食堂で食事を済まし、シャワーから戻ったところで再び房のベッドで顔を付き合わせる。 本来なら互いにうんざりしてしまう様な同房生活。 しかし涼にとって、同世代に見える京に対し、他の囚人とは違った。「いつも同じ時間に作業服のおじさんがいるじゃん ? また豆のカレー食べてた ! 」「好きなんだろ」 京の脳内は激しく回転しているが、心ここに在らず。涼に上の空の返事を返した。食事中も京のスプーンは度々止まっていた。「京はどうして夜にシリアルを食べるの ? 」「夜……寝れねぇ……夜型なだけだよ」「そっか」 涼はニコニコと周囲を見回し話題を探す。涼にとっては、これが初めての青春──友人だった。 時代は違うとはいえ、同じ歳で同じ房。気分はどこまでも修学旅行のようなもの。 しかし京は違った。 今まで同房になった者はすぐに京を裏切ったし、すぐに売った。夜中に施錠される格子等、信用出来ないことを知っている。心をすり減らして暮らして来た京にとって涼は猛毒のように自分を壊す存在になった。 タチが悪いのは、悪意の無さと無知な事。 それを放っておけない自分も。「明日から『癒し』スタートかぁ。ちょっと緊張するなぁ。一日何人のスケジュールかサラに聞いてないんだよね」「……」「キャンドルってちょっと楽しみかも。京、火をお願いね。臭いがラベンダーなんだって。京は何の匂いが好き ? 」「……あぁ。匂い ? サンダルウッドとか……」「あ、なんか分かる気がする ! 俺はコンクリート」「ふーん……。はぁ ? コンクリート ? 」「うん。雨降った時のコンクリートの匂い ! 」「それ、今の質問に対しておかしくねぇ ? 」 京はシーツを整えるとバサリと仰向けに寝転んだ。「もう寝るの ?」「お前も早めに寝た方がいいぜ。明日から毎日体力持つのか ? 」「んー。もう少し話そうよ」「……いや、もう
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