「慎は私の子でもあるのよ!」感情が昂った美雨の蒼白だった頬が、怒りで赤く染まっていた。「だが親権は俺にある。無駄な足掻きはやめろ。絶対に慎は渡さない」律はそれ以上彼女を見ようともせず、手下に書斎へ慎を迎えに行くよう命じた。「水瀬律、絶対にこのまま連れ去らせないからね!」律は傍らのボディガードを一瞥し、冷酷に命じた。「この女を二階へ運べ」「たとえ今日連れ去ろうと、必ずあの子を取り戻してやる!」律は彼女を氷のような目で一瞥した。「やれるものならやってみろ。君に俺と争うだけのカードがあるならな」間もなく、ボディガードが美雨を強引に二階の寝室へと連行した。石田が慎を連れて出てきた時、リビングには律だけが残されていた。律の姿を見た慎は、石田の背中に縮こまり、決して前に出ようとしなかった。石田は慎の頭を優しく撫で、慈愛に満ちた目を向けた。「坊ちゃま、お父様と一緒にお行きなさい」情緒不安定でいつ狂ったように怒り出すか分からない美雨の側にいるよりは、律について行った方が慎のためだと、石田は心の中で結論づけていた。慎は動こうとしない。どうしても美雨から離れたくなかった。律は歩み寄り、彼をひょいと抱き上げた。そして石田に視線を向ける。「美雨は二階にいる。慎は俺が連れて行く」「水瀬様」石田が彼を呼び止めた。「どうか坊ちゃまを大切になさってください。あなたの実の息子なんですから」律の瞳が暗く沈んだ。「どうすべきかは分かっている」彼は慎を抱いたまま踵を返し、二人の姿はすぐに玄関の向こうへと消えた。石田は深くため息をつき、二階へ上がった。主寝室のドアの前に立つと、中から激しく物を叩き壊す音が聞こえてきた。石田がノックをして中に入ると、部屋は凄惨な有様だった。鏡台に整然と並べられていた化粧品は床に散乱し、ベッドベンチはひっくり返され、衣服が足の踏み場もないほど散らばっている。美雨は部屋の中央に座り込み、髪を振り乱し、その顔は陰惨に歪んでいた。彼女の目には、すべてを焼き尽くすような激しい怒りの炎が宿っている。「美雨様、坊ちゃまが……」「出て行きなさい!」美雨は石田に向かって怒鳴りつけた。その顔には深い憎悪と嫌悪が浮かんでいる。「石田、この何年もあんたに給料を払って養ってや
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