All Chapters of 王太子に転生しましたが、なぜか悪役令嬢に土下座する羽目になりました: Chapter 21 - Chapter 30

30 Chapters

第21話【嫉妬の炎、揺らぐ心】

【ユリアナ視点】  わたくしは急いで身支度を整えて、馬車に乗り込んだ。 王宮へ向かう途中、報告書を何度も読み返していた。 指先が震えて、紙がカサカサと音を立てる。 やはりそこには、『クレア・ユングホルツ嬢と婚約を結びます』という文字が、冷たく並んでいた。「クレア嬢が殿下の婚約者に、本当に?」 声に出して呟いた瞬間、胸の奥が鋭く痛んだ。 まるで鉄の爪で心臓を掴まれたような痛み。息が詰まり、喉がひりつく。 手が震えていて、思わず強く握りしめていた。紙がくしゃりと音を立てた。 正式に婚約するのかしら。(どうして?) 馬車の揺れに身を任せながら、わたくしは目を閉じた。 思い出すのは、婚約してからの頃。「ユリアナ嬢、ずっと一緒にいてくれますか?」 まだ幼かった殿下は、わたくしの隣で少し照れながら言っていた。 あの頃の殿下は、わたくしを「完璧な婚約者」として見つめてくれていました。 わたくしは完璧な令嬢であろうと必死でしたわね。 笑顔を崩さず、言葉を慎重に選んで、殿下の弱さを決して許さずに。 それが正しいことだと信じていた。「君との婚約を、ここで解消したい」 なのに、それから納得いく理由も告げられずに王宮の応接室で婚約破棄された。 何日かして、殿下は屋敷の応接室で床に頭をこすりつけた。 行動が理解できなかったものの、謝罪であることは分かった。 彼がした事で、わたくしの胸に走ったのは、怒りよりも深い痛みだった。 ”完璧じゃなかったから、捨てられた”。その思いが、わたくしを長い間縛り付けた。「わたくしを捨てたの?」 そして先日、殿下からもらった絵。 歪んだ線と、優しい横顔。 完璧じゃないけれども、温かさだけは確かに伝わってきた。 添えられた言葉、『完璧じゃなくても、この気持ちだけは変わらない』、今も脳裏に焼きついている。 あの瞬間
last updateLast Updated : 2026-05-11
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第22話【微笑む令嬢】

【オリエッタ視点】「なるほど」 この時私は、レオポルド殿下がユリアナ様やクレア様と一緒にいる状況を、柱の影から見ていた。 私と殿下が結ばれるって、王宮や貴族内では決まりかけていましたのに。 つまり私が、王太子妃になれたはず。 まさか、殿下とクレア様が婚約を結ぶことになるとは。 それを聞いて驚きましたが、そこへユリアナ様がやってくるなんて。 嫉妬なのでしょうか。 修羅場が起きているのは分かります。 クレア様と話し合った後に、ユリアナ様が走り去ろうとして、追いかけながら殿下が止める。 そして殿下とユリアナ様は、本心をぶつけていた。「クレア様との婚約は、時間をつくるためのものだ」 殿下が言い放ったのは、さらに驚くべきもの。 本当はユリアナ様を選ぼうとしている。 つまり、クレア様とは本当の婚約ではない。 扇子を閉じて、私は微笑《ほほえ》んだ。「オリエッタ様?」 伯爵令嬢《はくしゃくれいじょう》のミリア嬢が心配そうに訊いてきた。 彼女は私と一緒に、様子を伺《うかが》っていたから。「何でもありませんわ」 笑みを崩さずに、返事をする。「クレア様は、”仮”の婚約なのね」「仮、ですか」 殿下達のやりとりで、完全に分かりました。 立場を守るために、偽りを行うなんて。 でも、分かりますわ。 彼が愛しているのは、ユリアナ様ですからね。「王太子殿下は、婚約者を失ったままではいられない」「クレア様に決まろうとしていますが、現在も不在でしたね」 一ヶ月が経とうとしている。 再縁が出来ていないのであれば、王太子として危うい状況。「だから時間を作った」 ミリア嬢は私の話に頷《うなづ》いていた。 そして私は微笑んだ。「面白いわ」 この状況、どうなっていくのかしらね。 私には派閥
last updateLast Updated : 2026-05-12
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第23話【決断の前夜、それぞれの想い】

