サロン・ド・オーキッドの表の店で、私は一条和輝と会った。一条和輝は茶髪で何だか少しチャラいイメージだ。それなのに美容外科医をやっているのだから、頭は良いのだろう。「愛沢……くるみ、さん?」一条和輝がそう聞く。私は微笑んで言う。「はい。愛沢くるみと申します」一条和輝は私が事前に書いた問診票を見ている。「ふん……気になるのはお肌の張りと……」そう言いながら問診票をめくる手が美しい事に気付く。「目元のシミ、かな?」そう言われてギョッとする。そんな事を書いた覚えは無い。私が一条和輝の手に見惚れている間に、一条和輝は私の顔を見ていたのだ。思わず怒り出しそうになって、私は自分を諫める。(待って、冷静になるのよ、彼は手駒に入れておきたい男なんだから)そう言い聞かせて、私は自分自身を落ち着かせる。一条和輝に悪気は無さそうだ。美容外科医なんだから、言わないと気が済まないのかもしれないと思い直して、言う。「シミ、ありますか?」◇◇◇加山良江のノートPCを持ち帰り、ホテルの部屋で起動する。何だか人の日記を読むのは気が引けたけれど、そう甘い事も言っていられない。これを読めば加山良江がいつから愛沢くるみと繋がりがあり、そして五年前の事も、更には七年前の事も、何か分かるかもしれない。高嶺遼大と、そして湊も一緒に、ノートPCの中の加山良江の日記を読み始める。「日付は……」高嶺遼大がそう言いながら日記の文章を検索しようとする。「日付よりもワードで検索をかけた方が良い気がする」私がそう言うと男性陣二人が私を見る。「日記全体を見る時間は無いから、まずは愛沢くるみでワード検索をかければ……」そこまで言うと高嶺遼大が頷く。「確かに燈の言う通りだな」ワード検索をかける。検索ワード:愛沢くるみノートPCの中の文章に検索結果が表示される。「……すごいな」湊がそう呟くように言う。湊がそう言うのも無理は無い。検索結果にはほぼ毎日、愛沢くるみの名が記されている事が表示されている。高嶺遼大がスクロールする。「加山良江がいつから日記を付けているかにもよるが……」日付をどんどんさかのぼる。そして見つける。加山良江の日記に、愛沢くるみの名が初めて出て来た日付け。「……九年前……」三人ともがその日付を見て、それぞれが溜息をつく。「そんなに前から……」私がそう言う
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