Lahat ng Kabanata ng 氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜: Kabanata 51 - Kabanata 60

179 Kabanata

51話

 身支度を整えると、急いで登城する。中にはいると年配の使用人が恭しく一礼する。「お待ちしておりました、ケリー副団長様。サウラ王子はこちらです」 使用人はカミリアを客間の前に連れて行くと、ドアをノックした。「サウラ王子、ケリー副団長をお連れしました」「あぁ、さっそく入れてくれ」 使用人がドアを開くと、カミリアは中に入った。客間は白と水色を基調とした調度品が置かれており、シンプルだが高級感のある部屋だ。 国章が太陽だからか、シャムス人は派手好きが多く、赤や黄色、オレンジなど情熱的な色でまとめることが多い。大抵の人は小物や家具をいくつか派手な色にするが、壁紙やカーテンまで赤や黄色にする人もいる。カミリアの親戚にもそういう人がいたが、目がチカチカして落ち着かない。 どちらかと言えば、この客室のような落ち着いた色合いのほうが好みだ。「大変お待たせいたしました」「そんなに待っていない。討伐任務、ご苦労だったな。長話になるから、そこに座ってくれ」 サウラは向かいのソファをカミリアにすすめると、ドアの前に立っていた使用人に目配せをする。使用人はカミリアに紅茶を淹れると、客間から出ていった。「さっそく本題に入ろう。カミリアにしかできない極秘任務を頼みたい。今から言うことは、他言無用だ。いいな?」「はい」 極秘任務という言葉に、自然と背筋が伸びる。今まで危険な任務をいくつもこなしてきたが、サウラ直令の任務はこれが初めてだ。「1ヶ月後に、シャムスとフェガリの交友パーティが1週間行われる。場所はフェガリの城だ。一応表向きでは同盟国にはなったが、互いの差別が未だに拭えていなくてな。国民の見本となれるよう、我々王族や貴族が対等な関係を築こうということだ」「それは素晴らしいことですね」 偏見と差別のシャムスに、1筋の光が見えた気がした。サウラなら、おかしな風習や差別をなくしてくれる。そんな希望を再び抱き、胸が熱くなる。
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52話

「一国民でもあるカミリアにそう言ってもらえるのは嬉しいな。実は数年前から親しくしているフェガリ人の貴族がいてな。マルティネス公爵といって、フェガリの時期国王最有力候補でもある。カミリアには、彼の護衛を頼みたい」「護衛は引き受けますが、公爵が時期国王というのは、どういうことですか?」「フェガリは世襲制ではないからな。俺が知ってる範囲だが、フェガリの話をしよう」 サウラはそう前置きをすると、フェガリについて話し始めた。 フェガリでは月には聖なる力が宿ると言われており、人々は月光浴を楽しんだり、月光浴をさせた石をお守りにしている。変わった風習といえばそれくらいで、男女や髪色などの差別はない。月や夜を尊重しているからといって、太陽を疎ましく思うこともない。 王族や貴族は出生で決まるものではなく、実力で決めるという。 どんな仕事でも給料はある程度の余裕がある生活ができる額で、貧困層はほとんどいない。さらに義務教育というものがあり、全ての子供達は学校に通っている。向上心がある優秀な子供は、更に難易度の高い勉強をするための特別学校がある。逆に、勉強についていけない子供のための学校もあるという。 それらの制度のおかげで、効率よく実力者を見極めることができる。そして彼らを貴族にすることで、より多くの人が幸せになる政治が行われる。実際、フェガリの政治や貿易は最先端と言われ、フェガリのやり方を参考にしている国が増えている。 サウラの口から語られたフェガリの国政に、感動で胸が打ち震えた。そしてフェガリと交友関係を結ぶことで、シャムスの貴族も、国民の暮らしについて考えるようになればと願った。貴族=政治家なのはシャムスも同じだが、彼らは国民から税金を搾取することしか考えていない。騎士団に身を起き、免税どころか国民の税金で暮らしている自分が言うのもおかしな話だが、シャムスの政治は明らかに間違っていると、常々思っていた。「フェガリは簡単に言えば、実力主義だ。だからこそ、ライバルを消そうという動きが活発らしい……」「なるほど、それでマルティネス公爵の護衛を……。ですが、何故私なのですか? フェガリに騎士団や自警団はいないのですか?」
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53話

