Semua Bab 強制狂葬 狂眼ドール: Bab 51 - Bab 60

94 Bab

15.二人の最終夜

 食堂で食事を済まし、シャワーから戻ったところで再び房のベッドで顔を付き合わせる。  本来なら互いにうんざりしてしまう様な同房生活。  しかし涼にとって、同世代に見える京に対し、他の囚人とは違った。「いつも同じ時間に作業服のおじさんがいるじゃん ? また豆のカレー食べてた ! 」「好きなんだろ」 京の脳内は激しく回転しているが、心ここに在らず。涼に上の空の返事を返した。食事中も京のスプーンは度々止まっていた。「京はどうして夜にシリアルを食べるの ? 」「夜……寝れねぇ……夜型なだけだよ」「そっか」 涼はニコニコと周囲を見回し話題を探す。涼にとっては、これが初めての青春──友人だった。  時代は違うとはいえ、同じ歳で同じ房。気分はどこまでも修学旅行のようなもの。  しかし京は違った。  今まで同房になった者はすぐに京を裏切ったし、すぐに売った。夜中に施錠される格子等、信用出来ないことを知っている。心をすり減らして暮らして来た京にとって涼は猛毒のように自分を壊す存在になった。  タチが悪いのは、悪意の無さと無知な事。  それを放っておけない自分も。「明日から『癒し』スタートかぁ。ちょっと緊張するなぁ。一日何人のスケジュールかサラに聞いてないんだよね」「……」「キャンドルってちょっと楽しみかも。京、火をお願いね。臭いがラベンダーなんだって。京は何の匂いが好き ? 」「……あぁ。匂い ? サンダルウッドとか……」「あ、なんか分かる気がする ! 俺はコンクリート」「ふーん……。はぁ ? コンクリート ? 」「うん。雨降った時のコンクリートの匂い ! 」「それ、今の質問に対しておかしくねぇ ? 」 京はシーツを整えるとバサリと仰向けに寝転んだ。「もう寝るの  ?」「お前も早めに寝た方がいいぜ。明日から毎日体力持つのか ? 」「んー。もう少し話そうよ」「……いや、もう
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16.フライング

 ──…… !  ────っ !  朝。 廊下がとにかく騒がしい。 正確には廊下の遥か下。一階だ。 気付いた京がもしやと身を起こすと、既に房の中は静かだった。房所か、この階自体の人が少ない。 涼は既に起きていたようだ。 昨晩、そのまま会話も無しに寝てしまった。房から出て廊下から下を見下ろす。 偶然通りかかった者に聞けば、既に点呼は済んだあと。 参ったように溜息をついた。 涼が来る前は、京は誰かと同房になると絶対に夜は眠らなかった。昼に起きたまま浅い睡眠。そして早々に追い出すように相方を追い出す。これの繰り返しだ。 京にとっても同世代の涼、それも全く悪意なく自分に笑いかけて来る姿は昔飼っていた愛犬 クロを彷彿とさせることもあった。 今朝の『癒し』は二人でエントランスに行くはずだったが、涼は声をかけられなかったのかもしれないと思うと、少し心が痛むような気がした。 同時に、勝手な行動にも腹立たしく思えても来る。 兎にも角にも、行ってみるしかない。 京は房の中をチェックすると、エントランスへ向かった。 □『おい、押すなよ』『だって見えねぇじゃん』『ねぇ、ちょっと可愛いかも』『分かる。なんか堂々としてきたらカッコイイかも』「……どうなってやがんだ……」 一階に降りてすぐ、人混みに立ち往生した。京がそれを掻き分け、エントランスへ辿り着く。 そこで見た涼は、この『城』に来てから一度も見た事のない光景を繰り広げていた。 エントランスホールの囚人塔への出入口と庭への出入口はほぼ直線。左手は壁際で、右手は何も無い広い空間だった。最初は応接用のソファやピアノ、そんなリラクゼーションの為の部屋だった。今では何もかもが剥ぎ取られて物が無くなっていたエントランスだが、そのホールを腰まである高めの植物を鉢植えにし、境い目が出来ていた。 群衆がそこから押し寄せないため
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17.片鱗

