Semua Bab 氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜: Bab 61 - Bab 70

179 Bab

61話

「初めまして、ソニアです」 簡潔な自己紹介をして一礼すると、ルナは深々とお辞儀をした。「私はルナと申します。この度、ソニア様のお世話をさせていただくことになりました。よろしくお願いします」「紹介も終わったところでそろそろ彼女の元へ行こうか。待たせるのも悪いからね。ルナ、ソニアの荷物を彼女の部屋に運んでもらえるかい?」「はい。ソニア様、お荷物お預かりします」 ルナは荷物を受け取ろうと手を差し出すが、カミリアは彼女に持たせて大丈夫なのか心配になる。ルナを疑っているわけではない。カバンの中には最低限の衣類の他に分厚い軍学書が数冊入っているし、剣袋に入っているとはいえ、レイピアとサーベルを小柄な女性に持たせていいものか悩ましい。こんなに重くて危ないものを、ルナひとりで運べるとは思えなかった。「これ、結構重たいし危ないけど……」「大丈夫です、私力持ちですので」 ルナは屈託のない笑みを見せると、カミリアが持っていたカバンを肩にかけ、レイピアとサーベルを受け取ってくるりと回ってみせた。「それじゃあ、お願いします」「はいっ!」 ルナは元気よく返事をすると、とてとてと駆けていった。「あの子、あれで結構有能なんだ。さぁ、こっちだよ」 ラウルにエスコートされ、2階の1室に案内される。部屋を開けると、様々な衣装がズラリと並んでいた。その中央で高身長の女性が、色とりどりの生地を見比べている。「やぁ、ラプティス、随分と待たせて……」「きゃー! 素敵!」 ラプティスと呼ばれた女性はラウルには目もくれず、カミリアに抱きついた。突然のことにカミリアは固まってしまう。彼女が動かないのをいいことに、ラプティスはカミリアの頬や髪に触れていく。「わぁ、お人形さんみたーい! 髪サラサラだし、こんなに綺麗なブロンド、初めて見たわ。肌も白くていいなー。陶器の様な肌ってこういうことを言うのかしら? はぁ、理想的なスタイル! もう最高!」 ラプティスはまくし立てるように言うと、カミリアの頬にキスをする。これが男なら平手打ちを食らわせているところだが、女性が相手だとどうしていいのか分からない。
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62話

 困っているとラウルが咳払いをし、ラプティスは渋々離れていった。「ラプティス、こちらは僕の婚約者、ソニアだ。ソニア、こちらは仕立て屋のラプティスだ。暴走しがちだが、腕は確かだ」「ソニア様! まぁ、可憐なお名前ですこと! それにとても美しいわ」 再びラウルが咳払いをすると、ラプティスはしかめっ面をしてラウルを睨みつける。カミリアは居心地の悪さを覚え、室内を見回した。男性物の服もあるにはあるが、ほとんどがドレスやネグリジェなど、女性物が多い。「ラプティス、彼女の普段着と下着を至急、ドレスは3週間後までにお願いできるかい?」「あらあらまぁまぁ! そんな楽しいお仕事をさせてくださるんですか!? えぇ、もちろんですとも! さ、ソニア様、さっそく測定いたしましょ。ほら、ラウル様は向こうへ行った行った」 ラプティスはカミリアを抱き寄せると、しっしっと犬を追い払うように、ラウルを追い出そうとする。ラウルはやれやれと肩をすくめ、部屋から出ていった。(寛大というか、なんというか……) ラウルが出ていったドアを横目で見ながら、よく怒らないものだと感心した。そして公爵であるラウルにあのような態度を取れるラプティスの神経を疑う。シャムスの貴族にしっしっとやったら、運が良くて牢獄行き、運が悪ければ命を落としているだろう。「素晴らしいドレスを作るには、正確な測定がかかせません。姿勢を正して、程よく力を抜いて立ってくださいね」 カミリアは言われたとおり、背筋を伸ばして肩の力を抜いた。ラプティスは丁寧にカミリアの身体を測定していく。いきなり抱きついてきたりキスをしてきたりしたので、あちこち身体を触られるのではと懸念していたが、それは杞憂に終わった。「このサイズなら、これとこれと、あとこれかしら。そうそう、あとは……」 ラプティスは数着のドロワーズやネグリジェ、ワンピースなどを次々にピックアップしていく。それらを一通り集めると、テーブルの上に置いた。
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63話

