香織が礼音の告白を受けて入れてからというもの、礼音は彼女との交際報道を認めた。そんなふうに堂々と交際宣言するのもどうかと思うが、香織は何も言わないことにした。礼音との交際を明らかにしたことで、話しかけてくる男性が少なくなるかもしれない。彼との関係は、彼女にとってもメリットが大きかった。当然、それ以外にも付き合った理由はあるのだが……それは香織だけの秘密である。いつか日菜乃や亮太とのいざこざが全て終わった後、礼音に本当の気持ちを伝えられたらいいな。香織はチラッと自分を抱きしめて横になる礼音を見上げた。「仕事に行かなくていいの?」「今日は休みを取ったんだ。お前のために」礼音はニッコリと笑いながら、香織の柔らかい髪の毛を撫でた。大きな手が髪の毛に食い込むその感触が、何だか慣れない。香織は亮太と結婚していたものの、男性との交際経験はゼロだ。礼音は顔を真っ赤に染める彼女を面白がってか、その額に口付けを落とした。「キャッ!」驚いた香織は礼音の胸に手を置いて彼を押し退けようとしたが、礼音は絶対に彼女を離さなかった。男慣れしていないところが、余計に愛おしい。「いくら何でも驚きすぎじゃないか?」「し、仕方ないでしょう……今まで男の人と付き合ったことなんてないし、キスをしたのも初めてなんだから……!」「…………初めてなのか?」礼音は驚いた様子で聞き返した。香織は既婚者ではあったものの、亮太と夫婦の営みをしたことは一度もない。亮太は日菜乃を愛していたため、香織には指一本触れようとしなかった。強いて言うとするのなら――(そういえば……あの日、亮太とキスしたんだっけ……)まだ亮太と結婚していた頃、彼女は一度だけ彼に強引に口付けをされたことがある。しかし、あれは事故のようなもので、香織が望んでいたものではない。「……」香織が黙り込んだのを見て、礼音の表情が暗くなっていった。「どうやら、初めてではないようだな……」「あ、ち、違うの!」香織は慌てて否定しようとしたが、口付けをしたのが事実である以上、ハッキリ違うと言うこともできなかった。「あれは……事故のようなもので……!」「事故?やっぱりキスしたのか」彼女が言葉を発すれば発するほど、礼音の疑念は深まるだけだった。まだ彼と知り合って数ヵ月ではあるが、香織にはわかる。――礼音は今、かなり頭に来てい
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