僕の名前は緒川圭(おがわ けい)。彼女・二ノ宮静(にのみや しずか)が突然、体に特別な装飾を施したと告白してきた。とある秘密なところに。顔を赤らめながら、「あなたをもっと喜ばせたくて」なんて健気に言う彼女。翌日、僕は手作りの栄養食を持って彼女の会社を訪ねた。そこで目にしたのは、僕の親友である小久保悠(おくぼ ゆう)と抱き合う静の姿だった。悠は彼女の腰を引き寄せ、低い声で囁く。「いい子だ。本当に俺の言った通りに飾りしたなんてな。あいつは、自分のためだと思い込んでるみたいだけど。まさかお前が俺と結婚するなんて知ったら、ショックで死んじまうんじゃないか?」静の声が冷たく響く。「あなたとはただの政略結婚よ。警告しておくけど、圭には絶対にこのことを知らせないで」悠は鼻で笑い、その手をゆっくりと下へ滑らせた。「分かってるよ。お前が俺を満足させてくれる限り、あいつに余計なことはしないさ」扉の外で全てを聞いていた僕は、全身の血が凍りつくのを感じた。僕はスマホを強く握りしめ、数日前に上司から打診されていた地方支社への転勤話を思い出す。もう、迷いはない。僕は上司にメッセージを送った。【部長、例の件ですが……3日後に海ヶ城市への転勤をお願いします】……部長からの返信を受け取り、僕は力なく壁に寄りかかった。部屋の中でまた、悠の声が響く。「もうやめよう。圭が戻ってきて鉢合わせたら、面倒なことになるぞ。ああ、そうだ。あいつ、お前がウェディングドレスとタキシードのデザイン画を俺に渡したなんて、夢にも思ってないだろうな。完成した衣装を見せてやったら、『俺たちの感性は似ている、さすがは親友だ』なんて言いやがって。笑えるほどおめでたい奴だよ」その言葉を聞いて、僕の顔から一気に血の気が引いた。静と付き合って、もう六年になる。静の周囲の人間は、誰もが僕のことを知っていた。僕が名誉も利益も求めず、ただ静の未来が順調に行けることを願っていることも、周知の事実だった。かつて静は、盛大な結婚式を挙げると僕に約束してくれた。当時の僕は馬鹿みたいに喜び、最終案が固まるまで、何度も夜を徹して婚礼衣装を自らデザインした。だが少し前、その手書きの原稿が突然なくなった。どこを探しても見つからなかった。あの時、静は申し訳
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