「このあたりなら、ソニア様のお身体にピッタリなはずですわ。ドレスがどういったものが好みかしら?」「えっと……、ラプティスさんにお任せします」 カミリアにはドレスの知識が全く無い。どう答えていいのか分からず、彼女に任せると、ラプティスは目をきらきら輝かせ、カミリアの手を取った。「まぁ! 任せてくださるのですか!? ありがとうございます、ありがとうございます! ソニア様に世界1似合うドレスを作ってみせますわ!」 カミリアが返事をする前にラプティスはドレス達に駆け寄り、片っ端から取ってテーブルの上に置いた。「さぁ、世界1のドレスを作るためにも、色々試着してください!」「は、はい……」 ラプティスに圧倒され、カミリアはきせかえ人形と化してしまう。慣れない上に目まぐるしいはやさであれこれ着せられ、くたくたになるが、同時に楽しんでもいる。今まではドレスどころか、ワンピースでさえこんなに着たことはない。 最後にスカートを履いたのは、他の女の子達のようにお姫様が王子様と幸せになるおとぎ話に憧れていた、幼少期。あの頃の思い出が蘇ってくる。 友達と一緒に童話を読んだり、王族の暮らしを想像した日々。皆が王子様に憧れる中、カミリアだけは騎士への憧れが強く、彼女達に話を合わせるのが大変だった。寝る前に絵本を読んでは、強くてカッコいい騎士様が、自分を助けてくれるシーンを想像していた。 戦場で勇ましく剣を振り回すカミリアにも、確かに乙女時代が存在していた。「はぁ、本当に素敵……。どの色でも似合うから迷ってしまうわ。あぁ、どんどんアイディアが沸いてくる!」 ラプティスの声で我に返り、彼女を見ると、椅子に座ってデザインを描いていた。気づけば自分は真っ白なドレスを着ている。「すいません、ラプティスさん。もう着替えていいですか?」「え? えぇ、そうね。好きなドレスを好きなだけ着てちょうだい」 ラプティスはカミリアの話をほとんど聞いていないらしく、的はずれな返事をする。カミリアは呆れ返りながらも、元々着ていたシャツとズボンに着替える。
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64話

「あらやだ私ったら! どうして気づかなかったのかしら!? ソニア様、ズボンもお似合いですこと! そうだわ、レディースズボンも作りましょう! だとしたら……」 ラプティスが再び服を漁り始め、またきせかえ人形にされるのかとげんなりする。(団長、来てくれないかしら?) ラウルが自分を連れ戻しに来ることを祈ると、誰かがドアをノックした。ラプティスは不機嫌そうな顔で大股で歩き、乱雑にドアを開けた。そこにいたのは、カミリアが望んだ人。「公爵様、まだ途中でしてよ」「それは悪いね。けど、彼女を休ませてあげたいんだ。仕事が早い君のことだ、最低限の衣類は揃っただろ?」「それは、そうですが……」 ラプティスがうつむいて口をもごもごさせると、ラウルは部屋に入ってカミリアの肩を抱き寄せる。「愛しい人、長旅で疲れただろう? お風呂でゆっくりするといい」 本気で言っているわけではないと分かっていても、甘い言葉を囁かれると胸が高鳴ってしまう。安上がりな自分に嫌気が差す。カミリアはなんとか無表情を作り、部屋を出ていく。ドアを閉める前に、ラウルはラプティスに振り返る。「ここにルナを寄越すから、彼女にソニアの服を運ばせてほしい。それと、ルナが仕事着がほつれてきたと言っていたので、気が向いたら話を聞いてあげて」 ラウルの言葉を聞き、死にそうな顔をしていたラプティスの目に、光が宿る。「えぇ、えぇ! 立派なメイド服を作って差し上げますわ!」 言うやいなや、ラプティスは生地の見本をカバンから引っ張り出した。ラウルはそんな彼女を見て苦笑をすると、今度こそドアを閉め、カミリアを浴室へエスコートした。 浴室に入ると3人の女性がいて、名前だけの自己紹介をするとカミリアの服を脱がせていった。「ちょっと!」「おとなしくしてください、ソニア様。ちゃんと浄めて差し上げますから」 これが彼女達の仕事なのだろうが、人に裸を見られるのがいい気がしない。何より恥ずかしい。
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65話

