Mag-log in北山銀次(通称ジンギ)は現代のねずみ小僧になりたかった。悪どく稼ぐ悪党どもに正義の鉄槌をと、悪党を騙す詐欺師になり、その命がけのスリルを楽しんでもいた。しかし、大物を騙すような詐欺師をやる上では組織活動が必要なためヤクザ連中に手を借りることに、そういうなかで自分は正義の極道になることを夢見たりもしたが、なってみて分かったことは極道に正義なんてなかったという当然の現実だった。 自分がここにいるのは違うと気づいたジンギは組抜け。 さて、次は何をするか、と行き当たりばったりの人生を送っていた。 そんな中、最近変な夢を見るようになった。夢の中で語りかける天使の声に従い雀荘の扉を開くと? 異次元麻雀闘牌劇!開幕
view moreようこそ、こちらは異次元への扉となります。
ひとつ予言しますと、あなたは今から『麻雀』という世界の深淵に足を踏み入れることになる。
それについて『大げさな、たかが麻雀の、しかもリアルじゃなくて小説でしょ』と思われることでしょう。しかしその考えは甘い。きんつばより甘い。
なぜなら、作者である私『彼方』は史上最強の麻雀戦術家。そのオリジナル戦術の数は267項目という化け物のごとき発想力の持ち主だから。
たった1人の人間が新戦術を267作り出したなんてどの業界でも聞いたことがないレベルです。その柔らかい思考の持ち主が小説を書いたんです。面白すぎてハマっていくに決まってるじゃないですか。
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もくじ
➖️メインストーリー➖️
第2部 麻雀烈士英雄伝
一章【ジンギ!】
二章【あなた好みに切ってください】
➖️サイドストーリー➖️
1.相合傘
➖️表紙イラスト➖️
しろねこ。
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さあ、期待を胸に『牌神話〜麻雀烈士英雄伝〜賛』を読み始めましょう!
他の牌神話(第1部)をまだ読んでない? 大丈夫です。順番が前後してもなにも問題ありません。どの順番で読んでも同じ感動を与えてくれるよう書きましたので。
ちなみに、この小説の読み方は
────
──
これは時間の経過です。2つなら少しの、3つなら大きな時間の経過になります。思考吹き出しのイメージですね。
──
────
これは時間の遡りです。
────
これはちょっとした区切りです。
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これは視点変更か大きな区切りです。
これを意識していれば視点混乱などしないで読めると思います。
では、最後に。本編に入る前に確認しますけど。あなたは麻雀に精通してますか? してる? では次に進んで下さい。でももし、まだわからない。よく知らない。まるで無知。という方は読めない漢字があるかもしれません。それをここでざっと書いておきましょう。
まず牌(はい)の名称です。
1〜9の数字があり、スートは3種です。スート……スートって何か言い換えられないかな。色、絵柄、いや種類……かな。まあ、種族というか。そんな感じ。
で読み方は
1=いー
2=りゃん
3=さん
4=すー
5=うー
6=ろー
7=ちー
8=ぱー
9=きゅー
これが基本。
種族の読み方は
萬=まん(わんとも言うが基本はまん)
筒=ぴん
索=そー
でもこれは略してて実際は萬子筒子索子(まんずぴんずそーず)と言うもの。
漢数字が萬子
数字に丸が囲ってあるのが筒子
全角数字が索子です。
つまり二とあればこれはりゃんまんを持ってるってことで⑤ならうーぴんを持ってるってこと。OK?
