50. 第三話 富士の萬屋 おれはアイデアを得る為に兎にも角にも雀荘へと行った。凄腕の麻雀を見ていれば何かひらめくかもしれない。 というわけで、今日は並木さんが働いているという雀荘『富士』に行ってみることにする。 ──── 「いらっしゃいませ!」 元気よく挨拶をしてきた人物はまだ若く見えるがこの店を仕切っているようだった。並木さんもいた。 「お、いらっしゃい。久しぶりだね、桐谷さん」「並木さん、お久しぶりです。今日は麻雀を打つより後ろ見がしたいんですが……いいですか? もちろん、多少は打っていくつもりですけど、並木さんの麻雀が見たくて」 後ろ見は基本的に禁止している店がほとんどだ。断られても仕方ないが……どうだろう。 すると。 「私と並木さんの間からなら見ても構いませんよ」と店主らしき男が許可をくれた。 「あ、ありがとうございます」 場面はもう南入していた。店主と思われる男は持ち点が少なく、オリてはいられない場面。しかし、北家が役の見えない仕掛けをしていてテンパイ気配。そこに最も危険と思われる生牌の北を引かされてしまった。ドラは①。 店主手牌 南家三三四四伍六④⑤34678 北ツモ (この手、北は押すのかな? かなりの確率で北がもう当たりな感じだけど、でも、オリててもジリ貧なだけ。どうする) 打四 (保留ね。北はさっさと切るもなにも、もうテンパイしてそうだもんね。テンパイしてから腹くくって勝負か)
Last Updated : 2026-04-12 Read more