**** 翌朝、約束通りに啓太郎は、プリンを持って裕貴の部屋に立ち寄った。ついでに、数日ぶりに朝メシも食わせてもらうつもりだった。 ドアを開けた裕貴は、パジャマの上からいつもと同じカーディガンを羽織ってはいるが、頬に不自然な赤みもないし、全身から漂っていた倦怠感も抜けたようだ。「さっそく来たね」 そう言って裕貴は笑い、何より先に啓太郎の手からプリンが入った箱を受け取る。「お昼に食べよう」 啓太郎にさっさと背を向け、歌うように呟く裕貴に、思わず苦笑が洩れる。どうやら、完全復調のようだ。「おい、今朝はきちんと朝メシを食わせてくれよ」 啓太郎が声をかけると、くるりと振り返った裕貴がニヤリと笑う。「そう言うと思って、準備しておいた」 ダイニングに行くと、裕貴がいう通り、テーブルの上にはしっかりと朝メシが準備されていた。 今朝のメニューはチーズオムレツに、かぼちゃとベーコンのミルクスープ、温野菜サラダという組み合わせだけで感動的だが、そこに、ふかふかのパンケーキとカフェオレまで出されると、啓太郎はイスに腰掛けてこう洩らすしかなかった。「完璧だ……」 「おれが寝込んでいる間、啓太郎には貧しい食生活を送らせたからね。今日からその分を取り戻すよ」 「涙が出そうな言葉だな」 手を合わせてから啓太郎が食べ始めると、プリンを冷蔵庫に仕舞った裕貴は、自分の分の朝メシを準備して正面のイスに腰掛けた。「卵粥か?」 「まだ固形物食べられるほど、胃が元気じゃないからね」 これはこれで美味そうだと思いながらパンケーキを千切っていると、ゆっくりとレンゲを口に運んでいた裕貴が、ふいに上目遣いに見上げてくる。「これも食べたい?」 「……一口だけ味見させろ」 「意地汚いなあ。病み上がりの人間の食べ物まで奪い取るなんて」 「人聞きが悪いこと言うな」 裕貴はレンゲで卵粥を掬うと、芝居がかった露骨さで息を吹きかけて卵粥を冷ますふりをして、恭しく啓太郎の口元まで持ってきた。「はい、あーん」 「――……お前、俺を思いきりバカにしてるだろ」 「おれの愛情だって」 啓太郎は裕貴の手からレンゲを奪い取り、卵粥を味わう。病人食だと思っていたが、ダシは効いており、ほんのりとついた塩味のおかげで、何杯でも食べられそうだ。 何を作らせても上手い奴だと本気で思う。い
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