Semua Bab 氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜: Bab 131 - Bab 140

179 Bab

131話

「ソニアは、ラウルに惚れてるように見えなかったんだけどな……」  アストゥートはふたりの様子を思い浮かべる。ソニアはラウルに抱き寄せられるのを迷惑にしているように見えた。少し強引に口説けば、モノにできると思っていたが、見当違いだった。 「けど、ラウルはソニアに惚れていた」  煙を吐き出し、残忍な笑みを浮かべる。ラウルがソニアを見る目は、愛しい者を見る目だった。それならソニアを壊してしまえばいい。ラウルにダメージを与えられるのなら、なんでもいい。ラウルさえ潰せれば、自分が国王になれる。 「さて、どうしてやるか」  交友パーティのスケジュールを開き、ソニアを壊す計画を立てていくのだった……。  舞踏会場、アストゥートが去ってすぐ、ラウルが戻ってきた。彼は心配そうにカミリアの顔を覗き込む。 「大丈夫? ソニア。アイツに何かされなかった?」 「言い寄られたけど、あしらっておいたわ。すぐに身を引いて、どこかに行った」 「そう……。すぐに身を引くなんて、アイツらしくない。きっと何か企んでるだろうから、油断しないで」  真剣な顔で言うラウルに、カミリアは重々しく頷いた。  2日目、昨日より小さな舞踏会場へ行く。挨拶回りをして2曲踊ると、ラウルの提案で休憩室に行くことになった。  廊下を歩いていると、騎士達とすれ違う。その中にハーディを見つけ、声をかけたくなるのをぐっとこらえた。  廊下には何室もの休憩室が並び、ドアには札がかけてある。札はほとんどが真っ黒で、いくつかは満月が描かれた札もある。ラウルは真っ黒な札をひっくり返して満月にすると、部屋に入って鍵を締めた。 「さっきの札は?」 「あれで人が入ってるかどうか知らせるんだよ。真っ黒な札は月がない夜を現し、満月が描かれた札は満たされている、つまり、人がいるって意味さ」  ラウルは説明をしながら、カミリアをソファに座らせる。ソファの前に置かれたテーブルには、ふたつのグラスと水差しが置いてあった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-02
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132話

「分かりやすい上に風情があるのね」 カミリアはグラスに水を注ぐと、それぞれの前に置いた。「一応言っておくけど、休憩室には他の男と入ってはいけないよ。休憩室だけじゃない。庭の茂みや、ふたりきりになるような場所は、絶対に行かないで」「どうして?」「休憩室や茂みから出てくるところを誰かに見られたら、そういう仲だと思われて、おかしな噂が広がるからさ。男にそういったところに連れ込まれて、婚約破棄をされて泣いた女性を、何度も見たことがある」 ラウルの話に、カミリアは嫌悪感で顔をしかめる。きっとか弱い女性を無理やり引っ張りこんだのだろう。そういった卑怯な男が、カミリアは許せなかった。「まぁ君なら大丈夫だろうけど。そういえば、ハーディとすれ違ったね」 親友の名前に、カミリアは笑顔になる。休憩室の話をして話せなかったが、ハーディの話をしたくてしかたがなかった。「えぇ、そうね。まさかすれ違えるなんて思わなかった。舞踏会がいくつかに分かれてるってことは、騎士達もでしょう? 話せないけど、ハーディの姿を見ることができて、とても嬉しいの」「ふたりは仲がいいんだね」「子供の頃から、ずっと一緒だったもの」 カミリアはハーディと過ごしてきた日々を思い出した。喧嘩をしたり、辛い目にあったこともあったが、それでもハーディは唯一無二の親友だ。「そうなんだ。その思い出話、聞かせてくれる?」「えぇ、もちろん」 気弱だったハーディを騎士ごっこをしていじめる男の子達から守ったこと、湖で溺れる自分をハーディが助けてくれたこと、一緒に剣技を磨いたり、自警団に入ったことなどを、ラウルに話した。 その頃ハーディは、廊下で立ち尽くしていた。「嘘でしょ……?」 心の声が、無意識に口から出てくる。それほどまでに、ハーディは放心してしまっている。 瞼を閉じて、先程すれ違った貴族のカップルを思い返す。仮面で顔全体を見ることはできなかったが、あれは間違いなくラウルとカミリアだ。想い人と親友を、間違えるわけがない。
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133話

