どれほどの時間が経ったのか分からない。悦子は骨の髄まで染みるような冷たさの中でようやく意識を取り戻した。必死にまぶたを開けると、視界はぼやけている。麻袋の中は蒸し暑く、血と汗の臭いが入り混じり、息が詰まりそうだ。歯を食いしばり、全身の力を振り絞って縛りを解き、やっとの思いで這い出した。倉庫の中はがらんとしていて、彼女ひとりしかいない。時男はもういない。詩織の姿も消えていた。ただ、彼女だけがここに取り残されている。悦子は咳き込み、喉の奥に鉄のような味が広がる。震える手でポケットを探り、両親に電話をかけて迎えに来てもらおうとした。藤原時男は狂っている。根元詩織も同じだ。晴美がこの数年間、どうやって生きてきたのか――想像することさえ恐ろしかった。だが、彼女がスマホを取り出したその瞬間、闇の中から人影が飛び出し、鋭い平手打ちが頬に炸裂した!パシン!スマホは宙を舞い、壁に激しくぶつかって地面に落ちた。悦子の頭が横へと揺さぶられ、口元から血が滲んだ。ゆっくりと顔を上げると、目の前には詩織が立っている。勝ち誇ったような冷たい笑みを浮かべている。「誰に電話するの?可哀想なふりをして」詩織は見下ろすように睨みつけ、嘲るように言った。悦子は何も言わず、ゆっくりと体を支えて壁にもたれ、荒く息をつく。彼女の沈黙を見て、詩織はさらに傲慢な笑みを浮かべた。歩み寄ると、悦子の顎を指でつかみ、無理やり顔を上げさせる。「もう声も出ないの?見てたでしょ、言った通り。たとえあなたの結婚式でも、私がメッセージを送っただけで、時男は駆けつけて来るのよ」彼女は悦子の耳元に顔を寄せ、声を押し殺して噛みしめるように言った。「少しでも自分の立場がわかってるなら、さっさと大人しく身を引いて、藤原夫人の座を譲りなさい」悦子は彼女をじっと見つめ、ふっと笑った。詩織は一瞬、呆然とした。反応する間もなく、悦子は自分を掴んでいたその手を掴み返し、思いきり詩織を外へ突き飛ばした。「きゃっ!」不意を突かれた詩織は、後ろの金属ラックに背中ごとぶつかり、鋭い角が腰に食い込んだ。あまりの痛みに体を丸めると、顔から血の気が一気に引いていった。「あ……あんた、私を突き飛ばしたなんて!?」彼女は信じられないというように悦子を睨みつけ、声を震
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