舞踏会を3日後に控えた昼下がり、ラプティスがふたりの男性を連れて屋敷に来た。男性達は両手に大荷物を持ち、ラプティス本人はいつもの仕事用トランクケースのみを持って涼し気な顔をしている。 ルナは彼らを衣装部屋に案内し、オネストは逃げるようにしてラウルとカミリアを呼びに行く。ふたりはカミリアの部屋でダンスの練習をしていた。「ラウル様、ソニア様。仕立て屋が来ました」 苦虫を噛み潰したような顔でラプティスの到着を報告するオネストに、カミリアは不思議顔をする。「ラプティスは色々うるさい人だからね。オネストの格好が古臭いから、仕立て直したいんだよ」「私はこのままで結構です」 オネストは燕尾服のラペルを軽く引っ張った。その仕草と顔から、絶対に脱がないという意志がひしひしと伝わってくる。「あぁ、オネストはそのままでいいよ。ラプティスはいつもの衣装部屋かな?」「はい」「行こうか」 ラウルにエスコートされ、衣装部屋へ行く。ここに来たばかりの頃はエスコートされるのはあまり好きではなかったが、今は嫌悪などを抱くことはない。人は変わるものだと思いながら、衣装部屋に入る。「あぁ、ソニア様! ご機嫌麗しゅう!」 げっそりとやせ細り、目の下に濃い隈を作ったラプティスが、うっとりした表情でカミリアの正面まで来る。近さとなんとも言えない迫力に、カミリアは気圧され、1歩下がる。「お、お久しぶりです、ラプティスさん」「あぁ、ソニア様にお名前を覚えていただけていたなんて、光栄ですわ!」 ラプティスが更に距離を詰め、カミリアの手を取ると、ラウルは咳払いをした。ラプティスは忌々しげにラウルを睨むと、カミリアの手を離して中央の大きなテーブルの前へ行く。「ソニア様のドレスを3着作ってまいりました。それと、こちらにはソニア様のお身体にぴったりのものをご用意しました」 ラプティスが手で示す壁には、色とりどりのドレスが、何着もかかっていた。ラプティスに気圧されて気づかなかったが、ふたりの男性がドレスのシワ伸ばしをしていた。
Terakhir Diperbarui : 2026-02-02 Baca selengkapnya