「ソニア、今大丈夫?」 それはラウルの声だった。カミリアは安堵しながらドアを開ける。「さっきはお疲れ様。1日の流れについて話していなかったと思ってね」 ラウルはソファに座ると、カミリアに隣に座るように促した。カミリアが座ったのを確認すると、ラウルはコートのポケットから紙を出して広げた。「まず、朝食。その後は2時間だけ鍛錬をする」「本当に!?」 鍛錬という言葉に、カミリアは目を輝かせる2時間は少ないが、覚えなくてはいけないことが山ほどある。贅沢は言ってられない。「嬉しそうだね」「ちょうどさっき、ラウルに鍛錬の時間を作ってもらえるように交渉しようと思ってたところだったの」「はははっ、君らしいね。ちなみに鍛錬だけど、ナイフの使い方を覚えてもらおうと思ってるんだ」「ナイフを?」「そう。会場にレイピアやサーベルは持ち運べないからね」 理由を聞いて納得する。長剣を持った淑女など聞いたことがない。もし仮に居たとしても、殿方は避けるだろう。ナイフならドレスの中に仕込んでも見つかることはほとんどない。「納得した?」「えぇ」「じゃあ早速始めようか。他の予定はここに書いてある。できるだけ早く身体を動かしたいだろう?」 ラウルは予定表を折りたたむと、テーブルの上に置いて立ち上がる。心なしか、ラウルも生き生きしているように見えた。身体を動かしたいのは自分だけではないと知り、嬉しくなる。「僕は部屋の外で待ってるから、動きやすい服に着替えておいで」 そう言ってラウルは部屋から出ていった。カミリアは持参したシャツとズボンに着替えると、髪をひとつにまとめて部屋を出る。ラウルは壁に寄りかかって待っていた。「随分早いね。そんなに楽しみだった?」「えぇ、勿論」 カミリアが即答すると、ラウルは柔らかな笑みを浮かべる。カミリアは今の振る舞いは淑女らしくなかったと反省するも、早く身体を動かしたくて仕方なかった。
Last Updated : 2026-02-02 Read more