ビジネスの世界においても、櫂は冷酷無比な決断力を見せつけた。彼の辣腕により、東郷グループは今や四大財閥の一つに名を連ねているものの、実態としては他の三家を遥か後方に置き去りにするほどの圧倒的な力を誇っていた。櫂の資料を読み終え、律はファイルを閉じて冷たく言い放った。「以前、彼との面会を取り付けるよう指示したが、東郷側からの返答は?」秘書は困惑した顔を見せた。「社長。東郷社長の秘書から返信はありませんでした。おそらく、面会する気がないのだと……」律は特に腹を立てる様子もなかった。資料を見る限り、東郷櫂という男は非常にプライドが高く、誰でも簡単に会えるような相手ではない。桜井雅也が東郷グループから提携の意向を引き出せたのも、相当な骨折りがあったはずだ。だが、まだ契約書にサインしていない以上、俺にもチャンスはある。「アポはもういい。明朝、直接東郷グループのビル前で出待ちする」「かしこまりました」翌朝七時。まだ夜が完全に明けきらない薄暗い中、律はすでに東郷グループの本社ビルの前に立っていた。秘書は寒さでガタガタと震えていた。同じ冬でも、首都の寒さは聖都の比ではない。「社長、いくらなんでも早すぎませんか?東郷グループの始業は九時ですよ」「早くない」相手と提携を結びたいなら、それなりの誠意を見せる必要がある。九時過ぎまで待ち続けた頃、ようやく櫂の乗った黒塗りの車が現れた。車がエントランス前に停まるや否や、律は素早く歩み寄った。櫂が後部座席から降り立った瞬間、律は声をかけた。「東郷社長、初めまして。創和の代表を務める水瀬律と申します。本日はビジネスのお話をさせていただきたく参りました。少しお時間をいただけないでしょうか?」言い終えるか終えないかのうちに、律は自分の全身に、突き刺さるような冷たい視線が注がれるのを感じた。それは、獲物を値踏みするような鋭い眼差しだった。律は怯むことなく、微笑みを浮かべて櫂の視線を真っ直ぐに見返した。櫂は彼を二秒ほど値踏みするように見つめた後、冷淡に視線を逸らした。「水瀬社長、お引き取りを。提携相手には困っていませんので」そう言い捨て、櫂は足早にビルの中へ入ろうとした。今日この場で櫂の心変わりを引き出せなければ、東郷と展望技術の提携は決定的なものになる。そう
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