 食堂で並んでいると、同じく最初の食事時間帯のフェンランが声をかけてきた。「あんたら……朝からやってたんだって ? 」「フェンラン ! お礼言いたかったんだ。女性の皆さんが色々手伝ってくれて、凄い集中できるようになってたんだ」 涼は目を輝かせながらフェンランを見上げて、朝の様子を語る。 その側では陳からビーフシチューを受け取った京が、なんとも青い顔をしているのを見て状況を察する。「女達はわたしが指示した訳じゃないよ。お礼は本人たちにいいな」「そうなんだ……。てっきりフェンランの指示かと思ってた。 俺も朝早くてびっくりしたけど、腕慣らしに、皆んなにも『癒し』をさせて貰ったんだ」 フェンランの眉が跳ねる。京も同じく、トレイを持ったまま足を止めて涼に振り返った。「あそこにいた女、全員癒したのか ?! 」「うん。だって手伝ってくれるって言うし、俺に出来るのはこのくらいだからね」「……そう……。いや、止めはしないよ」 フェンランは口では承諾をするが、明らかに動揺している。涼はあくまでも善意でやっている。しかし京とも視線が絡んだ。その目が訴えている事に同じ焦燥感を抱えていると気付いた。「食後もやるのかい ? 」「うん。もう予約の人いっぱいなんだ。前倒しで何人かこなしたんだけど、まだまだいっぱいなの」「……大変だね」 トーストを受け取った涼は、目の前で豆カレーを食べる男を見つけ、ニコニコと京に絡む。(見た ? また豆カレー ! )(やめろ ! 聞こえんだろ、バカ ! ) フェンランは離れて行く前に京を呼び止めた。「『癒し』の合間、休憩を取れるかい ? 少し話しでもどうだい ? 」 京は人の身体なら隈のありそうな虚ろな目で頷いた。「……ああ。それがいいか。俺も話してぇと思っ
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18.リラクゼーションルーム

 薄暗い空間に怪しく揺らめくキャンドルの灯火。植物の緑と、古めかしいカフェテーブル。 上座に座る少年の銀の髪にキャンドルのオレンジ色が重なり、集まった群衆達を見つめる鮮やかな紫色の瞳。 囚人達から見てその姿はどこか神々しく、特別な存在に見えた。「次の方ですね、どうぞ」 サラが恭しく最前列の男性をエスコートする。京は涼の真後ろでその『癒し』を見届けていた。 涼の前に座った男は酷く気落ちして項垂れている。「緊張しないで。大丈夫、今日で終わります。手を出して」 涼が男に手を差し伸べる。「俺は……確かに見て見ぬふりして生きてきた。でもそんなに大きな罪なのか ? 」 男には深い疑念の色。反省や後悔の感情色がない。一体、何故なのかと、今度は左眼で男の過去を遡る。 ──課長、その辺にされた方が。 この男の声がする。 ──止めて ! 課長、止めてくださぃっ !  泣き叫ぶ若者の声と、何かを身体にバンバンと打ち付ける音。 ──うちの営業課、やばいな。今年でもう四人死んでるよな ? 「俺が止めるべきだったのか…… ? でも、クビになったら仕事はどうする ? 俺じゃない。悪いのは課長じゃないか……」 闇。 この男は闇を彷徨ったまま、『城』で生き続けて来た。 この男にとって、未だ『城』の生活は始まっていない。何故この『城』に来たのか。犯罪者ばかりがいるとすれば、自分の行いはそこまでの悪事だったのか自問自答の毎日だった。 涼がそっと手を握る。 男の戸惑いと疑念の色を、重ねた折り紙から引き抜くように吸い上げていく。「本当に悪いのは貴方じゃない」「……そう……だよな ? 俺は……。 そうだよ。悪いのは課長だよな ? 」「でも、確かに貴方は止められたかも
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19.悪魔崇拝者 サタン一味