「殿下、少々よろしいでしょうか?」 執務室に慌《あわ》てた様子で、文官のガスペリが入ってきた。 急ぎの用事みたいだ。「どうしたんだ?」「数日後、王室会議が開かれます」 それを聞いた途端、頭が真っ白になった感じになる。 ドクンと心臓の音が跳ねて、喉が締め付けられるような感じだ。 まさかもう、開かれるのか。(時間が無いのか!?) ユリアナ嬢の心が完全に開いたわけじゃないのに。「殿下、大丈夫ですか?」 心配そうに彼は見つめていた。「わ、分かった」 ガスペリに対して、そう返事をすることしか出来なかった。 視界の端が少し暗くなって、手のひらがじわりと汗ばんだ。 ドキドキと胸の音がはっきりと聞こえてくる。「ユリアナ嬢にまだ返事をもらえていないのに。クレア嬢と婚約を結ぶっていうのが、仮だって完璧に公となってしまう」 深く息を吐いて、目を閉じて心を落ち着かせようとする。 いつかはこうなるって分かっていた。 それでも王室会議が開かれていないからこそ、この状態を維持できた。 ユリアナ嬢と再び婚約を結ばれるまでの時間稼ぎに。(覚悟は出来ているはずなのに、こんなに動揺するなんてな) だが、貴族間の噂話で仮だって伝わっている。 それを糾弾《きゅうだん》されることになるだろう。「殿下、お顔が!?」 書類を持ってきたレーナが俺の様子を見て、困惑していた。「も、問題ない」 苦い笑みを見せ、彼女を落ち着かせる。 そして大きく息を吐いた。「本当に廃嫡が決まるかもしれない」 俺の処遇だって決められるかもしれない。 そうなれば、ユリアナ嬢との婚約も出来なくなる可能性だってある。「でも、俺はユリアナ嬢を選ぶ。それだけは変わらない」 だがこの覚悟だけは、曲げられない。 もしも廃嫡になったって、一緒になるという気持ちだ
last updateLast Updated : 2026-05-13
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第24話【王室会議】

 会議が始まると、宰相が言葉を開く。「議題は、王太子レオポルドの婚約について」 やはりそれだよな。 むしろそれ以外に開く理由は無い。「殿下、説明を」「はい」 俺は立ち上がって、説明していく。「ユリアナ・フォン・ルイッツホーフ嬢との婚約破棄後、調整を続けておりましたが」 周りを見ながら、続ける。「子爵令嬢《ししゃくれいじょう》である、クレア・ユングホルツ嬢との婚約を決めました。先日には、ボリス陛下へも報告を行いました」 アルマータ派の貴族達は表情を出さないけれども、俺を見ている。 仮だって知っているが、王室会議だからだろうな。「クレア嬢、こちらは事実で問題ないのか?」 宰相が彼女に確認を伝える。 立ち上がって口を開いた。「勿論です。参加はしておりませんが、父上のユゼフ子爵には報告しております」「ユングホルツ子爵家とは、王室会議での承認後に進める予定でして」 クレア嬢の言葉に補足する形で、言葉を続けていく。 まだ平穏のまま。 このまま無事に終わってくれれば良いが。 無事すぎるか。「少々、よろしいでしょうか」 俺の声を遮《さえぎ》るように、声が会議室に響いた。「オリエッタ嬢か」 彼女は立ち上がって、発言していく。 一斉に視線が彼女へと向いていった。「恐れながら、申し上げます」 軽く息を吸って、俺やクレア嬢を見た。「現在の婚約は”正式なものではありません”」 立ち上がったままのクレア嬢は目を見開いていた。「どういう意味だ」 俺の説明を反論するオリエッタ嬢の言葉に対して、父上は訝しげな表情を見せた。「クレア様との婚約は仮のもの」 微笑《ほほえ》みながら、俺をじっと見つめていた。「時間稼ぎのためのものです」「なっ!?」
last updateLast Updated : 2026-05-14
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第25話【余波】

