追加の依頼をした2日後、和人は出張があると言い出した。「群馬の支社に行かないといけなくてな。4日くらい。荷物をまとめておけ」「分かりました」 素直に返事をし、物置部屋からキャリーバッグを引っ張り出す沙綾を見て、和人は満足げにうなずく。「やっと自分の立場が分かったか。お前はそうやって、俺に従ってればいいんだよ」「……はい」(今に見てなさい……) 怒りを表に出さないように返事をし、荷物をまとめるついでに、浮気の証拠になるようなものがないか調べ、小さなプレゼントを忍ばせ、キャリーバッグを玄関に置いた。「玄関に置いておいたから。それと、酔い止めと、気分転換用のガムも。あなた、乗り物酔いしやすいでしょ」「たまには使えるな」「どういたしまして」 沙綾は笑顔でそう言うと部屋に戻り、音を吸収するジェルクッションを殴ってストレス解消をする。どんなに力強く殴っても、ジェルクッションは衝撃も怒りも吸収していく。「死ぬほど後悔させてやる……」 不敵な笑みを浮かべ、地の底から這うような声で呟くと、沙綾はスマホを取り出してある人物へ連絡をした。 和人が出張に行ってる間、和子も出かけていった。なんでも、友達と温泉旅行に行くとか。「そもそもお前に友達いねーだろ」 和子が帰った後、毒づいてビールを一気飲みする。 ムチュコタンファーストの和子は、友人と約束をしていても、その日に和人からお誘いがあれば、友人との約束を取り消してしまう。連絡を入れれば違ったのかもしれないが、和子は友人に連絡などせず、そのまますっぽかしてしまう。 事情を知った友人に責められると、「私とかずくんが仲良しだから、嫉妬してるんでしょ。アンタ達の子は薄情だから、県外に引っ越したりしてるもんね。ま、それだけ子供を大事にしてこなかったってことなんでしょうけど。自業自得ね」などと言って、謝罪するどころか見下していた。 和子はコミュニケーション能力が高いのか、すぐに友人ができる。様々な大人の趣味のサークルで友達を作るが、そういった態度を取るため、結局ひとりになる。 飽き性なのもあって、サークルもすぐに辞めてしまう。向こうとしては、辞めてもらって清々しているだろうが。「出張なんて言って、ママと混浴でもするんでしょ。おえぇ」 沙綾の悪態は止まらない。職場でのストレスも、家でのストレスもなかなか解消
Last Updated : 2026-04-14 Read more