 サウラの話を聞く限り、確かにマルティネス公爵には護衛が必要だが、シャムス人であるカミリアが任命される理由が分からない。第一、フェガリの騎士団が面白くないだろう。「さっきも言ったように、フェガリの政治や貿易は進んでいるが、その代わり、武力が心許なくてな……。治安がいい上に凶暴な魔物もほとんどいないから、実戦経験がほぼないそうだ」「事情は分かりましたが、ラウル団長でなくていいのですか?」「あぁ、彼には違う任務を前から頼んでいる」 ふと、ラウルの姿を見ない日が増えてきたことを思い出す。実力を認めているとはいえ、ラウルの方が先にサウラの直令で動いているのが、少し悔しい。「最近団長の姿を見ないのは、そういうことでしたか」「あぁ、そうだ。そのうち合流してもらう。騎士団にもな」「どういうことです?」「交友の証として、シャムスの騎士団で交友パーティの警護をしてもらう」 カミリアの頭の中が疑問符でいっぱいになる。極秘任務というから、てっきり自分だけがフェガリに行くのかと思っていた。任務内容は違うとはいえ、彼らと顔を合わせるというのに何が極秘なのだろう。 自分の任務がどう極秘なのか聞こうとしたところで、ドアがノックされる。「サウラ王子、マルティネス公爵様がお見えになりました」「ちょうどいいところに来たな。入れてくれ」 カミリアは予想より早くマルティネス公爵と顔を合わせることに困惑しながらも、姿勢を直した。 ゆっくりどドアが開かれ、ひとりの青年が入ってくる。金の刺繍が入った紺色のコートとトラウザーズに身を包む美青年を見て、カミリアは驚きのあまり言葉を失う。「やぁ、カミリア。3日ぶりだね、寂しかった?」 ラウルは柔らかな笑みを浮かべ、片手を上げた。「ラ、ラウル団長……。これは、いったい……」「あははっ、驚いた?」 ようやく口を開いたカミリアに、ラウルはイタズラっ子のような笑みを向ける。それを見ていたサウラは、呆れ返ったようにため息をついた。「ラウル、お前本当に何も話していなかったんだな」「当たり前だろう? 話したら、皆遠慮するじゃないか。それより、任務についてはちゃんと話してくれた?」「まだお前の護衛をしてもらうことしか言ってない。後は自分で説明しろ」 サウラはめんどくさそうに言うと、冷めた紅茶を飲み干した。
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54話

「まったく、本当に面倒くさがりなんだから……」  ラウルはやれやれと肩をすくめると、サウラの隣に座った。 「カミリア、僕の恋人になってくれるかい?」 「はいっ!?」  突拍子もない告白にカミリアは素っ頓狂な声を出し、サウラは吹き出した。 「ラウル、ちゃんと説明してやれよ」 「恋人になって欲しいのは本当なんだけどなぁ」 「はいはい、そういうのはふたりきりの時にしろ」  サウラが適当に流すと、ラウルは不満げに彼の顔を見てから、カミリアに向き直る。 「僕の恋人のフリをしながら護衛をしてほしいんだ」 「何故、恋人のフリを?」 「地位目当ての女性避けっていうのもあるんだけど、鎧を着たままだと悪目立ちするからね。それに、恋人なら、ずっと一緒にいてもおかしくない」 「理にかなってはいますが……」  カミリアはラウルから目をそらす。理にかなってはいるが、納得はしていない。貴族のパーティについて詳しいことは知らないが、使用人ではダメなのだろうか? 何より、理由は自分でも分からないが、女性避けに使われるのが嫌だった。 「本当は、君と一緒にいたいからっていう理由なんだけどね」  そう言ってウインクをするラウルを、サウラが小突く。 「うちの優秀な騎士を誑かすな」 「誑かすだなんて人聞きの悪いこと言わないでよ。僕は本当のことを言ってるだけだ。君も素直にならないと……」 「余計なお世話だ」 (兄弟みたい……)  言い合いを始めるふたりに少し戸惑うも、和やかな気持ちになる。カミリアの視線に気づいたのか、サウラは咳払いをして座り直す。ラウルは横目でサウラを見ながら笑うと、カミリアに向き直った。 「で、どうかな? 僕の護衛、してくれる?」 「はい、もちろんです」 「あぁ、よかった。それじゃ、馬車で待ってるから最低限の荷物をまとめておいで」  そう言って客間から出ていこうとするラウルを、カミリアは慌てて呼び止めた。「どうしたの?」 「もしかして私、今からフェガリに連れて行かれるのですか?」 「そうだよ」  当たり前だと言わんばかりに頷くラウルに、めまいがする。団長と副団長の同時不在、前触れもなく始まろうとしているフェガリでの生活。その他いくつもの問題が、カミリアにのしかかる。 「もしかして、騎士団が心配?」 「それもありますが、あまりにも唐突
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55話