 この日の王室会議は終わった。 クレア嬢との仮の婚約に関しては、ほぼ破綻《はたん》することに。 こうなるのは分かっていたが。 それでも、ユリアナ嬢に対する想いは、王族や貴族達に伝えられたはずだ。「ふぅ」 大きく息を吐いて、会議室を後にした。 貴族達は俺と距離を取りながら、出て廊下を歩いていった。 アルマータ派に関しては、廊下の端でひそひそと噂話《うわさばなし》をしていた。「レオポルド殿下の王太子の資質に関しては、大きく疑問符がついたな」「私情優先にするなんて。許されないことだ」「ユリアナ嬢と婚約を破棄してから、様子がおかしくなっていたが」「破棄したのに、再縁を選ぶとはな」 俺に聞こえるか聞こえないかの音量で、話している。 こっちをチラチラと見る目は、ゴミを見るような感じで、敵意を見せていた。 俺はオリエッタ嬢を選ばない王太子だからな。 再びため息をついて、廊下を歩いていく。(間違っているかもしれない。それでも) そう思うことにしたが、手は少し震えている。 中立であろう王族や貴族に、呆れたような表情をして「終わったな」という空気を出していたからか。 王太子の座を捨ててもいいと言ったからか。 大きな事を言ってしまったな。(それでも、オリエッタ嬢を選ぶつもりはない) だが、後悔していない。 むしろこうなったら、突き通すしかないから。「殿下、お疲れ様でした」 後ろから、クレア嬢がやってきた。 笑みを出しながら、俺を見つめていた。「ああ」「良かったです」 クレア嬢は笑みのまま、思ったことを打ち明けていた。「ありがとう」「私、ちゃんと役に立てましたね」 瞳を軽く閉じて、軽く息を吐いていた。「そうだな」 彼女のおかげで、一旦は最悪の状況は逃れられたと思う。「これで終われますね
last updateLast Updated : 2026-05-15
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第26話【三人の夜】

 夜になって、俺は王宮の離れにある小さな応接室へとやってきていた。 ここは庭園に面していて、室内から花々を眺めることが出来る。夜なので暗くて庭園はあまり見えないが。「クレア嬢もユリアナ嬢もやってくるよな」 陛下《父上》が招集している。 来ない理由は無いだろうな。 緊張しながら、彼女達がやってくるのを待つことにした。「父上は来ていないな」 果たして来るのだろうか。 それとも。「殿下が先に来られていたんですか」 クレア嬢がやってきた。「ああ」 肯定の返事をすると、クレア嬢は微笑んだ。「丁度良いですね。会議後に言った講習内容は出来ましたか?」 最後の講習か。 ユリアナ嬢に想いを伝えるっていう事だったな」「まだ完全には」「そうでしょうね 俺が答えると、はにかみながら俺を見つめた。「このタイミングですから、伝えてくださいね」 やはりどこか寂しげな様子を見せ、教えていった。「これで私の講習は終わりです」 短かったかもしれないが、本当に再縁が出来そうなところまで来た。 正しかったのかな。「ありがとう」「いえ、殿下の力ですよ」 クレア嬢は軽く頷いた。「殿下にクレア嬢、お早いですね」 次に部屋に入ってきたのは、宰相のデメルジスだった。 ポットを手にしながら。カップは既に人数分、応接室の机に置いてある。「宰相閣下が立ち会うのでしょうか?」「そうだ。陛下ではあまり話せないかもしれないという、ご配慮だ」 宰相でも、重々しくなるかもしれないが。 考え方によっては、ほんの少しだけ軽いのだろうか。「心配しないでくれ、私はただ聞いているだけ。後で陛下に報告するが」「分かりました」 余計に緊張するよな。 深呼吸をしながら、ユリアナ嬢が入ってくるのを
last updateLast Updated : 2026-05-16
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第27話【最終会議ーー王太子の選択】

