陽太がオフィスから飛び出した瞬間、ボディーガードに行く手を塞がれた。「社長、どうか落ち着いてください!」陽太は我を忘れてボディーガードの腕を振り払い、目を血走らせて怒りを爆発させた。「落ち着けだと!?清子は俺の女だ!もし俺があの家に火をつけたことで、彼女が追い詰められて自ら死を選んだんだとしたら……俺は一生、自分を許せない!」ボディガードはため息をついた。「社長、今から船橋市に行ったって、何が変わるんですか?あそこにいたのはたったの一年じゃないですか。地元のツテもほとんどない。向井さんが生きてたとしても、見つけられる保証がありますか?それに、いつまで探すつもりなんです?奥様も、お嬢様も、お坊ちゃまもほったらかしですか?奥様には何て言うんです?また病気が悪化したら、今度こそどうするつもりなんです!」ボディーガードの言葉は一つ一つが胸に刺さり、陽太は次第に冷静さを取り戻していった。ボディーガードは続けた。「社長がご自身で動かれるより、この件は私に調査をお任せいただけないでしょうか。船橋市に人員を手配し、慎重に調べ上げます。向井さんがもし他界していたなら、理由と墓所を、もし生きておられれば新しい身分を、必ずや明らかにいたします。どうか、じっくりとご検討ください」陽太は長い沈黙の後、そっと目を閉じた。「……お前の言うとおりだ」彼には会社があり、両親がおり、妻と二人の子どもがいる。再び目を開けたとき、陽太は込み上げる涙と胸の痛みを必死にこらえた。彼は身なりを整え、会社の仕事を一つひとつ丁寧にこなし、何事もなかったかのように振る舞った。だが、それが嘘だと知っているのは彼だけだ。清子を見つけるまで、彼の心には冷たい穴がぽっかりと空いたままだ。その夜、彼は清子のことを考え続け、夜が白み始めても眠ることができなかった。そっとベッドから起き上がり、気分転換にベランダへ出ようとした。娘の部屋の前を通りかかると、かすかなすすり泣く声が聞こえた。陽太の胸がきゅっと締めつけられる。軽くドアを叩く。「佳代、まだ起きているの?」泣き声まじりの小さな声が返ってきた。「パパ……」陽太は思わずドアを開け、明かりをつけた。布団の中で小さく丸まり、顔中涙にぬれている娘がいた。陽太は胸が痛むような思いで娘を抱きしめる。
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