2年という月日が、まるで風にめくられる本のページのように、あっという間に過ぎ去っていった。梓の人生は、はっきりと右肩上がりの曲線を描いていた。ドリームワークスで、彼女はアシスタントから、中小規模のプロジェクトを一人で任されるデザイナーにまで成長した。梓が手掛けたいくつかの古民家リノベーションや個性的な民宿のプロジェクトは、その土地の文化を巧みに取り入れ、空間での感動体験を大切にしたデザインで高い評価を受けた。さらには、業界でも注目度の高い新人デザイン賞を受賞するほどだった。菖蒲はますます梓を頼りにするようになり、重要なクライアントの多くが彼女を指名するようになった。梓の名前は、デザイン業界の狭い範囲ではあるが、少しずつ知られるようになっていった。それは、誰かの妻としてではなく、一人のデザイナーとしてだった。続けていたヨガやトレーニングのおかげで、体調もどんどん良くなっていった。背中の傷跡はまだ残っていたが、梓はもう平然と向き合えるようになっていた。あるデザインサロンのイベントでは、「傷と再生」をテーマに、不完全な印をデザインのインスピレーションに変える方法を語り、多くの人々の心を打った。彼女は依然として独り身だったが、その生活は充実していた。泳げるようになり、バリスタの資格を取り、さらには外国語の勉強も始めた。週末は同僚と食事をすることもあれば、一人で展覧会やコンサートに出かけたり、家で本を読んだり絵を描いたりして過ごした。自分の時間もお金も、そして気持ちも、すべて自分でコントロールできる自由を彼女は楽しんでいた。そんな梓に転機が訪れたのは、ある国際的なデザイン交流プロジェクトだった。F国の有名なデザイン事務所が、国内のいくつかのアトリエと提携し、優秀なデザイナーを選んでF国で1年間の研修を受けさせるというものだ。ドリームワークスはその枠を一つ獲得し、菖蒲は迷うことなく梓を推薦した。「あなたのデザインには何か特別なものがあるの。静かなのに力強くて、風情をうまく捉えている。でも、ただ記号的に表現しているだけじゃない」菖蒲は彼女に言った。「行ってみて。世界は広いのよ。あなたにはもっと大きな舞台が必要だわ」このチャンスを前に、梓は少しだけためらった。見知らぬ土地、言語の壁、まったく新しい環境。だが
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