「どうして……ラウル団長とカミリアが……?」 ラートの話が本当なら、ふたりはそれぞれ違う任務をしに出ているはずだ。時々一緒になることがあると聞いたが、ここにいるのは明らかにおかしい。 ハーディはカミリアがラウルにエスコートされ、馬車に乗っていたのを思い出し、ひとつの答えにたどり着く。 別の任務というのは嘘だった。 100歩譲って、それが嘘でもいい。きっと事情があったのだろう。許せないのは、さっきのカミリアの目。ラウルを見上げるカミリアの目は、恋する乙女の目だった。『男なんて女を奴隷か何かと勘違いしてる最低な生き物よ』『恋愛? 要は他人への依存でしょう? 私は誰にも依存しない。そんな弱い人間になりたくない』 カミリアの言葉が脳裏に過ぎる。その言葉でつけられた心の傷がうずく。 騎士ごっこをする少年達から守ってくれたカミリア、剣技や勉強が誰よりも出来て、ハーディの憧れであり、自慢の親友だった。そう、思い込み続けていた。 ストレートの美しいブロンド、目を引く美貌、健全な精神と肉体……。カミリアのすべてに憧れていた。だがその憧れは、妬みを隠すためのメッキに過ぎなかった。 癖っ毛の醜い黒髪、そばかすがある地味な顔、どこまでも卑屈な心……。どれを取ってもカミリアに劣っていた。そんな自分が大嫌いだった。カミリアに夢中になることで忘れていたものが、濁流のように押し寄せる。 自警団時代に好きだった先輩は、ハーディに見向きもせず、カミリアばかり見ていた。彼が心の底からカミリアを愛し、守りたいと思っているのは、痛いほど伝わった。 悔しかったが、仕方ないという気持ちが大きかった。自分よりカミリアの方が美しい。強くて賢い。すべて彼女の方が優れているのだから、先輩がカミリアを好きになるのは当然のことだ。自分は身を引き、カミリアに恋の素晴らしさを知ってもらおうと思った。 だがカミリアは先輩をフッてしまった。それだけならまだしも、彼を暴漢呼ばわりして騒ぎ立てた。そのせいで先輩は自警団から追放されてしまった。彼は自警団だけでなく、街からも追放された。カミリアはそのことを知らずに生きている。
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134話

 次に思い出すのは、ドゥム派が折れた木刀やフレイルを投げつけてきた日のこと。カミリアはハーディをかばって足を挫いた。あの時メッキで覆われて気づかなかった本心が、今になってハーディを蝕む。 「なんで、余計なことをしたの?」  カミリアが助けなければ、フレイルの棘で大怪我をしていただろう。だが、それでいい。大怪我をしたら、きっとラウルは自分を心配してくれた。お姫様抱っこされるのはカミリアではなく、自分だったはずだ。そして、ラウルの隣にいるのも……。 「どうして、あの子ばっかり……」  カミリアの好きだったところが、だんだん嫌いになっていく。  子供の頃、カミリアが溺れた時に助けなければよかった。あの時、ドゥム達に殺されてればよかったのに。  悪い考えとドロドロした感情が、ハーディの中に蓄積されていく。 「ねぇ、貴女。シャムスの騎士さん、貴女よ」  鈴のような可愛らしい声が、ハーディの思考を停止させた。顔を上げると、妖精のような愛らしいご令嬢が微笑んでいた。  3日目、カミリアは久方ぶりにシャムスに帰っていた。といっても、晩餐会に参加するためで、行きたいところには行けないのだが。  それでも窓から見える母国の景色は、心が和らいだ。どんなに狂った国でも、自分の国にいるのが1番落ち着くものなのだと実感する。  貴族の家に着くと、他の客は見当たらない。どうらやカミリア達が1番に到着したようだ。 「私達、はやく来すぎたのかしら?」 「わざとはやく来たんだよ」  ラウルはそう言って微笑むと、バスケットを片手に馬車から降りて、カミリアに手を貸した。ふたりが馬車から降りると、使用人が出迎えてくれる。 「ようこそお越しくださいました。随分とおはやいご到着ですね」 「えぇ、夫人に渡したいものがありましたので」  ラウルが軽くバスケットを持ち上げると、使用人は顔を綻ばせた。 「お若いのにご立派ですね。そういうことでしたら、どうぞ」  使用人はふたりを屋敷に入れると、客間に案内した。客間は柔らかな黄色の壁紙で、あたたかい印象を受ける。カミリアは部屋を見ながら、親戚の色もビビットな黄色でなく、こういう色にすればいいのにと思った。
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135話

