どれほどの時間が過ぎただろうか。朗はようやく、自らの片足を失ったという現実を受け入れた。だが、足を失うこと以上に恐ろしい事態が、すでに彼を蝕んでいた。夜が訪れるたび、無残に殺された息子、飛び降り自殺を遂げた義父、そして「死んだ」はずの碧が、夢となって現れた。悪夢から覚めるたび、朗はまるで地獄を往復してきたかのような激しい疲労感に襲われた。それ以来、朗は昼夜を問わず目を閉じることができなくなった。まぶたを伏せれば、無念の死を遂げた者たちの形相が脳裏に焼き付き、決して離れなかった。やがて朗の身体はみるみる痩せ衰え、目の下にはどす黒い隈が浮かび、瞳からは生気が失われていった。その姿は、まるで魂を抜かれた操り人形のようだった。ついに、またしても悪夢に叩き起こされた夜のことだ。朗は耐えきれなくなり、悲鳴を上げながら病室を飛び出した。「俺が悪かった……本当に悪かったんだ!頼む……頼むから、もう俺につきまとわないでくれ!」まともに立つこともできず、彼は床に崩れ落ち、声を上げて泣きじゃくった。ほどなく駆けつけた医師たちに抱えられ、朗は病室へと運び戻される。そのとき、彼はようやく悟った。ここは、閉鎖病棟の精神科病院だったのだ。「出してくれ!ここから出せ!」狂ったように叫び続けたが、無駄だった。再び逃げ出すのを防ぐため、男たちは拘束帯で彼の身体をベッドに固く縛りつけた。「あああああ――っ!」朗は絶望の叫びを上げながら激しくもがいた。それを見た医師は容赦なく鎮静剤の針を彼の首筋に突き立てる。やがて朗は、力尽きたように静かになった。---綾小路家の別邸では、辰巳と碧が食事をしていた。傍らでは、ボディガードが朗の近況を報告している。「……なるほど、朗は狂ったか」辰巳はスープを一口啜り、落ち着き払った様子で口を開いた。「ええ、ほぼ間違いなくです」ボディガードが恭しく答える。辰巳は視線を碧に向けた。「次は、どうするつもりですか」碧はナプキンで口元を拭った。「……あの兄妹を会わせる時が来たわ」―――地下室の舞は、腹部だけが大きく張り出し、身体そのものは痛々しいほど痩せ細っていた。あの日以来、辰巳は一度も姿を見せていない。彼は舞を拷問にかけることもなく、それどころか
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