10.第十話 NG客 ある日、ジンギが入れられた卓は高齢者しかいないとんでもないスローペースの卓だった。 ジョブはレベル22の商人やらレベル15の魔法使いなど、いつも化け物のような奴らと打っているジンギとしては少しも面白くない。(今日はハズレだな)と思いながらジンギは適当に流した。いや、この卓もある意味では化け物みたいなものであるが。 ジンギはこんな卓で打つよりコテツとやりたいのだが、まあ、打ち子として手伝っているジンギに相手を選ぶ権利などないわけで。 しかしまあ、それにしても遅い。 特に遅いのが東京都で1番遅いのではないかとすら思える岡田道夫(おかだみちお)と、口から生まれたんではないかと言うくらい毎局話さないと気が済まない吉崎博(よしざきひろし)の2人だった。もう1人のお爺さんは別に普通なのだけど2人に影響されてか、あるいは疲れ切ってか(2人のせいで)いつもより倍遅くなっている。 でもまあ、これも仕事だと割り切ればとくに何も気にならなくなるもので、実際、ジンギは大丈夫だった。岡田があんな事さえ言わなければ。 オーラス。微差でトップ目に立っているのは吉崎。その中盤。難しい局面となったのか吉崎が考え込んだ。すると。「トップなんだからさっさと切りなよ! 止まってないで」と、あろうことか東京都一遅い疑惑のある岡田が言い放ったのだ。しかも、言う事もわけがわからない。トップ目だからこそ難しいのが麻雀なはずだが? これにはいくら吉崎でも反論する。「言っとくけどねえ、私でもあんたよりは早いんだから。あなたにそんなことを言われる筋合いはないよ」 ジンギもそれにはウンウンと深く頷き「その通り」と言わざるを得なかった。 それに対して謝るなんて絶対出来ないのが岡田という老人である。「何言ってんだ、おれはそんなに遅くないよ」と。自分のことをまるでわかっていない。 自分はA1リーグ所属のレジェンドプロたちともセットをやる間柄の打ち手であって遅いなんて有り得ない。と思い込んでいるようだが、彼の入っている卓は普通の卓の倍以上時間がかかっているというハッキリとした証拠がゲームシートに残っていた。そもそもA1リーグだろうがなんだろうが遅い奴はいる。(悲しいことに)「あのさ、みんなアンタのおっそい麻雀を我慢して付き合ってんだよ。人間誰しも完璧じゃないからさ。
Magbasa pa