だが、問題は不来方の私兵部隊だ。 彼らは警察組織とは無関係の、純粋な殺戮部隊。データのリークなど意に介さず、物理的な殲滅を遂行し続ける。 画面の一つに、セーフハウス周辺の電波トラフィックのマップを表示させる。 赤い点が、アパートを囲むように密集している。不来方の私兵たちの通信端末の反応だ。 その赤い点群が、アパートの正面玄関付近で激しく明滅し、一つ、また一つと不規則に消滅していく。 千隼だ。 彼が、敵の数を減らしているのだ。 だが、赤い点の数は多すぎる。二十という千隼の読みは正確だった。そして、周囲を封鎖する車両の配置は、逃げ道を完全に塞ぐ合理的な陣形を組んでいる。「……この陣形、右翼の通信車が要ね」 私は画面を凝視し、唇を噛んだ。 敵の部隊は、右側に配置されたワンボックスカーから全体の指揮を執っている。あそこを潰さなければ、千隼は永遠に連携の取れた十字砲火を浴び続けることになる。 どうやって、彼にそれを伝える? インカムは壊れ、携帯電話の回線は観音にジャックされた可能性があるため切断した。 直接言葉を届ける手段は、何もない。 私は、キーボードの上に置いた指先を見つめた。 彼の熱が、まだ残っている。 目を閉じる。 雨の冷たさ。血の匂い。彼の荒い呼吸。 もし、私が彼なら。 もし、私が彼のあの狂気じみた本能と、圧倒的な暴力を持ち合わせていたなら、どう動く? 目を開け、ターーンッ、とエンターキーを叩いた。「……千隼。私なら、正面の弾幕を避けて、左の路地の陰から回り込むわ。そして、車体の下を滑って、右翼の通信車の死角に潜り込む」 画面の中の赤い点の動きを、じっと睨みつける。「そこよ。……そこを、潰して」 声に出して、祈るように呟いた。 ◇ ザァァァァッ! 雨脚がさらに強さを増し、視界を白く塗り潰していく。 千隼は、弾丸がアスファルトを砕く音を背中
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