 いくらカミリアが自分で洗うと言っても、彼女達はカミリアの話を聞こうともしない。泡立てたスポンジで、カミリアの身体を洗っていく。「まぁ、なんて綺麗なブロンドなんでしょう。きっと夜でもすぐに見つけられるわ」「大きくて形のいい胸ね。きっと男が放っておかないわ」「色白だけど、ところどころ傷が目立つわ。終わったらとっておきのお薬を塗りましょうね」 彼女達はとてもおしゃべりで、カミリアの身体について無遠慮に感想を言う。なんとも言えない羞恥と居心地の悪さに天井を見上げ、はやく終わることを祈った。 湯浴みが終わると、彼女達はカミリアの髪や身体を拭き、少し青臭いクリームを全身に塗っていく。「そのクリームは?」「これはどんな傷にも効くとっておきのお薬。古い傷跡も、これで目立たなくなるわ」「ちょっとにおうけど、すぐに気にならなくなるはずよ」 彼女達は簡潔に説明をすると、カミリアにドロワーズを穿かせ、ネグリジェを着せた。カミリアは自分で着ると言ったが、やはり彼女達は聞く耳を持たない。 夜着を着終えると、今度は髪を念入りに拭かれ、オイルを塗って櫛で何度も丁寧に梳かされる。そんなに丹念にやる必要はないと思いながらも、心地よさにウトウトしてしまう。 髪の手入れが終わると、ラウルが迎えに来てくれた。「よく似合ってるよ、可愛い。お腹が空いてるだろう? 僕の部屋で夕食にしよう」 ラウルに連れられ彼の部屋に行くと、庶民的な食事が並んでいる。てっきり大量のフォークとナイフが並んだ、豪勢な食事が出ると思っていただけに、拍子抜けだ。それが顔に出ていたのか、ラウルが隣でクスクス笑う。「意外と質素だって思ったでしょ?」「いえ、そういうわけでは……」「また敬語。流石にいきなり豪勢な食事が出ると驚くと思って、普通の食事を頼んだんだ。今日ばかりはテーブルマナーとか気にしないで食べて」 ラウルは椅子を引いてカミリアを座らせると、向かいの席に座った。ラウルに聞きたいことがあるのに、空腹で忘れてしまった。
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66話

「いただきます」 手を合わせてから食事を始める。見た目はどれもカミリアが知っている料理だが、どの料理も今まで食べたことがないくらい美味しい。「口に合うといいんだけど」「とっても美味しいです」「よかった。おかわりもあるから、好きなだけ食べてね」 おかわりもあると言うラウルだが、テーブルの上に並ぶ料理は、正直ひとりで食べきれるかどうか、微妙な量だ。少なくとも、おかわりをすることはないだろう。 実際に料理は全部食べたが、食べすぎたようでおなかが少し苦しい。 食事が終わると、ふたりはソファに並んで座る。こうして隣同士で座ると、本当に恋人みたいでこそばゆい。ラウルの提案で、紅茶を飲みながら話をすることになった。「来て間もないけど、この屋敷や使用人はどうだい? やっていけそう?」「驚くこともあるけど、皆いい人ね。けど、身体は自分で洗いたいの。人に洗ってもらうだけでも恥ずかしいのに、体型のことを言われるのは、ちょっと……」「あぁ、彼女達はおしゃべりだからね。分かった、彼女達に言っておこう。けど、髪の手入れはしてもらって。せっかくの綺麗な髪なんだから」 ラウルはカミリアの髪を1房手に取ると、そっとキスをする。突然のことにドギマギして目を逸らす。頬が熱い。 どうにか誤魔化せないかと、必死に頭を回す。「そういえば、私は偽名を名乗らないといけないの?」「あぁ、勝手に決めちゃってごめんね。やっぱり本名で動くのはよくないと思って」「あなたは本名で騎士団に来たのに?」 カミリアの言葉に、ラウルは苦笑する。この質問で少しは焦るんじゃないかと思っていたが、彼は全く動揺せず、少し残念に思う。「偽名を使う気はなかったんだ。フラッと入ってフラッといなくなるつもりだったからね。サウラのせいで騎士団長になったのは、本当に想定外だった」「わざと負ければ、お望みどおりフラッといなくなれたのに」「そんなことをしたら、君は怒るだろう?」 ラウルの言うとおりだった。少しとはいえ、彼の実力を目の当たりにしているカミリアは、未だに自分との試合は手を抜かれたと思い込んでいる。
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67話