 ソファに座って待っていると、品のいい女性がワゴンを押して入ってくる。初めて会うのに、どこかで見たことがある気がしてならない。(前に護衛した貴族? でも、貴族が自分で紅茶を淹れるかしら?) カミリアはどこで会ったのか思い出そうと、紅茶を淹れてくれる貴夫人の横顔を見つめる。するとラウルが軽く小突き、カミリアの耳元に唇を寄せる。「彼女は昨日の舞踏会で挨拶したアムゼル夫人だよ」 昨日は仮面をつけていたため、気づかなかったが、言われてみれば昨日ラウルと談笑をしていたアムゼル夫人の面影がある。「シャムス1美味しいお紅茶よ。スコーンは私が焼いたの。どうぞ食べて」 アムゼル夫人は柔らかな笑みを浮かべ、ふたりの前に紅茶とスコーンを並べる。カミリアが礼を言おうとアムゼル夫人を見ると、彼女は優しい目でカミリアを見つめていた。「昨日は仮面をしていて分かりづらかったけど、美しいお嬢さんねぇ。きっと心も綺麗なのでしょう。こんなに素敵な女性と出会えて、あなたはついているわ」「えぇ、ソニアは本当に素晴らしい女性ですよ。アムゼル夫人、こちらをどうぞ」 ラウルはバスケットをアムゼル夫人に手渡した。彼女がかぶせ布をどかすと、ワインボトルが顔を出した。ここからではよく見えないが、生ハムらしきものも入っている。「まぁ、こんなにはやく約束を果たしてもらえるだなんて、思ってもみなかったわ。ありがとう。後で主人といただくわ」 アムゼル夫人はかぶせ布を元に戻すと、自分の隣にバスケットを置いた。それから3人は、次の来客が来るまで談笑を楽しんだ。アムゼル夫人はとても気さくな人で、カミリアにも分かるような話を振ってくれた。特に、彼女の夫であるアムゼル伯爵との思い出話はどれも素敵なものばかりで、今まで恋愛に興味を示さなかったカミリアも惹きこまれた。 アムゼル夫人の話を聞いているうちに、本物の愛も確かに存在するのだと認知するほどに。
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136話

 1時間もすると、他の客人達も集まってくる。カミリア達も食堂へ行く。カミリアはフェガリ人として、ラウルの隣に座った。向かいの席には、以前護衛したことがある貴夫人が座り、少しドキッとする。彼らが護衛の騎士の顔などいちいち覚えていないことを思い出し、気持ちを落ち着かせる。 すべての席が埋まると乾杯をし、晩餐会が始まる。彼らは交友パーティの目的通り、互いの国について話をしている。カミリアは安堵しながらその様子を見守り、時々話を振られると、愛想笑いをしながら頷いた。 シャムスについて思うべきことは多々あるが、それらを口にするとカミリアがシャムス人であるとバレてしまう。それだけならまだしも、フェガリが疑われ、シャムスの中で犯人探しが始まってしまう可能性がある。 そうならないためにも、カミリアは何も知らないフリをして、ただ、首を縦に振った。 食事が終わると、女性達は別室へ行く。カミリアはどうするか迷ったが、ラウルに彼女達と行くように耳打ちされ、彼女達について行く。 ついたのは先程までいた食堂よりひと回り小さな部屋。他の部屋と違い、可愛らしくも品のある調度品が目につく。複数のテーブルの上に、それぞれティーセットやお菓子などが置いてあるが。どれも女性が好みそうなものばかりだ。 彼女達は友達同士で思い思いの席に座り、どの殿方がよかったとか、どんな習い事をしているなど、交友パーティとは無縁の話ばかりしている。カミリアとしては彼女達にも政治に関心を持ってもらいたいが、令嬢にとって結婚は、一般人には想像がつかないほど重要なことだと聞いているので、仕方ないとも思う。(それにしても、どうすればいいの?) 友達がいないカミリアは、壁際に立って外を眺めていた。ただひとりでいるだけならまだしも、時折向けられる彼女達の視線が痛い。中にはカミリアに聞こえるように、田舎者だと笑う者もいる。
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137話

