高級フレンチレストランは落ち着いた雰囲気だったが、佳奈は上機嫌にテーブルいっぱいの料理を注文し、美しい皿が運ばれてくるたびにスマホで写真を撮ってはSNSにアップしている。旬はあまり食欲が湧かなかった。空腹にフレンチの重いソースが堪えたのか、胃の不快感がひどくなっている気がした。嬉しそうに満足げな笑顔を浮かべる佳奈と、彼女の指で輝く、たった今贈ったばかりの高価なダイヤの指輪を見つめる。心のどこかでくすぶる正体不明の苛立ちを、彼は無理やり押さえ込んだ。――佳奈はまだ若いのだ。遊びやおしゃれが好きで、贅沢を楽しみたいのは当然のことだ。自分が彼女に長い間、陰で苦労をかけすぎた。今ようやく、その埋め合わせができるのだから。食後、佳奈はまた彼をショッピングへと連れ出した。ブランドショップから高級ジュエリー店まで、彼女が気に入ったものは、旬は眉一つ動かさずにブラックカードを切った。佳奈は彼の腕に絡みつき、全身をもたせかけるようにして甘えた声を出す。「旬、本当に優しい。今まで我慢してきたこと、全部報われた気がする」旬は笑って彼女の頬をつまんだが、心の中ではつい考えてしまう――晶は、こんなふうに派手に散財したことなど一度もなかったな、と。晶もそれなりにジュエリーを持っていたが、そのほとんどは結婚時に親族から贈られたものか、彼がたまに出張先で買ってきた土産だった。彼女自身の一番の出費といえば、キャンバスや画材を買うか、彼には到底理解できない分厚い海外の美術書を何冊か買うくらいのものだった。一週間後、旬は佳奈を伴って、業界の重要なビジネスディナーに出席した。離婚後、彼が初めて女性同伴で公の場に姿を現す――その意味は、決して小さなものではなかった。佳奈も気合を入れていた。トップクラスのスタイリストを呼び、高級ブランドの今季新作ドレスを纏い、旬から贈られたばかりのダイヤのネックレスとピアスで完璧に着飾っている。宝石の輝きに包まれ、誰よりも華やかに光を放っていた。自分の腕に手を添え、明るく微笑む佳奈を見て、旬は深い満足感に浸った。そうだ、これこそが自分の隣に立つべき女だ。自分に釣り合う女だ。若く、美しく、生命力に溢れている。しかし、その満足感は、パーティーが始まってすぐに霧散した。佳奈はグラスを交わしながら言葉の裏を読み合
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