「俺はサタンと呼ばれてる。勿論、本物じゃないよ。ククク。 俺は長い事……悪魔の言い分が大好きでなぁ。崇拝してきたんだ !  神なんかいるかどうかも分かんねぇが、悪魔は確実にいるのさ」「サタン、『癒し』を受けねぇなら引っ込んでろよ」「京〜。お前なら分かってくれると思うんだけどな〜 ? 涼は罪深い少年だよなぁ〜 ? 」「知らねぇよ。好きでやってんだ。 サラ、こいつ引っ込めろ」「で、でも予約は取ってるし……。涼くん、どうする ? 」「別に……話は聞くよ ? 」「ほーん。いいねぇいいねぇ。じゃあ少し語り合おうか」 サタンは椅子に腰を下ろすと、自分の取り巻きの中から一人の男を手招きして呼んだ。「『癒し』て貰いてぇのはこいつだよ。 その前に、本当にこいつの罪が視えんのか ? 」「視えますよ」「当てずっぽうじゃねぇのか ? 」「いいえ。ちゃんと視えます」 涼とサタンの間に緊張が走る。「証明しますか ? 手を」 涼はサタンに呼ばれて来た取り巻きの男の手を取ろうとする。 その間もサタンは喋りっぱなしだった。「じゃあ見せてみな。原罪が本当に分かるのか……。皆も興味あるよなぁ〜 ?  俺の話はそれからだ」 涼が取り巻きの男と対峙する。「こいつぁ、ルストってんだ。視てみな」「……ええ」 ルストと呼ばれた男は豚のような体格だが、優しい目の無害そうな男だった。年齢は三十前半くらいだろうか。自分と同じ日本人か、あるいは近くの国民に見えるが、問題はそこではない。 過去にこの男が犯した原罪だ。 繋がった手と手から感情を吸い上げ、左眼でその色から記憶を視る。 煌びやかな電子音と若者達の笑い声。『取りやすくしてあげよ
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20.涼の『銃』

「戻りました。 続けます」 涼が再び椅子に座ると、サタンは作ったような笑みでテーブルに身を乗り出して来た。「な ? ひでぇだろ ? 神なんていねぇのさ。囚人がここにいるのがその証拠じゃねぇか ? 」「『癒し』を受けないんですか ? 」「ルストも俺も、最初からそんな気ねぇんだ。ただ、本当に『城』が俺たちに『癒し』が必要と判断してんならよ。あんたゲロ吐いたりしねぇと思うんだよなぁ〜」 これに思わず京の視線が泳ぐ。 今の段階で涼の耳に入れたくない話だ。「『癒し』を受けないなら、帰れよ」「京、お前も反省や後悔なんてしてねぇクチだろ ? 俺たちと似てやがるよなぁ ?  人は悪魔に近いものさ。罪を犯さない人間なんていないんだから。だからこそ俺たちは『城』に来たんだろ ? それを『癒す』ってんなら、その方がおかしいだろ ? 」 サタンが一人、涼に話し続けるところを、今度はフェンランがやってくる 。「サタン。そう思うなら今日は出直しな」「フェンランか……。なんだ ? もう俺が怖くねぇのか ? 」「やめろ。だがお前の言うことに興味がある。後で話を聞かせて欲しいのだが」「……。驚きだな。いいだろういいだろう。 じゃあ、涼。今日はここまでだ。『癒し』について、『悪』だと認めたら俺たちの仲間になるといい」 涼はそっぽを向いて拒絶する。 サタンはルストを連れて、囚人塔へ戻って行った。 フェンランと京は一度だけ小さく頷き、互いに離れた。「サラ。次の人をお願い」「え ? 本当に体調は大丈夫 ? 」「大丈夫。少し相性が悪かっただけだよ」 涼は深いバイオレットの眼を群衆に向けた。 ボー……ン。ボーーーン……。 また鳴り出した大時計の鐘の音に囚人達が頭上を見上げる。「黒い針が&helli
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【第四章】1.伊吹の来た日

