夫と愛人に地獄に突き落とされた私を救ってくれたのは「若」と呼ばれる裏の世界の人でした의 모든 챕터: 챕터 201 - 챕터 210

271 챕터

201話

深夜、1時過ぎ。 0時を少し超えたくらいまでは、子供達の笑い声がまだ聞こえていた。 だが、暫くしたら子供達の遊ぶ声も消え、既に眠ったのだろう、と言うのが分かる。 少し前まではまだ向かい側の部屋に電気が着いているのが見えたが、それも今はもう消えて暗くなっている。 「──もう、みんな眠ってしまったのね」 音羽は1人で過ごす別荘の中でぽつりと呟く。 リビングのテレビを付けているから静かではない。 だが、窓を締め切り、カーテンも締め切ってしまっていると広い空間に1人。 とても寂しく思えてしまって。 「蓮夜、大丈夫かな……」 音羽がぽつり、と呟いた瞬間。 外から車のエンジン音が聞こえてきた。 「──帰ってきた!?」 音羽が立ち上がり、パタパタと裏口に向かう。 すると、静かにドアを開ける音が聞こえ、歩いてくる足音が聞こえた。 電車ロックの解除音が聞こえ、扉を開けて入ってきたのは伏見で。 音羽は満面の笑みで伏見を出迎えた。 「蓮夜、お帰りなさい」 「──音羽?起きてくれてたのか?」 伏見は疲れたような様子だったが、音羽の顔を見るなり表情が明るくなる。 「ええ、蓮夜が帰ってくるの待ってたんです。大丈夫だった?お疲れ様」 「ありがとう」 ふ、と音羽が伏見の顔から下に視線を下ろした時。 伏見が着ている薄い水色のワイシャツに、赤黒い染みが付着しているのが見えた。 それは、血液にも見えて──。 それを目にした瞬間、音羽の顔は真っ青になる。 「れ、蓮夜……っ!怪我を……!?」 「──え?ああ、これは違う。俺の血じゃないから大丈夫だ」 慌てる音羽に、伏見はけろりと答える。 そして血を音羽に見せないようにワイシャツを手早く脱ぐと、くしゃくしゃに丸めてくず入れに捨ててしまった。 「ほ、本当ですか?本当にどこにも怪我をしていない?」 おろおろと伏見の顔を見上げる音羽に、伏見はイタズラを思いついたように口角をにんまりと上げた。 「ああ、そんなに気になるなら音羽が俺の体を隅々まで確認してくれ。どこにも怪我なないかって」 こう言ったら、音羽は真っ赤になって「馬鹿!」と言うだろうか。 そんな返答を予想していた伏見だったが、伏見の予想を音羽は裏切った。 「分かりました!怪我がないか、確認します!」 「──は?」 ◇ 場所は、浴室前
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202話

浴室に、音羽の甘ったるい嬌声が響く。 「やっ、やだぁ……っ!蓮夜っ」 「ほら……。俺に怪我がないか見てくれるんだろ?早くちゃんと確認して」 「な、ならっ、指動かさないでっ!」 ぐすぐす、と泣き声のような掠れた声が音羽から漏れる。 浴室に入ってから、伏見はまるで襲いかかるように音羽の体を貪っていた。 ボディーソープを手のひらで泡立て、音羽の全身を伏見の大きな手のひらが這い回り、至る所を刺激する。 胸や、足の間、背中や脇腹、太ももなど。 音羽の体に、伏見が触れていない場所など1つもないほどにたっぷり時間をかけて「洗われて」いた。 もう、何度伏見の指で、舌先で絶頂させられたか音羽には分からなかった。 伏見にしがみつく事に必死になり、伏見の傷など見る余裕なんて音羽にはない。 むしろ、音羽が伏見の背中に刻む爪痕の怪我の方が多いし、痛いのではないか──。 快楽にぼんやりとする頭でそんな事を考えた音羽に、伏見は意識を逸らすな、とばかりに突然自身を突き入れた。 どちゅん、と体を貫く衝撃に音羽の体はびくりと大きく跳ねた。 「──ぅあっ」 「……はっ、……しっかり掴まっていろ」 「やっ、待って蓮夜……っ、足が浮いてっ」 「しがみついてろ」 「──あっ!」 待って、と懇願する音羽の声など聞こえていないとばかりに伏見は律動を開始する。 普段より激しい腰使いに、音羽は自分が落ちてしまわないように必死に伏見にしがみついた。 いつもは音羽が辛くならないよう、達し過ぎて辛くならないように気を使う伏見だったが、今日の伏見の抱き方はとても荒く、激しい。 まるで昂る感情を全て音羽にぶつけるように腰を打ち付ける。 肌を打つ音と、耳を塞いでしまいたくなるほど酷い水音に、音羽は真っ赤になってしまった。 「──出すぞっ」 「──っ!」 声にならない声を上げ、喉を反らす音羽。 目の前に現れた音羽の真っ白な喉に、伏見はたまらず噛み付いた。 そのまま音羽の中に最後の一滴まで出し切るように、腟内に塗り込むようにぐりぐりと腰を押し付けられ、音羽は断続的に体を震わせ降りてこられない快感に涙を零した。 「──寝室に行く」 「えっ、あ……っ、待って蓮夜っ、もう……!」 達しすぎて息も絶え絶えとなった音羽。 もう無理だ、と必死に伏見に訴えるが、伏見の瞳はギラギラ
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203話

