つのドアの前に来て、ドアを開けて言う。「中へどうぞ」そう言われて私は中に入る。中は小さな小部屋で、大きな壁一面がガラス張りになっている。そのガラスの向こうに男性が一人、項垂れるようにして椅子に座っている。「彼は千堂彰の部下の百田という男だ。俺たちが閉じ込められていた地下階のコントロール室の責任者だそうだ」遼大がそう言いながら私に並ぶ。「彼の手元にはEMSO日本支局の地下階での記録を全消去するボタンがあった」私はそう言われて遼大を見る。「でもあなたの端末には……」私がそう言うと遼大が頷く。「そう。百田はその記録を消せなかったんだ」そう言われて改めてガラス張りの向こうに居る男性を見る。項垂れていて、おそらくは自分のやっ
last updateÚltima atualização : 2026-06-12
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144話 狂気

ついさっき、泣き付きの電話が来たと思ったら、また俺のスマホが鳴っている。(また愛沢くるみか……)俺はその名を見て辟易する。本当に美への執着がすごいんだなと改めて思う。適正にレーザー治療はした。ちゃんとダウンタイムを正しく過ごせば、あのシミは確実に消える。一条クリニックの俺の個人オフィスで、俺は鳴り続けるスマホを見ながら微笑む。それでも俺が渡したグランドクィーンをその肌に塗り込めば塗り込む程、メラノ・リベレーターが作用してメラニン色素が濃くなる。レーザー治療の傷が治り切らないうちにそのグランドクィーンを塗り込めば、それは大惨事になるだろうなと、分かっていながら、俺はそれを伝えない。愛沢くるみの美への執着は相当なものだ。詳しく見た訳では無いが、パッと見ただけで、かなり体を弄っているだろう。目元の二重、鼻筋を通すシリコン、豊胸に脂肪吸引……それも劇的に変化させるのではなく、少しずつ変化をして行くのだから、それは成長に伴って起こった事だと誤認させる事は可能だろう。俺が美容整形外科でなければ、誰にも気付かれる事無く、愛沢くるみは今も自分の求める美へ向かいながら、おそらくはその身を整形地獄に堕として行く事にはなっただろうが。スマホには別の連絡も入っている。遼大からは無事に施設の掃除が終わり、佐伯燈を含めて無事だと聞いている。そして大事な証人である千堂理という人物について、報告を受けたばかりだ。ベンゾジアゼピン系物質の影響により、表情筋が弛緩し、麻痺、その顔の筋肉は垂れ下がっているという。もしかしたら俺にも手を借りる事があるかもしれないと、遼大から言われている。「ベンゾ・マスクか……」俺はPCを叩き、送られて来た論文に目を通す。皮肉な事にこの論文を書いた人物が、その脅威にさらされ、自らがベンゾ・マスクにされてしまった事は、本当に悲劇だ。鳴り続けるスマホに辟易して、俺はスマホを操作し、愛沢くるみからの着信をサイレントに設定する。(悪いが今は、アンタに構っている暇は無いんだ)そう思いながら論文を読みふける。◇◇◇ある程度、百田から事情を聞いた私たちは、別の小部屋に入る。目の前のガラス張りの向こうには ――千堂彰が居た。「確認しないといけないのは」遼大がそう言って私を見る。「千堂彰がレプリトールを持ち出した事と、愛欲の女王、及び、絶望の
last updateÚltima atualização : 2026-06-13
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145話 駆け引き

千堂彰はそのボトルをほんのひと時、凝視し、その顔色を変える。彼は一体、何を想像したんだろうか。「こ、こ、こんなもの、飲める訳が無いだろう?」千堂彰はそう言って、怯えた目で遼大を見ている。遼大はクスっと笑って言う。「どうしてです? ただの水ですよ?」遼大はそう言って千堂彰に顔を近付ける。「何かが混ぜられていると? そうお考えですか? あなたがしたように?」愛欲の女王はベンゾジアゼピン系物質と、合成オキシトシン誘導体が混ぜられている。その強い香りに紛れて。あの百合の強い香りに隠れて、体に悪影響の出るものを違法に混ぜて、相手を支配するのに使った。更に言えば、その表情までもを奪った。ラベルが無いというだけでこれだけのプレッシャーを相手に与える事が出来る遼大に私は感心した。千堂彰は遼大に見下ろされて、力無く椅子に座る。遼大は壁に寄り掛かり言う。「私もあなたのように狡猾で残忍であれば良かったんですけどね」腕を組んだ遼大が千堂彰を見て言う。「自白剤でも混ぜて、あなたに飲ませれば、手間が省ける」視線を下ろしていた千堂彰が遼大を見る。「ですが、あなたの自白も証言も、公的に必要なものなのでね。違法な手は使えないんですよ」そう言って遼大は少し笑う。「残念です、非情に残念だ」そう言う遼大の目には怒りも混ざっている。憤りを感じるのは皆、そうだろう。こんな相手にもきちんと法の裁きを受けさせないといけないのだから。千堂彰がふっと笑う。「何が違法な手は使えない、だ。私をこんな場所へ入れておきながら」そう言い捨てる千堂彰に遼大が更に笑う。「あなたよりはマシですけどね。それに」遼大は胸元から何かを取り出す。「これは公的機関が認めた、特別措置なんですよ」そう言って折り畳まれている紙を取り出し、千堂彰に投げる。千堂彰がその紙を広げ、中に書かれている事を読む。「そこにあなたが今、置かれている状況が書かれているでしょう? そういう事です」私が遼大を見上げると、遼大は少し微笑み、言う。「千堂彰、あなたは今、まだ逮捕された訳じゃない。そこに書かれている通り、あなたは公的機関から危険人物としてマークされている。一国家から危険人物としてマークされるという事は、それだけあなたを自由にはしておけない、という事です」そこで遼大はまた笑い、言う。「あなたを拘束する為なら
last updateÚltima atualização : 2026-06-14
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