 その日。 『城』へ新しい囚人が二人やって来た。 『核』に選ばれた二人の男。 一人は雪のように白い肌をした、伊吹という痩身の男だった。翡翠に連れて来られ、『核』への面会が始まるまで房に置き去りにされた。  同房の相方が気の良い奴なら問題は無いが、伊吹は運悪く悪意ある者と顔を合わせた。  この時期、『城』の統治はままならず、突然変わった二代目管理人 翡翠も手を焼いていた。 震える伊吹の側、同房の男は黒いマントを翻し、手にした逆十字を掲げて仲間を呼んだ。「俺はサタン〜。お前を壊す男だよぉ〜 ? 」 ニヤケながら気味悪く手を振り上げて見せる。「や、やめてくれ ! 俺は……女じゃないし、何もしてない ! 」「あ〜 ? 女ぁ ? 女なんかいるわけねぇだろ。ここは霊界監獄。ぜ〜ん員が男ぉ〜。  ベリアル。こいつを抑えろ」「やっ ! やめて ! 何すんだよ ! 」「贄にするのさ。ここは霊界。あの世だ。  地獄のルシファー様に感謝の宴だ〜 。  お前をバラバラにして砕く ! そして全員で粉にする ! それを水に入れて飲み干しなら、さて……体は再生されるのか」「うぅ……っ ! 」「『核』の判断で、いくらでも体は再生しまーす ! ご安心を〜。  ところが〜 ??? 頭を残すと再生不可 !!   生贄にする為に、最後に頭を捥ぐ ! そしておめぇは永遠に生首のままこの宝箱の中で「助けて〜 ! 」って泣きながらヘブン !! 」 伊吹の同房はサタンだった。  周囲には取り巻きの男達。取り巻きと言うよりは、明らかに似たもの同士だった。皆儀式的な風貌に人形の体をカスタマイズしていた。「さぁ ! 腕を壊せ ! 」「うぃひひひ !! 」 集団暴行。  それは昔からあった事件や騒動。しかし伊吹は田舎の旅館の生まれで、長閑な村で二十歳のこの年まで目にすることはなかった。それをまさか自分が受けることになるとは。 ギシギシと音を上げる球体関節と、とて
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2.『城』の歪みの始まり─最古の女囚

 翡翠が伊吹の房へ現れた。「説明が遅れたが……」「いや、サミールに聞いた。さっき俺を助けてくれた」「そうか。では『核』の元へ案内しよう。望みは決まっているか ? 」 伊吹が『核』へ望むもの。「決まったよ」 □□□ 緑色に光る発光体。  キューブ型で、不思議な存在感のある浮遊物。くるくると回りながら、頭上高く輝いている。「俺をさ、女にしてよ。花魁みたいに華やかなのがいいな。着物に簪、あとはキセル。もちろん、中に詰める葉っぱもね」『御期待に添えかねます。一つだけです』「ケチだな。じゃあ、衣装だけでいいよ。ただし、安っぽい仮装みたいなのは駄目だ。  体のカスタマイズも出来るんだよな ? この体は俺は望んでないね。俺、実は中は女性なんだ」『そのデータはありません』「最初に体を選べないのは不公平じゃない ? じゃなきゃ俺、ここから出ないよ」『衣装と体のパーツ交換は許可します』「そう来なくちゃ」『ただし、二度と変更は出来ません。修理しても性別は二度と変えられません』「分かった分かった。それと、聞きたいことがあるんだけどさ……」 □ 戻ってきた伊吹を見て翡翠は開いた口が塞がらない状態だった。「風に蘭で、フェンランと名乗ることにする。看守殿も合わせてくれ」「こんな場所で女でいることがどれだけ危険か ! さっきもサミールに助けられたんだろ !? 」「それはわたしが弱者だったからだ」「女、子供もそうだろう」「ああ。そうだ。だが、不思議なことに男は、同じ男の中で弱者と見なす者には躊躇いなく暴力を振るうのに対し、あからさまに弱者と認識する女子供に手を出す奴は軽蔑される」「……保証は出来兼ねる。看守がいつでも守れるとは限らない。ここは生きた人間たちの監房とは違うんだ」「ああ。そうだな」「せめて女装なら力も男のままだったというのに」「男なら多少
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3.元プロから見た『城』の構造