 話し合いの翌日午後、再び会議室にて王室会議が開かれた。 出席者は昨日と同じような感じ。 ただ、人数は多い気がする。 貴族達の俺を見る目は冷たくて、劣勢を始まる前から感じさせた。「これより、王室会議の続きを行う」 陛下《父上》が宣言をした。 とうとう始まったな。 重々しい空気が会議室に広がっている。「本日は、王太子レオポルドの婚約問題に関して、最終的な判断を下す事になる」 宰相の言葉で、今日の概要《がいよう》を説明していた。 これしかないだろうな。 オリエッタ嬢は扇子を口元に隠して、空気感をものともせず微笑みを維持していた。 続くようにアルマータ派の貴族達は優越感《ゆうえつかん》に浸っている。 俺が負けると思っているんだな。「最初に、よろしいでしょうか?」 オリエッタ嬢が立ち上がって、笑みのまま俺を凝視した。「何だ。申してみろ」 父上が発言を許可した。「殿下の私情は、王室の信頼を大きく損ないました。偽装の婚約を行い、ユリアナ様との再縁も過去の破棄を無視ししたもの。王太子として相応しくありません」 オリエッタ嬢は俺を口撃して、信用を落とそうとしていた。 今って、格好の状況だからな。「国益を無視した私情優先は許されん」「外交にも影響が出る」「王太子としての自覚はあるとは言えないな」 アルマータ派の貴族達が同調して、俺を批判していた。 誰もが睨《にら》み付けるような目をしている。「年少であるがペテル殿下の方が良いかもしれないな」 弟の名前まで出してきた。 俺よりも弟の方を王太子にするつもりなのか。「私でしたら、殿下を支える覚悟がございます」 オリエッタ嬢は、自薦して俺と彼女と結ばれることを誘導しようとしていた。 この王室会議の場にて、反論できないように。「国を第一にお考えください」 念を押すように、
last updateLast Updated : 2026-05-17
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第28話【未来への誓い】

「終わったな」 会議が終わって、王族や貴族達がそれぞれ会議室を後にする。 俺も会議室へ出ると、緊張が解けて安堵感が身体を包んでいく。 大きく息を吐いて、さっきまでの重さを身体から出していった。「二人の婚約者が認められるなんて」「これから大変になるぞ」 廊下で貴族達がひそひそと噂話をしていた。「婚約の問題は解消した。あのお二人ならお似合いだろうな」「そうかもしれない。無事に婚姻まで進めるだろうか」「再び破棄なんて事にならないといいが」 賛同する意見や懐疑的な意見が飛び交っていて、評価は分かれているみたいだ。 当然だろうな。 ユリアナ嬢とクレア嬢を選んだから。 ただ、俺への視線は冷たいものから畏敬の念を覚えたものであった。「これで、やっと始まるな」 俺は少し前に出た二人にそう言葉を告げる。「ええ。これからですわね」 笑みを見せながら、頷くユリアナ嬢。「おめでとうございます、殿下」 軽く拍手をしながら、はにかむクレア嬢。 俺は廃嫡の危機を乗り越えたのであった。「さて、本日は失礼いたしますわ。再びよろしくお願いいたしますわ」「ああ」 ユリアナ嬢は微笑みを見せながら、王宮を後にした。「私、今日の分の残った書類を片付けてきますね」 続いてクレア嬢も、先に執務室へと向かっていった。 にっこりとしたまま廊下を歩いている。「殿下、お疲れ様です」 レーナが駆け寄ってきた。 会議には参加していないが、気になっていたのだろう。「ありがとう」 笑みを見せながら彼女に返事をする。「無事に終わりましたか?」 心配そうにしながら、会議の結果を確認してきた。「ああ。無事に終わったよ」 俺は簡単に返事をする。 すると、レーナの目には涙が浮かんでいた。
last updateLast Updated : 2026-05-18
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第29話【二人と婚約させてください】

