「ソニアは、ラウルに惚れてるように見えなかったんだけどな……」 アストゥートはふたりの様子を思い浮かべる。ソニアはラウルに抱き寄せられるのを迷惑にしているように見えた。少し強引に口説けば、モノにできると思っていたが、見当違いだった。 「けど、ラウルはソニアに惚れていた」 煙を吐き出し、残忍な笑みを浮かべる。ラウルがソニアを見る目は、愛しい者を見る目だった。それならソニアを壊してしまえばいい。ラウルにダメージを与えられるのなら、なんでもいい。ラウルさえ潰せれば、自分が国王になれる。 「さて、どうしてやるか」 交友パーティのスケジュールを開き、ソニアを壊す計画を立てていくのだった……。 舞踏会場、アストゥートが去ってすぐ、ラウルが戻ってきた。彼は心配そうにカミリアの顔を覗き込む。 「大丈夫? ソニア。アイツに何かされなかった?」 「言い寄られたけど、あしらっておいたわ。すぐに身を引いて、どこかに行った」 「そう……。すぐに身を引くなんて、アイツらしくない。きっと何か企んでるだろうから、油断しないで」 真剣な顔で言うラウルに、カミリアは重々しく頷いた。 2日目、昨日より小さな舞踏会場へ行く。挨拶回りをして2曲踊ると、ラウルの提案で休憩室に行くことになった。 廊下を歩いていると、騎士達とすれ違う。その中にハーディを見つけ、声をかけたくなるのをぐっとこらえた。 廊下には何室もの休憩室が並び、ドアには札がかけてある。札はほとんどが真っ黒で、いくつかは満月が描かれた札もある。ラウルは真っ黒な札をひっくり返して満月にすると、部屋に入って鍵を締めた。 「さっきの札は?」 「あれで人が入ってるかどうか知らせるんだよ。真っ黒な札は月がない夜を現し、満月が描かれた札は満たされている、つまり、人がいるって意味さ」 ラウルは説明をしながら、カミリアをソファに座らせる。ソファの前に置かれたテーブルには、ふたつのグラスと水差しが置いてあった。
Terakhir Diperbarui : 2026-02-02 Baca selengkapnya