「ねぇ、あの子ってどこの子かしら?」「知らないわ、あんな田舎者」「私も。なんであんな子がラウル様と……」「あんな田舎娘、ラウル様にふさわしくないわ」 自分を嘲笑う彼女達に物申したいが、そんなことをして騒ぎになったら、ラウルの名前に傷がつく。カミリアは下唇を噛み、その場を耐え忍ぶ。「ねぇ、貴女。おひとりかしら?」 鈴のような可愛らしい声に顔を上げると、小柄で愛らしい女性がカミリアを見上げていた。全体的に色素が薄く、触れたら壊れてしまいそうな、儚い印象がある。薄いブロンドの紙をゆるく巻き、薄い水色のドレスを着こなした彼女は、妖精のように可憐で愛らしい。「えぇ、ひとりですが……」「私もひとりなの。よかったら、向こうで一緒にお茶しない?」 そう言って彼女は隅にあるこじんまりしたテーブルセットを手で示した。そこは窓から離れているせいか、薄暗い。自分はともかく、妖精のように可憐な彼女には似つかわしくないと思った。「いいんですか?」「よくなかったら、お誘いしないわ。ね、お茶しましょう。私もひとりなの」 カミリアはうなずき、彼女と一緒に隅の席に座る。窓際のご令嬢達と離れているが、かえってそっちのほうが落ち着く。可憐な妖精は、鼻唄を歌いながら、ティーポットを傾けた。「はい、どうぞ」「ありがとうございます」 カミリアが礼を言うと、彼女は口元に手を添え、上品に笑う。「敬語はよして。嫌われ者同士、仲良くしましょうよ。まだ名乗っていなかったわね。私はリュゼ。リュゼ・フローレスよ」「私はソニア。声をかけてくれてありがとう。ずっと田舎暮らしだったから、こういった場には慣れなくて……」「田舎からこんなに素敵な人を見つけ出してくるなんて、ラウル様は人を見る目があるのね」 手放しに褒められ、どう反応していいのか困る。ラウルからの褒め言葉はある程度耐性はついたが、女性からの褒め言葉は慣れていない。それに、自分よりもリュゼの方がよっぽど素敵な女性に思えた。
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138話

「ありがとう。けど、貴女のほうが素敵な人よ。ところで、さっき嫌われ者同士って言ってたけど、どういうこと?」「自分でこんなことを言うのは気が引けるけど、私はモテるから。あの子達が狙ってる殿方達に求婚されているのが気に食わないんでしょう。ソニアはラウル様の隣にいるから、気に入らないのよ。ラウル様は憧れの的だからね。ソニアを田舎者だなんて笑ってるけど、本当は焦ってるのよ。なんの前触れもなしにこんなに綺麗な子が出てきて、いきなりラウル様の隣に立ってるんだもの」 リュゼの話を聞き、カミリアは納得した。そして女性除けの役割がどれほど大変なのか痛感する。ラウルはフェガリの時期国王最有力候補。その上顔もよく、誰にでも優しい。これ以上いい物件、そうはないだろう。女性達が放っておくわけがない。中にはカミリアを蹴落とそうと考えている者もいるはずだ。そう考えただけでゾッとする。「気をつけて。きっと貴女を陥れようとする人が出てくるわ」「ご忠告ありがとう、気をつけるわ」 カミリアが素直に頷くと、リュゼは安堵したように胸を撫で下ろす。リュゼの優しさに癒やされるのと同時に、こんなに可愛くて優しい子が嫌われているのが、納得行かなかった。「一昨日の舞踏会、とても素敵だったわ。ソニアのドレスは斬新で綺麗だったし、ラウル様と踊ってる姿も絵になっていたもの。ソニアの身長が羨ましい。私は小さいから、ラウル様くらい背の高い殿方と踊ったら、気を遣わせてしまうわ。それに、子供と踊ってるように見えてしまうもの」 リュゼはうっとりした顔でふたりを褒めそやしたかと思えば、自分の頭を撫でながら拗ねたように言う。表情豊かで、見ていて飽きない。「ありがとう。あのドレスは私も気に入ってるの。私としては、リュゼみたいな小柄な女性に憧れるわ。普通の女性より少し背が高いだけで、男女なんて言われることもあるんだもの」「そんなことを言う人のセンスがないのよ。ソニアくらいの身長だから、ラウル様の隣にいても絵になるの。だから、そんな人達の言葉を気にしてはダメよ」 リュゼはカミリアを励ますように言うが、一瞬だけ仄暗い顔をしたように見えた。
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139話

