冥花の真っ白な花弁を千切ると口へ運ぶ。 香りは甘いが、味はしっかり苦味がある。次々に口へ入れ、最後に茎と葉も一気に頬張る。舌がピリピリとして、脳の感覚が逆に冴えて来たように感じた。 盗ってきた鏡を木の枝に乗せ、そこに写る自分の姿をジッと見つめる。 藤紫色に染まった左眼。 手に持ったブレードの左眼も同じ色だ。偶然ではない何か。このドールアイを装着すれば、確実に何かが分かる。 それは思考的なものか、知識か、感情か。 今の涼にとってそこは問題ではない。 京も肯定的ではなかった自分の『癒し』の能力。思えば最初から京は自身の事を視られることに抵抗があったのを思い出す。 京自身が自分の気分や過去の罪を知られたくないからだと、そう解釈していたが恐らく涼の思い違いだ。 京は涼の能力が『城』にとって異質、不要、疑念。そんなふうに思い関わりたくなかった。そしてそれが攻撃力を持った時に自分へ向けられることを警戒し、手元に涼を置いた。 フェンランに関しても、女囚達が涼に依存していく中で、その流れを止められなかった。だが、傍観を決め込んだ理由は勿論、京と同じ理由だろう。 そして翡翠は── 涼は目の前に聳える高い塀を見上げた。 翡翠はこの先に誰かのドールヘッドを投げ捨てた。それが誰かは分からないが、翡翠の罪を視た時、あのドールは頭部パーツだけでもまだ意識があり、正常に話していた。泣き喚き、命乞いをしていた声が頭から離れない。 翡翠は生前ではなく、この『城』の中で人を殺めている。 修理が可能な人形の体。 サタンの時のように、囚人のいざこざではなく、管理人としての制服を纏ってするのは不公平で職務上してはいけない間引き行為。「……癒しが必要 ? ……そうだろうね。罪深い……」 もう一度鏡を見つめる。 その罪を、恐らくブレードは知っていた。 口の中の花弁の味が無くなったように感じた頃、妙に冷静な自分がいた。 頭の中は冴え渡り
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