ここまでが数牌(すうはい)の説明。
で、他にも字牌(じはい)というのがありまして。
まず字牌の風牌(かぜはい)から。
東=とん
南=なん
西=しゃー
北=ぺー
で、もうひとつの字牌が三元牌(さんげんぱい)
白=はく
発=はつ
中=ちゅん
これが牌の読み方の全て。
続いてよく使われるのが『家』。これ単独では使わないけど西家とか起家とかね。これ、読み方は(いえ)じゃないんです。
麻雀の世界で家は(ちゃ)と読みます。つまり、西家なら(しゃーちゃ)。起家ならおきちゃ? いいえ、これは(ちーちゃ)と言ってこの人の親番からこのゲームは開始されたよという、最初に親番を担当した人を指す言葉。……よく考えたらあまり必要ない言葉だな。なんであるのかは不明。
あとは聴牌(てんぱい)とか
一向聴(いーしゃんてん)とか
和了(ほーら)とかかな。出てきそうな専門用語は
テンパイってのは完成まであと1つの状態を指すもので、イーシャンテンはそれのまた1つ前。さらに前だとリャンシャンテンとかサンシャンテンとか言うんだけどそのへんはイーシャンテンわかるならわかるよね。
ホーラってのはアガリのこと。完成ってことですね。
これくらいを覚えておけばあまりつまづく事なく読めると思うんです。もし分からないことがあったらいつでも私に質問して下さい。感想欄でもメールでも方法は何でもいいです。必ず分からない系のご質問には答えますので
長くなりましたが、それでは、元競技麻雀プロである著者が描く彼方流麻雀小説の世界をお楽しみ下さい――
51.二章 最終話 好みの切り その後も桐谷は萬屋や並木さん。新田や椎名といった一流や超一流の打ち手の後ろ見をして徐々に作品を作っていった。 彼らの麻雀は本当に面白かった。ある時は3面待ちになれるものをシャンポンに受けて狙い撃ちしたり、ある時はとんでもない遠距離から仕掛けてチンイツに仕上げたりと魔法のような麻雀だった。 彼らの麻雀を見てからというもの自分が麻雀をしてる時もただ漫然と打つのではなく彼らだったらと考えて、どうすれば彼らの麻雀に近いだろう。何を切ったら劇的展開になるだろうという事ばかりが頭に浮かぶようになった。 作品作りを頼まれて以来、家にいても仕事してばかりになった桐谷。「ススムくんまた仕事してるの? ずいぶん勤勉になったわねえ」「元からだよ。凝り性なのは生まれつきさ。ただそれが今まではギャンブルに凝ってただけ」「まあ、真面目に働いてくれて良かったわ」「今までは真面目にギャンブルしてたからなぁー」 そして月日は流れて……「できた! ビデオドラマ完成だ。記念すべき第1作目!」「タイトルは?」「『雀荘流浪物語』だ」「なんか、ちょっとそのタイトル男臭すぎじゃないですか? ラブコメ要素もある内容でしたよね」「じゃあどんなならいいんだよー」「えっ、分かんないけど。もっと平仮名を入れるとか?」「『雀荘るろう物語』とかか?」「あ、少し良くなった気がする!」「雀荘ってのがあまりな~。雀荘抜くか」「『るろう物語』じゃ何の話か分からんな」 あーでもない、こーでもない、あーだこーだ タイトルがイマイチ決まらず話し合いは延々と続いた。そして。「よし、もういい、各自の宿題にしよう。家でゆっくり考えることにして今日は解散!」──────後日「タイトル決めてきたかー?」 タイトルの発表会が始まった。 色々な案が出たがどうにもイマイチ。各々が考えたタイトルはどれも満場一致するような全員がピンと来るセンスのものは出なかった。そして桐谷が発表する番になった。「タイトルは『あなた好みに切ってください』略して『あな切り』です」「ほう、そのこころは?」「はい、この麻雀ドラマは毎回絶妙なバランスの手をクローズアップしてます。正着打の追求ではなくプレイヤーの個性が光る一打を取り上げて作ったそれがこのドラマの見どころなはずです。つまり
