言葉を選ぶようにゆっくりと、エルキュールは自身の体験を差し支えないように語り始める。 ザラームのほかにも、フロンやアーウェ、魔人と化したアランの存在。自身の事と「アマルティアのもう一つの目的」には触れずに、事実を連ねていく。「君には無理をするなと言われたんだが、結局捕まってしまった。だけど、奴らは俺に攻撃を加える前に何やら通信機のようなもので会話をし、そのまま退却していったんだ」「おいおい……結局無茶してんじゃねえか……!」 グレンから悲鳴にも等しい声が上がる。申し訳ないという感情がエルキュールの心を掠めるが、彼の鉄仮面を割るには至らなかった。 エルキュールは相好を崩さず、淡々と続ける。「彼らが去る前に、王都がどうとか言っていたな。情報といえばそれくらいしかないな」 あの時の出来事はエルキュールにとってはあまりに刺激的で、正直記憶も曖昧であった。 それでも記憶の糸を辿り、建設的な会話をするように努めた。「王都ですか……そちらの方でも彼奴らが暗躍していた可能性がありますな」「ああ。あいつらはここの魔動鏡を乗っ取っていやがったが、その時のザラームの言葉は国全体に向けたようなものだった。そして、全国にその映像を送信するのに最も適したものは、王都・ミクシリアにあるものに違いねえ」「理論的にはそうですな。先日も王都周辺で魔人が確認されたとのことです。それは既に討伐されたそうですが、その騒ぎに乗じて潜入したのでしょうか」 王都の魔人騒ぎの件は、今朝の魔動鏡の放送の際に誰かが触れていた気がする。その後に特に異常は見られなかったという話だったが、その時からこの襲撃が仕組まれていたというのか。 アマルティアの執念を今一度思い知らされる。「ふむ、そのことも合わせて騎士団本部に申す必要がありそうですね」「こうなったらオレも王都の方に顔を出す必要がありそうだな……あまり気は進まねえが」 グレンもニコラスも、それぞれが自身の今後の
Last Updated : 2026-04-23 Read more