地球の裏側、戦火と貧困が渦巻くアフロテラ共同体。そこの国境近くには、恒久的な難民キャンプがあった。ここの環境は、真奈美が国境なき医師団に加わった当初にいた臨時医療拠点より少しはましで、医療施設や宿舎はレンガ造りの比較的しっかりした建物だった。もちろん質素なつくりではあったが、頻繁に移動する必要はもうなかった。真奈美はここで2年ほど活動を続ける中で、その優れた医療技術と冷静な判断力、そして抜群の適応能力を発揮していた。さらに現地の言葉も熱心に勉強したので、今ではこの医療施設の中心的な医師の一人となっていた。同僚たちからは尊敬され、難民たちからも深く信頼されている。過酷な医療活動と厳しい環境は、真奈美の顔に歳月の跡を刻んでいた。目じりには細いしわが寄り、肌は長年の日差しで健康的な小麦色になっている。しかし、彼女の眼差しはますます澄み渡り、強い意志を宿していた。その全身からも、落ち着きと包容力、そして力強さに満ちたオーラが放たれていた。紛争地帯に孤児はつきものだ。ある日の巡回診療で、真奈美は交戦のすえに荒れ果てた村の廃墟を訪れた。そこで彼女は、崩れた壁の下でうずくまり、高熱を出して息も絶え絶えになっている小さな女の子を見つけた。年は3、4歳くらいだろうか。骨と皮ばかりに痩せこけていて、その大きな瞳には恐怖と失望しか映っていなかった。真奈美は彼女を抱きかかえて医療施設に連れ帰り、懸命に治療した。女の子の命は助かったが、よほど怖い目にあったのだろう。長い間一言も口をきかず、まるでこの救いだけは逃してはならないと、真奈美の服のすそをただ固く握りしめているだけだった。それは母性本能だったのかもしれないし、あるいは、この少女のなかに生命のたくましさと儚さの両方を見たからかもしれない。理由はなんであれ、真奈美のなかに、この少女を養子に迎えたいという気持ちが芽生えた。手続きはとても複雑だったが、所属する団体や他の国際人道支援機関の助けを借り、半年以上の時間をかけてようやくすべての法的な書類を整えることができた。真奈美は、その少女を「アリア」と名付け、彼女の母親となったのだ。アリアは次第に心の傷から立ち直り、活発さを取り戻していった。カールした髪と、まるでぶどうのように大きな瞳。そして笑うと、頬に浅いえくぼが二つできた。アリアは真奈
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