All Chapters of 終わらない夜の果てに: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話

三浦グループの仕事が山のように溜まっていたので、英樹は一度会社に戻らなければならなかった。プライベートアイランド、黄昏時。英樹が去って3日目。瞳は大きな窓の前に立ち、遠くの水平線に最後の光が沈んでいくのを見ていた。使用人がそっと入ってきて、温かい牛乳を一杯置いた。「奥様、少しだけでもお飲みください」しかし、瞳は動かずに、ただ尋ねた。「英樹はいつ帰ってくるの?」「社長は、会社の仕事が片付き次第すぐに……」ガシャン。ガラスのコップが壁に叩きつけられて砕け散り、牛乳が床一面にこぼれた。「私は『奥様』なんかじゃない」瞳は鼻で笑った。「出ていって」すると、使用人はおびえて部屋を出ていった。瞳はかがみ込み、一番鋭いガラスの破片を拾い上げた。その頃、江川市にある三浦グループ本社。会議室で、英樹は社長席に座っていた。役員たちの報告を聞きながら、無意識にスマホの画面を指でなぞっている。画面に映っていたのは、昨夜届いた監視カメラの映像だ。砂浜に立つ瞳は遠くの水平線を眺めており、その背中は潮風に吹き飛ばされそうなほどか弱く見えた。「社長?この合併案件ですが……」「延期だ」英樹は突然立ち上がった。「車を用意しろ、空港へ行く」哲也はきょとんとした。「しかし、役員会が……」「今すぐだと言ったはずだ」そして、飛行場の駐機場。プライベートジェットが着陸するやいなや、英樹は足早にタラップを駆け下りた。たった3日会っていないだけなのに、気が狂いそうなほど瞳に会いたかった。「社長、プレゼントはすべてご用意できております」哲也が後ろからついてきて、綺麗なプレゼントの箱をいくつか抱えていた。「ご所望のブルーダイヤモンドのネックレスと、奥様がお好きな……」「瞳はどこだ?」英樹は哲也の言葉を遮った。「しゅ、主寝室に……」使用人の歯切れの悪い様子に、英樹の胸は締め付けられた。彼は顔色を一変させ、大股で邸宅に向かって走り出した。主寝室。ドアが激しく蹴り開けられた瞬間、ベッドの端に座って、手首には痛々しい血の跡が刻まれ、鮮血が指先からカーペットに滴り落ち、暗い赤色の染みを作っている瞳の姿があった。英樹は息を呑み、駆け寄って瞳の手首を掴んだ。「死ぬ気なら、中村家ごと道連れにしてやる」瞳は顔を上げた。血の気
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第22話

瞳が大人しくなったのは、監禁されてから27日目のことだった。もう抵抗はしないし、食事を拒むこともない。ときには、英樹に微笑みかけることさえあった。英樹は最初こそ警戒していたが、次第に瞳が本当に諦めたのかもしれないと信じるようになった。「今日は何が食べたい?」朝、英樹はネクタイを締めながら、ベッドのそばに立って瞳に尋ねた。瞳はヘッドボードに寄りかかり、長い髪を肩に垂らして、落ち着いた声で言った。「あなたが作ったもの」英樹は指の動きを止め、一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに「わかった」と微笑んで、キッチンへと向かった。その後ろ姿は、珍しくリラックスしているように見えた。だが、瞳は英樹の姿がドアの向こうに消えるのを見届けると、すぐに布団をめくりあげ、マットレスの下から小型パソコンを取り出した。それは先週、英樹の書斎から盗んだものだった。瞳は素早くコードを打ち込んでいく。その指先は、キーボードの上を舞うようだった。彼女は音もなく島のセキュリティシステムに侵入し、暗号化された救助信号を送信した。3日後の、夜更けだった。瞳は崖の縁に立っていた。吹き付ける海風が、スカートをばたばたと音を立てて揺らしていた。すると、背後から慌ただしい足音が聞こえた。健太が駆けつけたのだ。「瞳さん!」健太は顔面蒼白で駆け寄ってくると、叫んだ。「こっちだ!」瞳は追ってきたボディーガードを一瞥し、ふっと笑った。「健太さん、高いところは苦手?」健太が何事かと戸惑う間もなく、瞳は彼の手を引いて崖から身を投げた――眼下には荒れ狂う波が渦巻いていた。しかし、崖の途中には、瞳が前もって調べておいた足場があった。ボディーガードたちは手を出せず、二人が闇の中へ消えていくのを見送るしかなかった。波が岩に打ち付ける中、瞳と健太はずぶ濡れになりながら、なんとか岸までたどり着いた。「急げ!」健太は瞳の手を引いて、ボートへと走った。その瞬間、眩い光が二人を照らした。岸には、英樹が数十人のボディーガードを従えて立っていた。「気が済んだか?」英樹の声は、氷のように冷たかった。瞳は健太を背後にかばい、言った。「英樹、健太さんを逃がして」英樹は瞳をじっと見つめると、ふっと笑った。「いいだろう。だが、君はここに残ってもらうから」瞳が
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