50.第三話 富士の萬屋 おれはアイデアを得る為に兎にも角にも雀荘へと行った。凄腕の麻雀を見ていれば何かひらめくかもしれない。 というわけで、今日は並木さんが働いているという雀荘『富士』に行ってみることにする。────「いらっしゃいませ!」 元気よく挨拶をしてきた人物はまだ若く見えるがこの店を仕切っているようだった。並木さんもいた。「お、いらっしゃい。久しぶりだね、桐谷さん」「並木さん、お久しぶりです。今日は麻雀を打つより後ろ見がしたいんですが……いいですか? もちろん、多少は打っていくつもりですけど、並木さんの麻雀が見たくて」 後ろ見は基本的に禁止している店がほとんどだ。断られても仕方ないが……どうだろう。 すると。「私と並木さんの間からなら見ても構いませんよ」と店主らしき男が許可をくれた。「あ、ありがとうございます」 場面はもう南入していた。店主と思われる男は持ち点が少なく、オリてはいられない場面。しかし、北家が役の見えない仕掛けをしていてテンパイ気配。そこに最も危険と思われる生牌の北を引かされてしまった。ドラは①。店主手牌 南家三三四四伍六④⑤34678 北ツモ(この手、北は押すのかな? かなりの確率で北がもう当たりな感じだけど、でも、オリててもジリ貧なだけ。どうする)打四(保留ね。北はさっさと切るもなにも、もうテンパイしてそうだもんね。テンパイしてから腹くくって勝負か)
49.第二話 脚本家「――というわけで昨日は朝まで麻雀観戦してたんだ」「朝までずっと? 見てるだけでそんなに楽しいの?」「見てるだけって言うけど、麻雀はむしろ見てる側の方が楽しいこともあるんだよ」 それは本当にそうで、今回のトップ目が配牌10種を流さなかった局も、後ろ見していたから(あ、流局だ)と絶望してからの11種目を第一ツモで引いたことによる流局回避だったと知ることができるわけである。手が進んだことによって無いはずの局が生まれたなんて面白いじゃないか。「まあ、とにかく何だっけ? ニッタさんって言ったかしら。仲のいいお友達ができて良かったわね。でも、私のことも忘れないでよ。同棲するって話も忘れてないよね?」「もっちろんだよ。物件探しはマイの次の連休に合わせるつもり」「やった! 約束だよ?」「うん、約束だ」──────ピロン 新田からメッセージが届いた。“よう、おれの麻雀は面白かったかい? ところで、桐谷君が麻雀を見るのが大好きってことは今回で理解した。そこでだ、そんな桐谷君にピッタリの仕事があるんだが、興味あるかい?” 仕事の話か。でも、麻雀観戦が好きだとピッタリな仕事ってなんだ。わからないが、新田は悪い奴じゃない、きっとまともな仕事な気がする。“その仕事。ちょっと興味がある。詳しく”と桐谷は返信した。すると――ピロン“麻雀のビデオドラマ作成スタッフが足りてないんだ。見てる側が興奮するよう
48.ここまでのあらすじ ギャンブラー桐谷進は新田忍という若者に誘われて原木中山(ばらきなかやま)駅へと行った。そこには民家を改造した雀荘があり、腕を認められた打ち手しかここには誘われないという。気を良くした桐谷は調子良く打っていたが、そこに大地震が発生した。【登場人物紹介】桐谷進きりたにすすむ主人公。プロのギャンブラーではあるが麻雀だけはまだ未熟。最近はちょっと上手くなってきたかも?長根尾舞ながねおまい桐谷の彼女。美容室『エクセレントヘアー』のスタッフ。背が低く、顔立ちも幼いので若く見られがちだが実はエクセレントヘアーいちのベテランである。新田忍にったしのぶ紹介制雀荘である麻雀『友』の営業係。いい腕してるなと思った人を誘ってくる役。盲牌が得意で手先の感覚が常人離れしている。その3第一話 見る楽しみ 気がついたら長根尾舞からの着信が何回もあった。それはそうだ、大地震だったのだから。「ちょっと、電話してきていいですか」「あ、じゃあおれも」「おれは帰ってこいってさ。今日はもうだめだ」「ま、この大地震じゃね。