「わたしは弱者だったな……」 午前0時の頃。  曖昧な時間の感覚で生きていても、人形の体は体内時計を持っているようだ。 フェンランは皆が寝静まったころ、黒松のある池の畔で、大時計の紫が反射する水面を見つめていた。  煙管を側の紅葉の小枝に叩くと吸い終えた灰を池に落とす。  消し炭になった塊がか弱い音を立てて落ち、ふやけて、崩れて、やがてゆっくり沈んでいく。『城』を見上げると、翡翠の執務室の窓がギリギリ見えた。  フェンランはすぐに裏手へ移動した。 それから数十分して、バタンバタンと物音をたてながら京がサタンを連れてきた。「京、気を失わせろ」「こいつ ! 冥花に耐性ついてやがる。挙句に俺より力強ぇ」「情けない」「気を失ったら話できねぇだろ !? 」 サタンは縛られ、猿轡と目隠しをされていたが、二人の声色を聞いてすっかり意気消沈していた。  特にフェンランの声に、サタンは異常に怯え始めた。「こいつを知ってるのか ? 」 京が聞く。フェンランは澄まし顔で「まあな」と一言答えるだけだった。「別に詮索はしねぇけど」「……。ここにきた時に一度絡まれてな。危うく首を斬られるところだった」「はは ! これだけ囚人がいて、最初の知り合いがこいつかよ ! ウケる ! 」「笑い事じゃないだろう。  だが、聞きたいことがあるんだ。こいつが言うには、わたしたちドールを『殺さずに殺す方法』を知っている」 この言葉に京の上がっていた口角が、スっと下がりフェンランを見つめる。「俺たちは『核』に修理されるよな ? 」「ああ。修理せずに、そいつの存在を隠蔽する方法さ」「へぇ〜。いいネタ持ってんじゃん」「こいつ……サタンが取引した『核』への願い事。それは「『核』に話し相手になって欲しい」という事だ。 『城』に来たばかりの頃は誰もが不安だからな。だがこいつはそれらのシステムを悪用しているわけだ。  話して貰
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4.『城』にとっての『制御装置』

「俺はな、初めから翡翠様に『願い事を待って貰うか、増やして貰う事』が念頭にあったんだ。しかし行った先で、実際は願い事を叶えるのは管理人じゃなくて『核』じゃねぇか。不思議に思ってなぁ〜。  確かに『核』は肝心な事に答えねぇ。  しかし……俺ァ。『核』はプログラムとは違うと、早々に気付いたわけよ」「仕事なんかしてたのか ? ってか、どう考えても社会不適合者だろ……」「そんなの、京……お前だって、ここにいる奴みんなそう見えるぜぇ ? 違うか ?   生贄を買うにも金は必要だからなぁ」「うむ。必要なら盗めば言い訳だが、詰まるところお前は、昼は常人、悪魔崇拝者の顔は休日の趣味とかサークルのノリでいたわけか ? 」 フェンランも呆れ顔で、煙管に冥花を詰めた。こんな男に脅されたとは、以前の自分がしょうもない度胸なしだったと大きく息を吐いた。「それで ? 技術者のお前から見た『核』の正体は結局なんなのか、という事だが ? 」「ああ。俺は『核』には意思が……つまり『人の知能がある』と見ている。人工のものじゃねぇ」 京とフェンランは想定内だが、何も言わず言葉を待った。「それは人の知能だとすると、『核』には感情もあるって事だ。だから俺は『核』と常に会話できる権利が欲しいと言った」「翡翠以外に、それが叶うとは思えんのだが……」 訝しげなフェンランと違い、京は自分の中にある疑念を脳内で掻き集めていた。「俺が来た当時は、まだ翡翠様が二代目に就任したばかりだったんだ。他の囚人達が「居なくなった囚人や看守がいる」って噂で持ち切りでな。  俺は思った。いなくなるってことは、逃げたか、死んだか、だ。しかし体は修理される。逃げるのは無理だ。見ろ、あの闇を」 サタンは顎をしゃくって塀の向こうを指す。 『城』の外は一寸先は闇。  なんの光も、気配も無い無の世界だ。「あんな先に逃げたところでどこへ行く ? それともどこかへ通じてるのか…… ? 」 確かに闇の先に何かがあるとは思えないが、京は翡翠がドールアイを持ち、
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