◇ 空が白んできた頃。 ようやく伏見の昂りも落ち着いたのか、音羽の隣にぽすり、と倒れ込んできた。 「悪い、無理をさせ過ぎたな……」 肩で息をし、息も絶え絶えな音羽を抱き寄せた伏見は頬に口付ける。 素肌の体同士で寄り添い、足を絡め合う。 キスのし過ぎでぽってりと赤くなった音羽の唇に伏見は軽くキスを落とすとゆっくりベッドから起き上がった。 「水を持ってくる。少し待っていてくれ。その後、誘拐犯について話す」 「……ん、ありがとうございます、蓮夜」 音羽の甘い声が伏見の背を追うようにかかる。 とろりと甘さを含んだ音羽の声に、伏見は再び腰が重くなったが手早くバスローブを羽織ると邪な感情を無視して寝室を出た。 音羽のためにキッチンの冷蔵庫から水を取り出して持ってきた伏見は、ベッドの上にシーツを手繰り寄せて起き上がっている音羽の隣に腰を下ろす。 ぎしり、とベッドが軋む音が静かな寝室に響いた。 「蓮夜、ありがとうございます……」 音羽が震える手で伏見から水を受け取ろうとしたが、震えているのを見た伏見は水が入ったペットボトルの蓋を開け、自分の口に含んだ。 「──え、んむっ」 伏見がペットボトルを煽った事に驚いた音羽だったが、すぐに口を塞がれ伏見から水を流し込まれる。 冷たい水が自分の喉を落ち、熱を持ってぼんやりとしていた思考が徐々にはっきりとしていくような気がした。 唇を離した伏見を無意識に追ってしまった音羽に、伏見は目を細め、笑う。 「まだ飲むか?」 「……ん、もっと」 「分かった」 小さく口を開けて待つ音羽が堪らなく可愛く、伏見はもう一度ペットボトルの中身を口に含むと音羽に唇を重ねる。 今度は水を飲ませた後、何度も唇を擦り合わせ、次第にキスを深くして行く。 薄っすらと開いた音羽の唇の隙間から伏見は舌を潜り込ませると、音羽の咥内を存分に舌先で堪能する。 舌を絡め、音羽の舌を自分の咥内に引き入れるとちゅう、と音を立てて吸った後、解放する。 「──はっ」 「音羽……」 音羽の頬にかかった髪の毛を指で避けてやりながら、指の甲で頬を撫でる。 すると音羽がすり、と頬を擦り寄せてきて。 伏見の腰は再びずくり、と重くなった。 「……あの誘拐犯、だがな」 「……んっ、ぅ……」 伏見はひょい、と音羽を自分の膝の上に抱き上げ、音羽が
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204話