(あれだけ自分を嫌っている人がいるんだから、疲れてるんだわ) 気にしないようにしていたが、耳を澄ませるとふたりの悪口を言っているのが聞こえる。カミリアはこうしてリュゼに助けられて気持ちが楽になったが、彼女は今までずっとひとりで耐えてきたはずだ。 カミリアは、少しでもリュゼの力になりたいと思った。 ふたりは時間になるまで、雑談を楽しんだ。リュゼは自分の体験談を混じえ、舞踏会や晩餐会で気をつけるべきことや、男性のあしらい方などを教えてくれた。彼女の話は面白くて、カミリアはすっかり聞き入っていた。 時間になったことを使用人が知らせに来ると、リュゼはとびきりの笑顔をカミリアに向けた。「ソニア、何か困ったことがあったらいつでも聞いてね。明日、舞踏会場で会いましょう」「ありがとう、リュゼ。とても心強いわ」 別れの挨拶を交わすと、リュゼは先に部屋を出た。カミリアはここでラウルを待つことになっているため、椅子に座り直す。 ご令嬢達がほとんどいなくなった頃、ようやくラウルが迎えに来てくれた。彼の元へ行こうとすると、黒髪の令嬢に呼び止められた。気弱そうな顔は、昔のハーディにどことなく似ている。「あの、リュゼには気をつけて」「どういうこと?」 黒髪の令嬢は何も答えず、うつむき加減で部屋を出ていった。カミリアはリュゼを僻んだ彼女達の嫌がらせだろうと思い、聞き流すことにした。 屋敷に帰って湯浴みを終えると、ラウルとお茶を飲みながら話をする。「今日の晩餐会、どうだった? ほら、食事が終わった後、女性だけ別室に行っただろう? 嫌がらせとかされなかった?」「悪口を言う人達はいたけど、リュゼって子がいてくれたから大丈夫。とても優しくて、頼りになる子なの」「そっか、いい友達が出来たようで安心したよ」(友達、か……) 友達という言葉に胸があたたかくなる。負けず嫌いで男勝りな性格から、友達はハーディしかいなかった。ハーディさえいてくれればいいと思っていたが、新しい友達ができるのは喜ばしいことだ。
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140話

「明日の舞踏会にも、リュゼって子は来るだろうね。そういう子がいると、僕も心強いよ。明日、紹介してくれる?」「えぇ、もちろん」「カミリアの新しい友達に出会えるのは楽しみだね。夜も遅いし、そろそろ寝ようか。いい話が聞けてよかったよ。おやすみ」「えぇ、おやすみなさい」 カミリアは自室に戻ると、ベッドにもぐり込んだ。疲れた身体を、羽毛が優しく包んでくれる。カミリアは満たされた心を抱え、そのまま目を閉じた。 4日目、交友パーティも折り返し地点だ。この日はフェガリの小さな舞踏会場で仮面舞踏会が行われる。 今日は紺色のドレスに身を包んだ。ラウルは黒い燕尾服を着ており、シックにまとまっている。そんなふたりを、多くの人々が遠くから眺めてうっとりしていた。「ラウル様は何を着てもお似合いですわ」「マルティネス公爵の隣にいる女性は、どこのご令嬢なんだ? 是非とも踊ってみたいものだ」 もちろんカミリアを疎む視線もあったが、賞賛の声と視線が、それらをかき消してくれた。「ソニア」 鈴のような可愛らしい声に呼ばれる。そちらを見ると、リュゼがこちらを見上げて微笑んでいる。淡いピンク色のドレスに見を包み、蝶を模ったマスカレードマスクをつけている。その姿は本当に妖精のようだ。「リュゼ、ごきげんよう」「君がリュゼか。僕のソニアと仲良くしてくれてありがとう。僕は……」「ラウル様ですよね? もちろん存じておりますわ。フェガリ貴族の憧れの的ですもの」 リュゼは尊敬の眼差しをラウルに向ける。その中に恋心に似たものを感じ取り、カミリアは複雑な気持ちになる。心なしか、ふたりの距離も近いように見える。「その分、敵も多いけどね」「ラウル様にかかれば、どうということはないでしょう?」 にこやかに話していたリュゼは、目を伏せ、ため息をついた。その姿は妙に色っぽく、同性のカミリアもドキッとした。「もう少しおふたりと話していたいのですが、会わなければならない方がいますので、失礼します。ソニア、またあとでお話しましょうね」「えぇ、そうね」 リュゼはドレスの裾をつまんで優雅に挨拶をすると、ふたりの元から去っていった。もう少しリュゼと話していたかったという気持ちと、行ってくれてよかったという気持ちが混在し、自分の心境に戸惑う。
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