白月神社には、大きくそびえる鳥居あった。深津市の実力者が集まり、全員の視線はレッドカーペットの端にいる男性――秀明に向けられていた。秀明は袴を着こなし、その整った顔立ちは冷徹な美しさを放っていた。彼は、隣にいる花嫁を見下ろしていた。今日、真由はやけにおとなしくしている。あの厳しいしつけもようやく効いたのだろう。角が取れ、従順になったようだ。そう、これでいいのだ。結婚したら時間をかけて、真由を最高の妻に仕立て上げればいい。式が始まり、手順通り順調に進んでいった。角隠しの下で、秀明は隣の人がわずかに震えているのがわかった。緊張しているのか?秀明は珍しく穏やかな口調で、自分でも気づかないうちに諭すように言った。「今日からは俺が直接、君を一人前の妻になれるよう教えてやるよ」その夢にまで見た甘い言葉を聞き、咲和は倒れそうなほど高揚していた。さらに震えが増し、付き添いの方の腕を強くつかむしかなかった。秀明はその反応を照れや期待と受け取り、わずかに口元を緩めた。忍耐強く儀が進み、参進の列は静かに拝殿へと進む。境内にはざわめきもなく、ただ玉砂利を踏む足音だけが響く。ついに肝心な瞬間、玉串奉奠のため、二人は並んで神前へ進み出る。すぐ隣にいるはずなのに、距離がひどく遠く感じられた。会場が静まり返り、二人に視線が集中する。二人が深く頭を下げたあと、花嫁がわずかに顔を上げた。秀明は綿帽子の奥、白い影の向こうにのぞいたその輪郭を見た。時が止まったように感じた。そこにいたのは、反発しながらも従うしかなかった、骨の髄まで焼き付いている真由の顔ではなかった。恥じらいつつも誇らしげで、興奮で少し赤らんだ――咲和の顔だった。静寂は一瞬で、会場からは抑えきれない驚きとひそひそ話が漏れた。静かな水面に石を投げ込んだように、場が騒然とした。「どういうことだ?花嫁は西園寺家の次女だったっけ?」「なんてことだ、間違えてないか?長女の方だろ?」「伊藤家は何を考えているんだ?いきなり入れ替えか?」秀明の顔から笑顔が消え、まるで凍りついた湖のように表情が硬直した。瞳孔が収縮し、信じがたいものを見たかのような表情になる。頭が真っ白になり、血が逆流するような感覚に襲われた。「どうして、君なんだ!?」歯を
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