 剣と数冊の軍学書を持ったカミリアは、城の前に停まっている立派な馬車を見つけた。紺色に塗装された美しい馬車は、派手好きのシャムスではお目にかかれないだろう。 馬車に近づくと、御者の男性が恭しく一礼し、ドアを開けてくれる。中に入ると、ラウルがにこやかに出迎えてくれた。「カミリア、こっちにおいで」 そう言ってラウルは、自分の隣を軽く叩いた。本当は向かいに座りたかったが、できるだけ仕方なく隣に座る。ドアが閉まり、馬車が走り出した。「屋敷まで少し時間がかかる。その間、ちょっと話をしようか」「その前に、どうしても言いたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」「うん、いいよ」 気持ちを落ち着かせようと小さく息を吐くと、身体ごとラウルに向けた。そして……。「存じ上げなかったとはいえ、公爵様に数々のご無礼を……」「そういうのやめてよ。僕のワガママでこういうことになってるんだから。だから、頭を上げて」 言葉を遮られ、頬に手を添えられて顔を上げさせられる。思ったよりも近くにあるラウルの顔に、不覚にもドキッとしてしまう。「ですが……」「カミリア、僕は特別扱いされるのが嫌だったから、身分を隠してたんだ。それに、君達と過ごした日々は、とても充実してた。だから、謝らないで」「は、はい……」 頬を染めて目を逸らすと、柔らかな笑い声が耳をくすぐる。「剣を握った時は誰よりも勇ましいのに、初心で可愛いね。けど、パーティまでに慣れてくれないと困るな」「善処しますから……その、離れてください」「寂しいなぁ」 心底残念そうな声が聞こえるのと同時に、体温が離れていくのを感じる。ラウルが座り直したのを気配で察すると、彼に顔を向けた。「公爵様、先程……」 唇に人差し指を添えられ、言葉が途切れる。ラウルを見ると、つまらなそうな顔をしていた。「その呼び方もやめようね。いいかい? 僕と君は恋人のフリをしなくちゃいけないんだ。それだけ初心だと、ぶっつけ本番は厳しいだろう? だから、今から恋人の振る舞いをしないといけない。いいね?」 叱るというより、拗ねた子供の様な口調に、笑いそうになるのをこらえる。
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56話

「具体的に、どうすればいいんですか?」「公爵様呼びと敬語禁止」「え、えっと……ラウル、さん……?」 ずっと敬語を使っていた相手、ましてや公爵を呼び捨てにするのは精神的に難しく、さん付けをして呼ぶも、プイッとそっぽを向かれてしまう。(子供みたい……。いったいどうすれば……) 改めてラウルを観察する。今は拗ねて子供じみた表情をしているが、カミリアより年上に見えた。年下なら君付けも試みるのだが、年上に君付けをするのは躊躇われる。『普通にラウルって呼んでくれると嬉しいな』『堅苦しいのは苦手でね』 ふと、団長の座を奪われた日に彼が言っていたことを思い出す。「ラウル、聞きたいことがあるの」「なんだい? カミリア」 ラウルは顔をこちらに向け、花が綻ぶような笑みを見せる。あまりにも分かりやすい変わりように、失笑する。「さっき、ワガママでこうなったって、言ってたけど、どういうこと?」 できるだけくだけた口調を意識しながら話をする。飾らない口調で話すのはハーディとお茶会をする時だけだったからか、意外と難しい。「あの日、本当は街の偵察をしてから、サウラのところに行く予定だったんだ。だけど途中で騎士が見回りをしているのを見かけてね。シャムスの騎士団が大陸1と言われてるのを思い出して、サウラに伝書鳩で報告してから、無理やり入団しに行ったんだよ。まさか本当に入団できるだなんて思ってもみなかったけどね」「なんというか、困った人ですね……」 あまりにもメチャクチャな話に、つい本音を零してしまう。するとラウルはムスッとして、カミリアをじぃーっと見つめた。「な、何か……?」「敬語」「あ……」 指摘され、敬語になっていたことにようやく気づく。「ごめんなさい、普通に話すの、慣れなくて……」「はやく慣れてね?」 笑顔で圧をかけてくるラウルに、カミリアは心の中でため息をついた。これから先、うっかり敬語を使うとそっぽを向かれるのかと思うと、それだけで疲れてしまう。
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57話