法では捌けない──。 それを聞いた瞬間、音羽の頭の中は真っ白になる。 法で捌けないって、どうして。 「そ、その……誘拐犯が、証言したんですよね……?なら、警察にその事を伝えて……」 「……」 音羽の言葉に、伏見は困ったような表情になる。 そして、言いにくそうに口を開いた。 「悪い、音羽。俺たちの家業は警察とは相容れない。……報復するなら自分たちで、だ」 「──っ」 そうだ。 確かに、そうだった。 伏見の家は、世間一般的に言えば裏稼業。 色々と制限を受ける家業だ。 そんな家の人が警察に被害届を出せるはずも、警察と協力する事も、できやしない。 「だから、俺たちは独自に動いて、自分たちのやり方で相手に報復するしかないんだ」 伏見の言葉に、音羽はこくり、と喉を鳴らす。 「……裕衣が恭ちゃんに手を出した事、それは間違いないんですよね……?」 ぽつり、と零した音羽に伏見ははっきりと頷いた。 「ああ。それは間違いない」 「──なら、蓮夜達のやり方で、報復します。司法で裁けないのであれば、自分の手でやらないと……。そうしないと、裕衣はまた恭ちゃんを狙うかもしれない……」 「分かった。そうしよう。部下にもそう伝える」 「ありがとうございます、蓮夜」 音羽は自分を優しく見つめている伏見にぎゅっと抱きつく。 きっと今頃、恭は翔や光希と一緒に夢の中だろう。 友達と楽しく目一杯遊び、友達と一緒に眠る。 そんな経験を、今まで恭はした事があるだろうか。 初めて恭と会った時の事を思い出した音羽は、きっとないだろう、と独りごちる。 恐らく友人と遊ぶのも。 園外学習に両親が着いて来てくれた事だってない。 恭は、樹の子供でもあるのに──。 それを考えると、音羽の胸は酷く痛んだ。 「……蓮夜、裕衣への報復ってどうしたらいいですか?どうやったら、恭ちゃんが経験した恐怖や胸の痛みを、裕衣にも与えられますか……!」 「──音羽」 伏見は真っ直ぐ自分を見つめる音羽の目を見返し、そっと前髪を指先で払った。 目を逸らさず、音羽と視線を合わせたまま伏見ははっきりと答えた。 「そうだな……。俺たちのやり方での報復は──」 伏見は、自分達ならどうやるか。 それをゆっくりと音羽に伝えていった。 ◇ 翌日、朝。 「お母さん、お父さん!おはようご
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205話

園外学習で、大変な目に遭い、長時間警察に話を聞かれ、疲れたのだろう。 車に乗り込み、飯野が運転をし始めて少し。 恭はあっという間に眠ってしまった。 音羽と恭の手をしっかりと掴み、離すまいとぎゅっと握る寝姿は本当の親子のようで。 バックミラーでその様子を見た飯野は、恭が起きてしまわないように慎重に、安全運転を心がけた。 車を走らせ、数時間。 最初は起きていた音羽だったが、次第に音羽も車の心地良い揺れに眠気がやって来てしまった。 昨夜、明け方まで伏見と抱き合っていた事が寝不足の原因だろう。 音羽がこくり、こくりと船を漕ぎ始めると、伏見は恭をひょいと自分の膝に抱き上げると音羽を抱き寄せた。 「音羽。到着にはまだ時間がかかる。少し寝た方がいい」 「だけど、蓮夜……」 「恭は俺が見ておくから、少し眠った方がいい」 「ん……。ありがとうございます、蓮夜……」 素直に頷く音羽の頭を撫でつつ、伏見は恭をしっかりと抱き直す。 そして、飯野の心地良い運転に揺られて、伏見も目を閉じた。 「伏見様、伏見様」 「──っ」 体を揺さぶられる振動に、伏見ははっと目を覚ますと、腰に手を伸ばした。 腰に隠し持っている拳銃のヒヤリとした感触に、一瞬で頭の中が冴え、そのから手を離す。 「飯野さん……すみません、眠っていたんですね……」 「ええ、奥様もぐっすりと」 にこやかに飯野が答える。 彼は、運転席から出て後部座席のドアを開け、伏見を起こしてくれたようだった。 伏見はいつの間にか眠っていて、ドアに寄りかかっていたらしい。 外から飯野がドアを開けてくれた際に体が傾いたが、慌てて支えてくれたのだろうと言う事が分かる。 (しまったな……。こんな無防備に眠るなんて……) 音羽や組員以外の前でこんな風に無防備に眠った事など、伏見は今まで1度だって無かった。 それだけ、飯野を信用してしまっていると言う事なのだろうか、と伏見は頭を抱えたくなってしまった。 伏見は飯野に礼を告げ、腕の中で気持ちよさそうに眠る恭を優しく揺さぶった。 「恭、恭。お家に着いたよ」 「──ん」 伏見に優しく揺さぶられ、恭のまつ毛がふるりと震える。 「ん……お父さん?」 「──ああ、お父さんだよ、恭。……だけど、恭のお父さんでいられる魔法の時間が終わってしまったんだ」 「え
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206話

