「君、何を考えているんだ!?」「シャムスの騎士は礼儀を知らんようだな」 フェガリの貴族達は、いきなり入ってきたハーディを批判する。だが彼らの批判は、ハーディには届かない。ハーディはラウルとリュゼを探したが、ふたりの姿はどこにもない。「罰なら後でいくらでもお受けします。ラウル様とリュゼ様はどちらにおられるのですか?」「ふたりならソニアという娘の様子を見に行った」 サウラが答えると、ハーディの顔が青ざめる。最悪のシナリオが、頭を巡った。「ソニアが、カミリアが大変なんです! 庭の穴に……!」 ハーディの言葉に、フローレス公爵の顔が真っ青になる。貴族達は訝しげな顔をしてフローレス公爵を見つめる。「あの悪魔のような穴に落ちたというのか!? すぐに助けに行かねば!」 フローレス公爵はハーディを突き飛ばし、外へ向かう。サウラとノクス王は顔を見合わせると、後に続く。ハーディはサウラ達と一緒に庭へ向かった。「私のせいで、カミリアが……!」「話は後で聞く」 サウラは強い口調で言うと、更に急いだ。 カミリアは、水に浮かんでいた。ランタンまであと50cm、外まであと70cmといったところか。もう少しで外に出られそうだが、体力と精神力の限界が近い。ランタンの近くに来て分かったが、フックはもうボロボロで、今にも取れそうだ。気が急いて早いタイミングで登ろうとすれば、命綱はなくなるだろう。 カミリアは寒さでかじかみ、力が入らないようにするだけで精一杯だった。きっと、本当にギリギリまで水が上りきらないと出るのは難しい。そう考えただけで、気が滅入りそうになる。その度に、ランタンの光で輝く宝玉を見て気力を保った。「それにしても、ハーディはどうして私を……」 氷のような冷たい目、裏切り者という言葉。いつ彼女を裏切ったのか、見当もつかない。こんな残酷な罠で殺したいと思うほど憎しみを抱えていたのなら、理由を聞いても話してくれないかもしれない。それでも、ハーディとも向き合わないといけないと思った。
Terakhir Diperbarui : 2026-02-03 Baca selengkapnya