「話の続きだけど、僕を団長にさせたのはサウラと言っても過言ではないよ。どんな形でも、シャムスとフェガリの交友関係を築いてもらいたいって言ってたけど、たぶん口から出まかせだね」「じゃあ、違う目論見があったってこと?」 カミリアの質問に、ラウルは大きく頷く。サウラがどういう目論見で彼を団長にしたのか気になり、無意識に前のめりになり、目線がラウルの口元に行く。「まぁ、どんな目論見かなんて知らないんだけどね」 あっけらかんに言うラウルに、一気に気が抜ける。「それなら、意味深な雰囲気出さないで……」 つい敬語になりそうになるのを、途中で食い止める。不自然に思われていないかとラウルを見るも、どうやら彼は気にしていないようだ。「けど、あれも案外遊び心があるからね。面白そうだからって理由かもよ」「えぇ……」 まだ少ししか話していないというのに、カミリアはもうクタクタだ。これが1ヶ月続くと思うとうんざりする。そんなカミリアにお構いなしに、ラウルは言葉を続けた。「でもまぁ、無駄なことを嫌う奴だから、それだけではないのは確かだけど。話が変わるけど、君には1ヶ月で教養を身に着けてもらわないといけない」「どうしても……?」「うん、どうしても。僕の恋人なら、ある程度の教養がないと怪しまれるからね。大丈夫、簡単なところから覚えていけばいいし、優秀な教育係も用意するから」 ラウルは安心させようと微笑むが、カミリアの表情は曇ったままだ。「具体的に何を?」「うーん、そうだな……。まず、ダンスは必須だね。それからテーブルマナー、礼儀作法……。他に必要なものがあれば、教育係が教えてくれるよ」 お気楽なラウルに、先が思いやられる。舞踏会や会食の警備を何度かしたことがあるが、遠くから見ているだけでも社交の場は息が詰まる。特に笑顔を浮かべながら褒め合うも、違う人の前ではさっきまで褒めていた人の悪口を言って盛り上がるのは、見るに耐えない。それを自分もやらなければいけないと思うと、不安でいっぱいになる。
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58話

「不安そうな顔して、どうしたの?」「舞踏会の警備で、思ってもいない褒め言葉を言ったり、本人がいないところで悪口を見てきたから不安で……」「あぁ、サウラからも聞いたことがあるよ。彼ら、自分の財産を増やすことしか考えてないから、すぐにつまらない争いをするってね。フェガリではそういったことは少ないし、今回は交友関係を築くのが目当てだから、そういうことは少ないんじゃないかな。まぁ、シャムスの貴族次第だけど」 それを聞いて少しだけ安心するも、他にも不安がたくさんある。中には理由がよく分からないものもあってモヤモヤするが、気にしたところで仕方ないと自分に言い聞かせ、できるだけいい方向へ考えようと試みる。「ところで、フェガリのことはどれくらい知ってる?」 カミリアは最近まで敵対関係であったことや、サウラから聞いたことをかいつまんで話す。知っていることをすべて話すと、ラウルは困り顔で笑う。「サウラのヤツ、いいところしか言ってないんだな」「フェガリの悪いところって?」「サウラが言ったように、騎士団が弱い。ついでに自警団もいるけど、彼らはほとんど実戦を積んでいないから、いざというときに機能するかは怪しいところだ」 ラウルは言葉を切ると、チラリと窓の外に目をやる。カミリアもつられて見ると、農民が畑仕事をしていた。手伝いをしている少年が馬車に気づくと、両手を大きく振った。「実力主義者なのは、サウラから聞いたね?」「貧しくても、実力があれば貴族位なれるって聞いたわ」「そう、その通り。逆も然りでね。貴族や王族に生まれても、国民の役に立たないと判断されれば農民に降格させられる。身につけた知識を活かせないなら、労働で人々の生活を支えろって意味でね」 カミリアはフェガリの厳しさに驚くも、シャムスに取り入れてほしい制度だと思った。農民達が汗水たらして育った食材を食べながら、彼らからどう税金を巻き上げるか考えている貴族達に嫌気が差していた。この制度が導入されれば、どれだけの国民が救われるだろう。
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59話