◇ 翌朝。 「──ん、んん……?」 音羽は小さく声を零しつつ目を覚ました。 ふと自分の体を見下ろすと、腹の前にがっしりとした逞しい腕が回されている。 慣れ親しんだ腕の感触と、背後から伝わる温かい体温。 呼吸に合わせて小さく上下する胸の感触も背中から伝わる。 背後の人物を確認しなくても分かる。 音羽は背後の人物──伏見を起こさないように気をつけながらゆっくりと寝返りを打った。 ころり、と伏見の腕の中で位置を変えた音羽の目の前に、すうすうと寝息を立てて熟睡している伏見の顔が現れる。 (──私、昨日はあのまま眠ってしまったのね……) きっと伏見が抱き上げてここまで連れて来てくれたのだろう。 その最中も目を覚まさず、深く眠り込んでいたなんて、と音羽は自分の頬を手で押さえる。 一晩中、伏見に抱かれていたのだ。 体力も限界だったし、眠気には抗えなかった。 運転をしてくれた飯野の運転も穏やかで、車の揺れに眠気を誘われたのだろう。 (起きて、朝食の準備をしなくちゃ) ごそごそ、と音羽は動き伏見の腕の中から逃れる。 普段は人の気配に敏感で、音羽が動くと伏見も目を覚ますのだが、今日は全く目を覚ます気配が無い。 (蓮夜も……疲れているわよね……) 誘拐犯を拘束し、話を聞き出したと言っていた。 伏見がどうやって話を聞き出したのかは音羽には分からないし、触れてもいない。 きっと、普通では考えられない手段で聞き出したのだろう、と予想はしている。 だが、恭のために伏見はそうしてくれたのだ。 (恭ちゃんと蓮夜は、血の繋がらない他人なのに……。だけど蓮夜は恭ちゃんの事を自分の息子のように思ってくれている。こんなに良くしてくれている……。私も、蓮夜のためになる事をしたい……。今私に出来る事は、家事くらいしかないけど……) せめて、栄養のある食事を。 美味しい食事を伏見に摂ってもらいたい。 そう考えた音羽は、ベッドから抜け出すと静かに着替えをし、キッチンへ向かった。 リビングにあるテレビを付け、音羽はキッチンで食事を作り始める。 「朝食は1日の始まりだから……ちゃんとしたご飯を食べてもらわないと」 音羽は冷蔵庫の中身を確認し、献立を頭の中で考える。 料理に集中していた音羽は、気が付かなかった。 リビングで付けていたテレビから、あるニュー
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207話

