しかし、最後まで言い終わる前に、冷たい機械音声に言葉を遮られる。「おかけになった電話は、ただいま電波の届かない……」続けて5回6回とかけてみたけが、結果は同じだった。……おかしい。二人はもう何年も一緒にいるが、要からの電話なら、霞は10秒と経たずに必ず出てくれるはずなのに。まさか、霞の身に何かあったのか?不安が一気に胸に込み上げてきて、要が部下に調べさせようとした、その時だった。突然、後ろから夏美が要の腰に腕を回してきた。「どうしたの?浮かない顔しちゃって」「なんでもない」要はスマホの画面を消すと、「仕事のことだ」と答えた。そこで要は、夏美がいつの間にかセクシーなバニーガール姿になっていることに気づいた。そして、要のいちばん大事なところを、わざとらしく刺激してくる。「要さん。私たち、ずっとしてないでしょ……」いつもなら、夏美がそんな顔をするだけで、要は一瞬で理性を失ってしまうはずだった。しかし今は、何の反応も示さないどころか、むしろ少しだけ拒絶している自分がいた。要は夏美の手を握り、制止する。「いい子だから。今日は一日疲れただろう、早く休もう」「でも……」夏美は目をうるませる。その表情は、不満そうでありながら、どこか男を誘う色っぽさがあった。「だって私たち、ずっとしてないんだよ……」要は夏美をまっすぐ見て、真剣な声を出す。「夏美。お前は今、妊娠してるんだ。少しは抑えないと」「わかった、でも……」夏美はがっかりしながらも、なんとか誘おうとチャンスを伺っていたが、気がつくと要はとっくに体をするりと離してしまっていた。夏美の手が行き場をなくして宙を彷徨い、心の底では不安が芽生え始める。何かが変わってしまったような……夏美を寝かしつけた後、要はこっそりとベランダに出た。もう一度、霞に電話をかけてみたがやっぱり、誰も出ない。要は気持ちを切り替えて、今度は秘書の池田健二(いけだ けんじ)に電話をかけてみる。この数日間、特に変わった様子はないと健二から聞かされ、要はほっと息をついた。健二はさらに、庭で花を眺める霞の写真を送ってきた。霞の優しく穏やかな横顔を見ていると、要の口元は自然と綻んだ。ようやく安心した要だったが、なぜか無性に霞のことが恋しくなってきた。霞が
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