「けど、フラッといなくなるのなら、私に怒られたっていいじゃない」「君に嫌われたくなかったんだよ」 まっすぐ見つめられ、言葉に詰まる。上気する体温を誤魔化そうと、ぬるくなった紅茶を飲むも、効果はない。「そういうこと、色んな女性に言ってきたんでしょう?」「僕は君だけだよ」 茶化そうとするも失敗に終わり、甘い空気が色濃くなる。どう切り抜けようか必死に考えていると、ラウルは小さく笑う。「そろそろ君を部屋に案内しようか。慣れない環境で疲れただろう? 少しはやいけど、ゆっくり休むといい」 ラウルは立ち上がると、カミリアに手を差し伸べる。振り払うのも失礼だと思い、ラウルの手を借りて立ち上がる。自分より少し高い体温に、お姫様抱っこされた日のことを思い出してしまう。 ラウルの部屋を出ると、彼は左隣の部屋の前で止まった。「ここが君の部屋だよ。気に入ってくれるといいのだけど」 そう前置きをすると、ラウルはドアを開けた。部屋の中に入り、カミリアは言葉を失う。 広々とした部屋は、カミリアが過ごしていた団長室の倍以上ある。大きな窓には品のいい青色のカーテンが。床には踏み心地のいい、紺色のカーペットが敷かれている。壁紙も薄い水色で、涼し気な部屋だ。クリーム色の調度品のおかげで、寒色系でまとめられているのに、冷たい印象はない。 大きな鏡がある化粧台やクローゼットなどがあるが、カミリアが惹かれたのは、一面の壁を覆う本棚だ。その中には軍学書はもちろんのこと、様々な本が並んでいる。中でも目についたのは、子供向けの童話本。大人向けの本がぎっしり詰まった本棚で、そこだけが異質で柔らかな雰囲気を放っていた。「何故童話が?」「軍学書とかもいいけど、こういう本を読むのも息抜きになると思って。他にも、恋愛小説とか、推理小説とか色々揃えてあるよ。気に入ったものはシャムスに持ち帰ってもいいからね」「え?」 驚いて振り返ると、ラウルはイタズラっぽく笑っている。その笑みを見て、あまりにも馬鹿馬鹿しく、あり得ない結論にたどり着く。
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68話

「本だけじゃない。この部屋にあるものは全部、気に入ったら持っていくといい。全部、君のために揃えたんだからね」 カミリアが出した馬鹿馬鹿しい結論を、ラウルは軽々と口にする。もっとも、カミリアが出した結論は本すべてであって、部屋のもの全てではなかったが。「無駄遣いよ」「そんなことない。これは大事な任務だから、これくらいのお礼はしないと」 ラウルはカミリアに喜んでもらいたいという純粋な気持ちしかないのだろうが、カミリアにとっては更にプレッシャーがかかるだけだ。 本を揃えるだけでもかなりの額だっただろう。下手をすれば化粧台やクローゼットも、カミリアのために用意された可能性が出てきた。そう考えただけでめまいがする。「ねぇ、その化粧台とか、クローゼットとか、テーブルセットも、私のためだなんて言わないでしょうね?」「家具や調度品は、元々この部屋にあったものさ。本と化粧品と服くらいだよ。それじゃあ、おやすみ。ゆっくり休んでね」 ラウルはカミリアの額にキスを落とすと、部屋から出ていった。彼の足音が聞こえなくなると、カミリアはその場に座り込み、顔を覆った。 ラウルの言葉や仕草のひとつひとつが、カミリアの心を揺さぶる。それだけでも精一杯なのに、これだけ目に見えるものを自分のために用意されると、どうしていいのか分からなくなる。 ひとりの騎士としてそれだけ期待をされていると思えればまだ頑張れた。だが、ひとりの女性として自分を扱うラウルが、期待に応えようとするカミリアの邪魔をする。「大丈夫、彼にその気はない。どうせ色んな人に言い寄ってるんだから」 ラウルが団長になった翌日の朝のことを思い出す。彼は多くの人に囲まれていたが、特に女性が多く、彼女達はラウルにご執心だった。きっと彼女達にも優しい笑顔と甘い言葉を振り撒いていたのだろう。そう考えると気持ちが落ち着いてきた。それと同時に、胸がチクリと痛む。「どうして私がこんな気持ちにならなきゃいけないの……」 妙な自己嫌悪に陥りそうになり、深呼吸をしてベッドに座る。サイドテーブルに水差しがおいてあるのに気づき、グラス半分の水を飲んでから横になる。 ふかふかの羽毛布団はカミリアを優しく包み、夢の中へ誘ってくれた。
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69話

