皆が驚いて声の主を見ると、聖都のどこかの御曹司かと思いきや、見知らぬ若い男だった。会場内がざわめき始めた。「あの人誰?今まで見たことないけど」「知らない。でも四十億なんて額を口にできるってことは、それなりの身分なんだろう」……律の隣に座っていた芽衣は、驚きのあまりスマホを落とし、声を潜めて言った。「律さん、正気ですか!?そんな大金、どこにあるんですか?」「心配しないで。口にしたからには払えないなんてことはないさ」雅也が振り返って律を一瞥し、目を細めた。その目には危険な光が閃いていた。二人の視線が空中で激突し、火花を散らした。互いの目にある感情は、当人同士にしか分からないものだった。明里も驚愕し、慌てて楓の方を向いた。「楓、律って、数年海外に行ってただけでこんなにお金持ちになったの!?それなら私も海外に行けばよかった」「さあ……」律が突然こんな価格を叫んだことに、彼女も驚いていた。何しろ帰国した律はマンションを借りており、そんな大金を持っているようには全く見えなかったからだ。もしかして、雅也が自分を捨てたことへの腹いせに、彼にひと泡吹かせてやろうとしているのだろうか?しかし、もし雅也が値を上げなかったら、律はこの四十億を払わなければならない。彼はどこからその金を捻出するつもりなのか?雅也が再び札を挙げた。「六十億!」律もすぐさま続いた。「八十億!」「百億!」「百二十億!」……「二千億!」律がこの価格を叫んだ時、会場は水を打ったように静まり返っていた。これほどのジュエリーセットであっても、二千億の価値など到底ないからだ。しかも先ほどから、律と雅也はまるで狂ったように競り合っていた。片方が札を下ろすや否や、もう片方が札を挙げる。二人はそのままジュエリーの価格を二千億まで吊り上げてしまったのだ。完全に天文学的な数字になってしまった!明里が再びそのジュエリーを見て、二千億という価格を思い浮かべると、突然そのジュエリーが大したことないものに思えてきた……二千億もあるなら、他のことに使った方がずっといいじゃないか!彼女は思わず横を向き、楓に小声で言った。「あなたのお兄さん、頭おかしくなったんじゃないの?彼がそんな大金を持っているとは到底思えないわ」律
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