「ついでに、囚人達も農業をしているんだよ。そのおかげで自給自足をしながらも、他国に輸出できる」「効率重視なのね」「そう聞こえる?」 ラウルはイタズラっぽく笑い、きっと他に理由があるのだろうと察する。カミリアなりに考えてみるが、答えは出ない。「他に何か理由が?」「あぁ、あるよ。ひとつめ、ひどい言い方だけど、穀潰しに食べさせるものはない。ふたつめ、フェガリの土は食物を育てるのに適している。これは有効活用すべき。そしてみっつめ。これが最大の理由なんだけど、作物や家畜を育てる大変さを学び、生きていくために本当に必要なのかを知ってほしい」「つまり、更生してほしいってこと?」「そういうこと」 カミリアは感嘆の息を吐いた。過ちを犯した者にも役割を与え、更生するチャンスがある。そんな素晴らしい世界を考えたこともなかった。「本当に素晴らしい国だと思う。シャムスは差別や偏見ばかりで、息苦しくて」「そう言ってもらえると嬉しいよ。けど、フェガリも差別や偏見がまったくないってわけではないよ。どんなに理想的な国でも、階級や容姿で差別をする人は一定数いるものだからね」「それでも、シャムス人の私から見たら理想の国よ」「そう言ってもらえると嬉しいよ」 はにかむラウルを見て、彼がいかにフェガリを愛しているのかが伝わってくる。1ヶ月程度とはいえ、フェガリで過ごせるのを嬉しく思う。気づけば不安は大幅に軽減されていた。「あぁ、そうだ。大事なことを決めないと」「大事なこと?」 ラウルが思い出したように呟き、カミリアは小首をかしげる。フェガリや任務内容など、大事なことはほとんど話した。他にどんな大事なことがあるのだろう?「カミリアの設定だよ。シャムス人の騎士を護衛につけていることは秘密だからね」「なるほど、確かにそれは大事なことね。その前に、ひとつ聞いていい?」「何かな?」「どうして私を護衛に? あなた、私の何倍も強いのに」 ラウルは一瞬目を見開き、いつもの穏やかな笑みを浮かべた。カミリアはどんな答えが出るのか、少しドキドキしながらラウルが答えるのを待つ。
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60話

「君がシャムス人だからだよ。交友パーティをするなんて言ってるけど、お互いに疑ってるからね。そんな中僕が襲われて、シャムス人である君が助けてくれたら、フェガリ人の中にあるシャムス人への疑念がマシになると思うんだ」 この理由にカミリアはがっかりしてしまう。パフォーマンスをして築き上げる信頼に、意味があるとは思えなかった。「まぁ、これは表向きの理由なんだけど」「え?」「僕が君のそばにいたいから」 澄んだ瞳でまっすぐ見つめられ、言葉を失う。あまりにもストレートな言葉と眼差しに他意は感じられず、返答に困る。「ふふ、君は本当に初心で可愛らしいね。さて、話を戻そう。君の設定だけど、田舎町の名家のご令嬢ということにしておこう。それなら多少たどたどしくても、怪しまれることはない。それから、そうだな……」 ラウルが顎に手を添えて考え込んでいると、馬車が停まった。窓の外を見ると、青い屋根が印象的な美しい屋敷が見える。庭には色とりどりの花が植えてあって、見ているだけで癒やされる。「素敵……」「今日からしばらくの間、ここで暮らすんだよ」 食い入るように屋敷や庭を見ていると、耳元で囁かれる。驚いて振り返ると、ラウルは優しい笑みを浮かべていた。「行こうか」 ラウルは先に馬車を降りると、降りようとしているカミリアに手を差し伸べる。「お手をどうぞ、お姫様」「……どうも」 歯の浮くようなセリフにむず痒さを覚えながらも、ラウルの手を借りて降りる。本来なら自分で普通に降りたかったが、今後のことを考えると、今から令嬢らしい振る舞いをしたほうがいいと思ってのことだ。 ラウルにエスコートされて屋敷に入ると、ひとりのメイドが出迎えてくれた。長い黒髪をふたつに結った小柄な女性で、小動物のように愛らしい顔をしている。「おかえりなさいませ、主様。ラプティスさんが部屋でお待ちです」「ありがとう、ルナ。紹介しよう。彼女はソニア。僕の婚約者だ」 恋人から婚約者にさせられた上に、違う名前で呼ばれて困惑するも、ラウルが目配せをしてきたので、話を合わせることにした。
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