藤堂景介(とうどう けいすけ)と結婚して五年。彼は私に至れり尽くせりで、誰もが羨む愛妻家だった。彼が外に別の家を持ち、そこで若い女を囲っていると知るまでは。狂乱して彼を問い詰めた時、景介は悪びれもせずこう答えた。「あいつとはただの遊びだ。ちょっとした刺激が欲しかっただけ。妻の座は変わらずお前のものなんだから、何が不満なんだ?」だけど景介、私は汚らわしいのはごめんだ。……家に帰りドアを開けると、テーブルの上に綺麗な小箱が置かれており、景介がソファに座って雑誌を読んでいた。彼が愛人を囲っていることに気づき、激しく言い争ってからというもの、景介は一週間も家に帰ってきていなかった。私ももはや、恨みがましい妻のように彼がどこで何をしているのかを探ろうとはしなかった。もし今日彼が帰ってこなかったら、私、この神崎澪(かんざき みお)の生活の中からこの男の存在は完全に忘れ去られていたかもしれない。私の帰宅に気づくと、景介は立ち上がり、私の腰を抱き寄せようとした。私は条件反射のように一歩後ずさりし、彼の手を避けた。かつてはあれほど恋しかったその腕の中が、今では吐き気すら催す。景介は一瞬表情を硬くしたが、結局何も言わず、テーブルの小箱を手に取って私に差し出した。「この前、時計が壊れたって言ってただろ。新しいのを買ってきたんだ。気に入るか見てみてよ」これが景介なりの歩み寄りであることは分かっていた。過去五年間、私たちが喧嘩をするたびに、彼がちょっとしたプレゼントを買ってくれば、私はそれを機に機嫌を直していた。幾つもの夜を涙で崩れ落ちそうになりながら過ごしても、彼が仲直りのサインを出せば、私はすべてを無かったことにして元通りになれたのだ。しかし、今はもう疲れてしまった。私はその箱に一瞥もくれず、彼を通り越して二階へ上がろうとした。景介はため息をつき、どうしようもないといった様子で私の腕を掴み、強く抱きしめた。「まだ怒ってるのか?」私は彼の手を振りほどき、何も答えなかった。私の無言の態度がとうとう彼の神経を逆撫でたのか、景介は眉をひそめ、その顔に次第に怒りの色を浮かべた。「もう一週間も経ったのに、まだ頭を冷やせないのか?子どもみたいな我儘を言うのはやめてくれないか」彼の言葉は非難に満ちており、
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