 翌日の昼下がり。 離れの庭園の見える応接室へ、ユリアナ嬢とクレア嬢を呼んだ。 一昨日の夜とは違って、くっきりと応接室からは庭園の花々が見えていて、見飽きない場所。「レーナ、今日は君が見届けるんだな」 二人がやってくる前、レーナが紅茶を用意していた。 侍女なのもあって淡々としているけれども、色々と考えているようだった。「はい。陛下よりご命令がございましたので」 宰相よりも話しやすいのかもしれない。 変なことも言わなそうだから。「お待たせしましたわ」「殿下、今日はどんな話し合いをするの?」 やがて応接室へ二人がやってきた。 落ち着き払っていて、微笑みのまま部屋の中へ入っていく。 レーナは部屋の端に立って、様子を見守る。「座ってくれ」 ユリアナ嬢とクレア嬢は隣り合うように。 俺は向かい合う形でソファに座って、話し合いが。 ただ、座った瞬間に言葉が交わされず、少しの間沈黙が応接室に流れていく。「婚約の事が片付いたわけなんだが」 それを破るように、俺はゆっくりと口を開いた。 何だろうな、少しドキドキする。「ユリアナ嬢。約一ヶ月前、俺は君の完璧さに耐えきれず、婚約を破棄してしまった」 まず俺はユリアナ嬢に向けて言葉を。「申し訳ないことをしてしまった」 深く頭を下げて、ユリアナ嬢に謝罪する。「恥ずかしいことだが、破棄してから後悔が起こった。しかも、前世の記憶を取り戻す形という、誰にも信じてもらえないような状況で」 二人は口を挟むことなく、静かに耳を傾けていた。「俺はやっと君への愛を感じることが出来た」 少し上を向いて、謝罪のための講習を行った事を思い出す。「君の完璧さに想い、それを受け入れられた」 ユリアナ嬢への気持ちを伝えた後、彼女は口を開く。「わたくしもですわ」 たった一言だけれども、何倍も伝わってく
last updateLast Updated : 2026-05-19
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エピローグ【最後の土下座の先に】

「ついにこの日ですわね」「ああ」「来ちゃったか」 あの王室会議から一年後。 王宮にある礼拝堂、そこで俺達の結婚式が行われていた。 出席しているのは陛下《父上》、ペテル、デメルジス宰相、レーナなど数えれば30人もいないであろう。 かなり簡素なものだが、温かさははっきりと感じる。「俺は、これから二人を一生幸せにすると誓います」 白い軍服に身を包みながら、参列者に対して宣言する。 続いて指輪を手にして二人の前へ。「わたくしも、殿下と共に歩むことを誓いますわ」 ユリアナ嬢は純白に近い優美なドレスに身を包んでいる。 そんな彼女の薬指に一つ目の指輪をはめていく。「私も殿下の側にいられることを、幸せに思います」 クレア嬢は柔らかい淡い色のドレスを着こなしていた。 続いて二つ目の指輪を彼女の薬指へ。「レオポルド、誓ったからには、必ず二人を幸せにするように。これからが大変だからな」 父上は静かに頷いて、短い祝福の言葉を述べていった。 会場は拍手に包まれていく。「盛大な式じゃなくても、十分ですわね」 式が終わって、俺達はゆっくりと庭園を歩いていく。 庭園の花々も祝福してくれるようだった。 軍服やドレス姿のままだが。「ええ。私も、こうして三人でいられるだけで、隣に立てるだけでもう十分だと思えます」 俺は二人の手を握って、静かに笑った。「これでいいんだ。完璧じゃなくても、俺達は三人で生きていく」 小さな式ではあったが、その選択はすでに王国中に広まり、誰もがこの結婚を見守っていた。「まだ慣れませんわね、この席」 執務室には俺とユリアナ嬢とクレア嬢の三人で公務をしていた。 ユリアナ嬢が少しだけ愚痴《ぐち》を。「お疲れ様ですわ」 それでも彼女は微笑みながら、作成を手伝っていった。「ありがとう」 感謝を伝えながら、次の書類の作成を。「これは、どう思うんだ?」「そうですわね」 意見を求めると、ユリアナ嬢は彼女の考えを述べていった。 それを聞きながら、公務に活かす。「クレア様、頑張っていますね」 資料を持ってきながら、クレア嬢がにっこりとしていた。 続いて作成が終わった書類を片付けていく。「貴女もね」 ユリアナ嬢が彼女を見つめながら、優しい笑みを。 クレア嬢はいつものように肩を揉んでいく。「丁度良いな」 固まっ
last updateLast Updated : 2026-05-20
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