お開きにしますか」「まだ余震もあるしね」 そんな流れで桐谷の方の卓は潰れてしまった。一方、新田の打っている東風卓は麻雀狂いの集まりなのか地面が揺れたところで解散するような連中ではなかった。 桐谷はマイに連絡を入れようとしたが電話が繋がらない。回線が混み合っているのだろうか。よく見たらマイからメッセージが届いていた。“無事なの? 私は大丈夫。心配してます” 通話がいつまで経っても繋がらないのでメッセージだけ残すことにした。“おれは大丈夫、全く問題ない。マイが無事なら安心した” しかし、どうしたものか。桐谷の家まで帰れる終電はもうない。(ま、いいか。とりあえずここで待つことにしよう)「すいません、後ろ見ってしてていいですか?」「椅子に座って少し離れた位置から見る分にはいいですよ」 そう言うと明子さんは丸椅子を持ってきてくれた。桐谷は新田の手を見て勉強することにしてみた。東3局親 新田16800点持ちラス目の配牌新田手牌 切り番二三四②③③④④⑥⑥3446 ドラ②打6 とんでもない配牌が来てる! しかし…… 下家の配牌が酷すぎて、それゆえに下家は逆についていた。下家 43000点持ちトップ目配
34.第七話 重箱のクニオ 今日もいつものように『三元』へ朝から遊びに行くと そこに知らない顔がいた。 どうやら店長の知り合いのようだが、その人のカゴはチップがパンパンに入っていてカゴも2段になっていた。この店では来店時に預かり金をもらっていてそれが『カゴ代』になる。カゴで精算するのは帰る時だけ。つまり、カゴが2段ということは既に誰かを撃破していて、最終精算にカゴを受け取ったということだ。「あっ、桐ちゃん、いいとこきたね。丁度いま始まったばかりだからすぐ行けるよ。今はじまりの7巡目。どーぞ!」「入ります」 椅子を回して高さを調節し、全体図を見やすい目線にする。椅子の高さひとつ取っ
30.第三話 住む世界が違う「桐谷さんは何歳なんですか?」「26」「若いのねえ。羨ましいわ」「ナガネオさんには年齢差を感じないけどね。むしろ歳下に見えますよ」「歳下は言い過ぎよお。本当にお世辞が上手ねえ」そう言いながらナガネオさんは嬉しそうにニコニコしていた。「どんな髪型にしよーかなぁー。私好みにしていいんでしょう? アナタ二枚目だから髪型次第では惚れちゃうかも♡」「そりゃあいいや。ぜひともナガネオさんが惚れるくらいカッコいい髪型にしてよ」「いいの~? イケメンだし彼女いるんじゃないの?」「いるわけないだろ。この髪型だよ?」髪は放置していた期間が長すぎてだいぶみっともなく
31.第四話 足るを知る ジンギの言う通り①-④は来てちょっとした臨時収入が入った桐谷。「ほら、だから言ったろ? 10000賭けとけばよかったのにな」とジンギは言うが桐谷はそうは思わない。増えたならそれでいいのだ。 桐谷は『知足(ちそく)』という言葉が好きだった。足るを知る。禅の教えだ。ギャンブルをするならこの考えを持たないと永遠に勝たない。 100張って当てても1000張っておけば良かったなんて思ってしまう人には勝利の満足感は永遠に訪れない。負けるまで張り続けてしまうだろう。だから、足るを知る。このくらいでいいと言う考えを持つ。それが勝利者になるための思考回路だと桐谷は思って
44.第七話 営業係「ツモ」 次局は桐谷がリーチツモの1000オールをツモアガリする。と、そこで卓が点滅している。「あれ?」「すいませーん! トラブルでーす」 すると明子さんが直しにきてくれた。「はいはい、ちょっと待ってね」『友』で使用している麻雀卓は非常に古い型で店主にしか直し方が分からなかった。 卓を直している間に若者はトイレに立ち、桐谷は待っている間にこの店について質問してみた。「ここはなんで民家をそのままみたいな作りをしてるんですか?」「元々は雀荘をやりたいっていう友幸(ともゆき)の夢から始まったんだよな」とお客さんのひとりが会話に入ってきた。「友幸さん?」