それから、小一時間。 音羽の料理が完成する頃に、寝室の扉が開いた。 「──音羽?」 「蓮夜、おはようございます」 「ああ……。良かった、起きたら音羽の姿が無いからびっくりした……」 「ふふっ、ごめんなさい。早く目が覚めちゃったから、ご飯の支度をしていたんです。顔を洗って来てください」 寝起きだからだろうか。 まだぼんやりとした目をしている伏見に近づいた音羽は、くすくす笑いながら伏見の寝癖を手櫛で整える。 伏見は音羽の仕草を見て寝癖があるのか、と恥ずかしがると「顔を洗ってくる」とそそくさとリビングを後にした。 「美味そうな匂いだ」 「──わっ、びっくりした……!」 伏見が洗面所に行き、音羽がキッチンに戻って料理の続きをしていると。 自分の両脇からにゅっと伏見の腕が伸びて、背後から抱きしめられた。 音羽は慌てて鍋の火を消し、持っていた包丁をまな板に置く。 「もう!びっくりさせないでください蓮夜……!包丁で蓮夜の事を刺しちゃったらどうするんですか!?」 振り返り、怒った表情でそう言う音羽に、伏見は楽しげに笑いながら言葉を返す。 「音羽になら刺されたって良い。俺に一生消えない痕を付けてくれよ」 「そ、そんな怖い事を言わないでください。怪我をしたら痛いでしょう?」 「痛みには慣れてるから大丈夫」 「も、もう──んぐっ」 音羽は怒って言葉を返そうとしたが、それよりも前に伏見が身を屈めて音羽にキスをする。 最初から深いキスをされ、音羽は自分の足から力が抜けてしまった。 だが、足の間にいつの間にか伏見の足が差し込まれていて、音羽はその場に座り込む事が出来ず、その隙に伏見に覆いかぶされ、逃げ場がなくなる。 「んっ、んん〜っ!」 自由に音羽の咥内を堪能する伏見の背中を音羽は必死になって叩くが、伏見は面白がってキスを激しくするだけ。 それに、足の間に差し込まれた伏見の膝が悪戯をしてきて、音羽の顔は真っ赤に茹で上がった。 (こっ、このままじゃあキッチンで……!) 鍋の火は止めたし、包丁もまな板の上に置いてはいるが危ない事には変わりない。 それに、朝からこんな事をしてしまったら、また体力をごっそりと奪われてしまう。 (れ、蓮夜の体力は無尽蔵なの……!?私はもうヘトヘトなのに……っ) キスをしながら、伏見の手はあっという間に音羽の
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208話

食事を用意し、席に座った2人はお互い「いただきます」と呟いて食事に手を伸ばした。 音羽の作った料理を、伏見はいつも美味しそうに食べてくれる。 今日も普段と同じように音羽の料理を「美味い」と伝え、ぺろりと平らげた。 身長も高く、体だって鍛えている伏見。 だから平均体型の一般男性よりは沢山食べるだろう、といつも音羽は食事を多めに作るのだが、いつもあっという間に音羽の料理を平らげてしまうので、足りているのか不安になる。 「蓮夜、ご飯の量は足りていますか?」 「ん?ああ、ちょうどいい量だ」 「それなら良かった……。もし、食事量で足りないとか、多いとかあったら教えてくださいね」 音羽はほっとして、柔らかく微笑みながら伏見に告げる。 すると伏見は軽く手を伸ばし、真向かいに座っている音羽の頬をするりと撫でた。 「ああ、いつもありがとうな音羽。音羽の作る料理はいつも美味いよ」 「ふふっ、そう言ってもらえて嬉しいです」 すりすり、と優しく頬を撫でる伏見の手のひらに音羽はそっと顔を寄せる。 目の前にいる伏見が、音羽の行動を見て嬉しそうに目を細めた。 「今日は、夕方に飯野さんが恭を家に連れて来ると言っていた。俺も夕方には帰るようにするから、音羽は家に居てくれ」 「恭ちゃんが家に?分かりました、家で待ってますね」 わくわくと瞳を輝かせる音羽に、伏見は頬杖を付きつつ、拗ねたように答える。 「心待ちにしているのは恭だけか?俺の帰りは心待ちにしてくれない?」 「そっ、そんな事ないです!蓮夜の帰りも楽しみに待ってますね」 「何だか俺が言わせたみたいだな」 伏見は堪らずに笑う。 すると、音羽もクスクスと肩を震わせて笑った。 「ごちそうさま。じゃあ、俺は仕事に行ってくる。音羽、今日は特に荷物の配達は無いからインターホンが鳴ったとしても出なくて良い」 「そうなんですか?分かりました」 「それと、今日は買い物にも出なくていい。悪いが、今日は俺が帰ってくるまで家に居てくれ」 「分かり、ました……」 何故、突然そんな事を言うのだろう──。 音羽が不思議そうな顔をすると、伏見は椅子から立ち上がり音羽の傍まで歩いて行く。 「……玉櫛 裕衣が恭を狙っただろう?それに、先日音羽の元夫が自宅の近くを彷徨いているのを見た。……部下に周辺は見張らせているが……。あ
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209話

