礼音はただじっと、酔っ払って眠る香織を見下ろしていた。礼音はつい最近、前世の記憶を取り戻していた。愛する彼女が壮絶な拷問に遭い、命を落としてしまったこと。そのために亮太や日菜乃相手に復讐をしたことまで。忘れていた記憶がつい最近になって蘇ってきたのだ。(やっぱり、お前も前世の記憶を持っていたのか……)前々から疑っていたことではあった。亮太や日菜乃が前世とまるで変わらないのに対し、香織はあまりにも前とは違う行動を取りすぎている。あれほど亮太を愛していた彼女が、今世では彼に目もくれていなかった。そのような点から、礼音は香織もまた回帰しているのではないかと感じていた。しかし、当然本人に直接聞くこともできず、いつまでも確信を得られないまま時間だけが過ぎ去って行った。「覚えていたのか……あの残酷な日々のことを……」彼は眠る香織の頬に手を触れ、涙を流した。いっそ全て綺麗さっぱり忘れていてくれた方がよかったのではないだろうか。そう思えるほどに、彼女が前世で経験したことは惨いものだった。香織は前の世界で、一体どれだけ悔しい思いをしながら死んでいったのだろう。そのことを考えると、彼の胸がギュッと締め付けられた。気のせいか、礼音に触れられた香織が僅かに微笑んだような気がした。私は大丈夫よ――と言っているような気がして、余計に辛くなった。その笑顔を、次は何としてでも守らなければならない。俺はそのために、時を巻き戻って再び彼女の前に姿を現したのだから。彼は今すぐにでも香織を抱きたいという気持ちを何とか抑え、ベッドから立ち上がった。眠っている香織にそっと布団をかけると、過ちを犯してしまわないようにそのまま部屋を出て行った。***香織が目を覚ました頃には、すでに夜が明け、朝になっていた。外からは小鳥のさえずりが聞こえ、カーテンの隙間からは太陽の光が漏れていた。「……」見覚えの無い部屋で目を開けた彼女は、ベッドから体を起こして周囲を見渡した。「……ここはどこかしら?」昨夜の記憶がほとんど無かった。パーティーで浮かれすぎて浴びるように酒を飲んだところまでは覚えているが、その後何をしたのかは一切覚えていない。僅かに開いたカーテンの間から見える景色は、彼女が暮らす九条邸のものではなかった。(私ったら、酔っ払いすぎて不法侵入でもしてしまったのかしら?)すぐに部屋を
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