 翌朝、カミリアは目を覚ますとクローゼットを開けた。中には昨日ラプティスに選んでもらった服が並んでいる。その中から1番シンプルな水色のワンピースを着ると、化粧台の前に座って髪を梳かした。 ちょうどラウルにキスをされた髪に触れ、あの時のことを思い出して顔が熱くなる。あんなにラウルを毛嫌いしていたのに、いつの間にか彼の言葉や仕草に動揺してしまう自分にうんざりする。 髪を梳かし終えたところで、誰かがドアをノックする。「おはようございます、ソニア様。ルナです、お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」「えぇ、どうぞ」 入室を許可すると、ルナは品のいい中年女性を連れて入ってきた。背はルナより少し高い程度で、白髪混じりの長い髪をひとまとめにしている。優しさと聡明さが滲み出る深緑の瞳は、見ているだけで心が和む。「お初にお目にかかります、ソニア様。貴女様の教育係を任されたサージュと申します。どうぞ、よろしくお願いします」 サージュはお腹の前で手を揃え、綺麗なお辞儀をした。カミリアは椅子から立ち上がると、サージュの前まで来て自己紹介をし、一礼する。「ソニアです。よろしくお願いします、サージュさん」 目が合うと、サージュはにっこり微笑む。「朝食の準備が整っております。さぁ、参りましょう」 食堂の場所を把握していないカミリアは、ふたりの案内で食堂へ行く。広々とした食堂はやはり青を基調としており、長いテーブルも青いテーブルクロスが敷かれている。屋敷の雰囲気から、青や紺色が国色なのだろうと考える。(ここが特殊なのか、フェガリがそうなのか、どっちかしら? シャムスの貴族も、赤やオレンジのテーブルクロスを使っているのかしら?) ふと、シャムス人の派手好きを思い出す。壁紙まで赤やオレンジにすることがある彼らなら、テーブルクロスも派手な色にしてもおかしくない。 カミリアはシャムス人だが、どちらか選べと言われたら、フェガリの食卓を選ぶだろう。
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70話

 カミリアは長テーブルの誕生日席に座らされる。向かいの誕生日席にも料理が並べられていることから、そこにラウルが座るのだろう。(こんなに離れた席で食べるなんて、変なの) 率直な感想を心の中で呟くと、ラウルが入ってきて向かいに座った。「おはよう、ソニア。よく眠れたかい?」「はい、おかげ様で」「それはよかった。それじゃあ、食べようか」 そう言ってラウルはナプキンを膝の上に敷いた。カミリアも見様見真似でナプキンを広げるが……。「ソニア様、ナプキンは広げきった状態で置くのではなく、2つ折りにして、折り目を手前にして置くんですよ」 すかさずサージュが注意する。カミリアは素直に返事をして言われたとおりにした。この後もサージュはずっと注意をし続け、カミリアは食べた気がしなかった。たくさん並んであるフォークとナイフは外側から使えやら、音を立てるなやら、ひとつの動作をするたびに注意されたため、朝食だけで疲れてしまった。 チラリとラウルを盗み見ると、彼は優雅な所作で朝食を食べていた。 朝食を終えて自室に戻ると、ソファに座ってお腹をさする。昨日の夕食はあんなにお腹いっぱいになったというのに、先程の朝食は食べ方に気を使うあまり、料理の味を楽しむ余裕がなかった。そのせいか、少し物足りなく感じる。「こんな日々が続くなんて……」 想像するだけでげんなりする。ごはんと食べるたびにあんなに注意をされたのでは、たまったものではない。何時からからかは分からないが、サージュがこの部屋に来て一緒に勉強をしないといけないと思うだけで、気が塞ぎ込んでいく。サージュは悪い人ではないのだろうが、先程の朝食のことを考えると、どうしてもいい印象を抱けない。「せめて剣を握る時間があればいいんだけど……」 壁際に立て掛けてあるレイピアとサーベルを横目で見る。色々なことがありすぎて、鍛錬時間の交渉をするのを忘れていたことを後悔する。今からでもラウルに交渉できないかと考えていると、ドアがノックされる。 もうサージュが来てしまったのかと、ため息をつきたくなるのをグッと堪え、返事をする。
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