「じゃあ、行ってくる。外には出ないでくれよ」 玄関。 伏見は、見送りに来た音羽を抱き寄せて軽く額に口付けると、音羽が頷いた事を見届けて家を出た。 扉が閉まり、伏見が乗り込んだ車が遠ざかって行く音が聞こえた。 音羽は玄関からリビングに戻ってくると、小さく息を吐き出してリビングを見回す。 「……蓮夜がいなくなっちゃうと、何だか一気に寂しく感じるわね」 広い家だからだろうか。 先程までは伏見が家にいたから、寂しさも怖さも何も感じなかった。 だが、しんと静まり返った室内と。 冷房が効いていて肌寒い空気が何だか音羽の背筋を震わせた。 「……蓮夜も仕事に行っちゃったし、冷房の温度を上げようかな」 音羽は敢えて明るい声を出しながらリモコンの場所へ小走りに駆けて行く。 ぴっ、と音を立ててエアコンの温度を上げると、音羽は家事をしてしまおうと寝室に向かった。 ◇ 「若」 「──神田か」 目的地に着いた伏見が車を降りると、1人の女性──神田 律子が近付き、話しかける。 律子は音羽が刑務所に入っていた時、同じ留置所に居た女性だ。 そして、音羽が出所した後、暫くの間律子の家に世話になっていた。 「どうした?」 「昨晩、処理したあいつですが……バックに例の組が……」 「何だと?」 律子の言葉に、伏見の眉間がぐっと寄る。 「どうします?あちらに接触しますか?あいつらはやり方が汚く、荒いです。もし、万が一音羽に近付こうとしたら……」 「──玉櫛 裕衣が、恭だけじゃなく音羽まで狙っていると思ってんのか?」 「その、可能性も……」 「まあ、ヒルのような女だからな。……2人を始末しようと考えていてもおかしくは無い」 「──なら!」 「だからこそ、家の周りには部下を配置している。音羽の周囲の守りは万全だ。恭に関しても……一応夫の子供だろう。自分の近くに居る時にわざわざ手を出さない」 だが、そうだな。 と伏見は呟く。 「万が一、音羽や恭に手を出したら……今度こそ当人を始末するしかない」 「……分かりました」 「ああ、そうだ神田。今後、俺が仕事で家を空ける時は神田が音羽の傍についてくれ」 「──あたしが、ですか?」 突然そんな事を言われ、律子は驚きに目を見開く。 驚く律子にあっさり頷いた伏見は言葉を続けた。 「ああ。玉櫛 裕衣がただ
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210話

◇ 一方、音羽。 音羽は家の掃除や洗濯をしていた。 広い家は、掃除をする所が沢山ある。 音羽はその時、お風呂場を掃除していた。 鏡を綺麗に拭き上げ、額に滲んだ汗を拭ったその時。 ──ピンポン 「──えっ?」 家のインターホンが鳴った。 「……蓮夜は、何も来ないから出なくていいって言ってたわよね……?」 呟きつつ、音羽はお風呂場から足音を立てないように出ると、玄関方面を見やる。 その間もインターホンは途切れずに鳴っており、その様子に些か不安を覚えた。 「……不在だったら、いつもはすぐに鳴り止むのに……」 まるで家にいるのは分かっている、と言うかのようにインターホンが鳴り続けている。 その音がどこか不気味に感じ、音羽はインターホンのモニターへ向かった。 「いったい、誰なの……?」 誰がインターホンを鳴らし続けているのか──。 モニターにその人物が映っているはず、と思い音羽はインターホンのモニターを確認する。 すると、そこには見慣れない男性2人組が映っていた。 宅配業者の感じでもない。 だが、伏見の家業のような感じでも、無い。 スーツをきっちりと着こなした中年の男性が2人。 その2人は、音羽が家の中にいるのを分かっているとでも言うようにずっとインターホンを鳴らし続けていた。 「ど、どうしよう……。蓮夜に、連絡をする?」 きっと伏見は仕事中だ。 それなのに、こんな事で連絡をしてもいいのだろうか、と音羽は迷った。 だが、スーツの2人組は家の前から動かず、帰るような素振りを見せない。
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