海斗が尋ねた。「いつのことだ?」凛は隠さずに打ち明ける。「離婚した時。あなたたちには、本当の気持ちを言えなかった。責められるのが怖かったわけじゃないんだけど、ただ、あなたたちが私を心配してくれていることに対して申し訳なかったから。離婚した当初は、共有財産を取り返そうなんて考えてなかった。でも、我慢して引き下がっても何も解決しないってわかったの。智也と小林さんは図に乗るばかりだし、さっさと離れてやった方が自分のためにもなるかなって」「うん」海斗は頷いた。「賢い判断だ」海斗は内心、智也の何が凛の支えになったのか、あるいはどんな免罪符になったのかを聞きたかった。しかし、傷口を抉ることになりそうで、口には出せなかった。「皆様、話はまとまりましたか?済んだなら夕食にしましょう」凛は美穂子の方を向いた。「ええ、終わりました」美穂子の案内で、全員がダイニングへと向かう。食事が終わると、謙介が先に帰った。凛は、先週からのG県への出張で疲れているだろうから、と海斗にも早く帰って休むように言った。海斗も休息が必要だったため、素直に家へ帰ることにした。その時、凛は玄関の棚の上に置かれた宅配便に気づき、海斗を呼び止める。「海斗、ちょっと待って」「ん?」暖かな黄色い照明が振り返った海斗の顔を照らし、普段の冷たく硬い輪郭が、その瞬間だけ少し柔らかく見えた。凛は荷物を開け、綺麗に包装された箱を取り出す。それが自分の愛用しているブランドのシャツだと、海斗はすぐに気づいた。だが、中には二つ入っていた。一枚は大きく、一枚は小さい。凛は大きい方を海斗に手渡した。「前に弁償するって言ってた3Lのシャツ」このブランドは店舗販売が少なく、オンラインでも扱っていないため、凛は購入できるルートをいくつも探し、さらに順番待ちまでした。だから、ここまで時間がかかってしまったのだった。海斗はそれを受け取り、箱の中にあるもう一着へと視線を向けた。「こっちは私の」隣で見ていた日和が、「あれ?」と声を漏らす。日和は意味ありげに笑った。「同じブランドで、同じ白シャツ。サイズが違うだけ……それってペアルックってことじゃないですか?」凛の目がわずかに揺れる。「そういう訳じゃなくて、メンズの方がレディースのものより、生地やカッ
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