百五十八 ナベは就職先の新入社員研修に参加したが、仕事内容が面接時に聞いていた話とは違っていた。総合職と聞いていたのでいろいろな仕事をするのかと思っていたが、実際はトラックに乗ってレストランなどへ食材を届ける配送業のような仕事だった。勤務時間は朝六時から夜の七時すぎまで。出退勤は公共交通機関を使うつもりだったが、出勤時間に間に合わせるには自家用車を使うしかなかったので、父の車を借りることになった。 会社では出勤してからまずその日の配送先へ届ける食材をトラックに積み込む準備をする。配送トラックは六台あり、それぞれのトラックに先輩社員が割り当てられている。ナベはトラックの助手席に乗って先輩社員を手伝いながら仕事を学んでいた。 倉庫は常温・冷蔵・冷凍に分かれており、冷凍庫の気温はマイナス二十度だ。食材は段ボール箱に入っているが、卸先に合わせて段ボールから中身を取り出す。食用油は一缶二十キロ、業務用トマトのホール缶も一箱二十キロあった。先輩社員は油を一度に四缶、トマトの段ボールを三箱運んだりしていたが、ナベは油二缶、トマト二箱が限界だった。 午前八時ころまでに品出しが終わり、朝礼を受ける。それから午前九時ころまでにトラックに食材を詰め込み、午後五時すぎまで配送する。配送しなければならない食材は、配送先に人がいれば直接渡し、いなければ店舗前に食材と伝票を置くか鍵がかかっていなければ店舗内まで運ぶ。走らなければ配り終わらない量を詰め込んでいるので、基本的に階段も含めて走って移動する。会社には六時ころまでに戻り、洗車する。午後七時ころまで倉庫に届いた食材の段ボールを所定の位置にしまい、一日の仕事が終わる。 面接時に週休二日制という説明を受けていたが、働き始めてみると週休一日で、先輩に話を聞いてみると「休んでも仕事が回るなら休んでいい」ということらしく、実質的に週休一日が常態化していた。 毎日体力を使う仕事で夕食を食べ終わると起きていることが出来ない。会社と家を往復するだけの状態だった。勤務中、たまにトラックに乗らず社内に残って食材の受け取りと倉庫整理をする日があった。そんな時に同期入社の同僚と話す機会があり、仕事がきついから辞めようかという話をしていた。それからほどなくして、ナベがいつも
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